初夢
今年の初夢の内容を書くと、縁起が悪いように思われるだろう。しかし僕はその夢に一筋の光を見たような気がする。
昭和初期のような風景。家の中の家族団欒とは対照的に、外では爆弾が降り注いでいた。そう戦時中。
そこには知らない兄妹がいた。3歳くらいの妹と6歳くらいの兄。戦時中は助け合いの精神で、赤の他人でも協力して住んでいる。
兄は、ふと畳の上に置かれた新聞を見る。日付は7月4日。
「そうかあ。妹の誕生日が1ヶ月も過ぎてたんだ。そんなことも忘れるくらい大変な世の中になったんだなあ」
誰ともなく誕生日の歌を歌い出す。歌は、その場にいた皆んなに伝染する。妹は嬉しそうな笑み。しかし突然の高熱と途切れ途切れの呼吸で苦しみだす。何故か全員が彼女の死を理解した。1分も持たないだろうと。
さっきまで騒がしく歌われた歌が止まった。
しかし、妹は
「歌を止めないで。楽しく幸せな気分のまま死にたいの。そうすれば楽しく生きてだ思い出になるでしょ」
そう笑顔で答える。
周りのみんなは、泣きながら作り笑顔でまた誕生日の歌を続けた。妹は静かに目を閉じて微笑む。それはそれは幸せそうな表情だった。
※
初夢は戦争と死を関連させる夢だった。
しかし僕は、困難な時代でも笑顔を見出して生きる強さや優しさを学んだような気がした。
これからの時代。何が起こるか分からない時代。僕はどんな事があっても心の笑顔は忘れないでいこうと思う。
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