知らなかったこと
庭の隅に置いたプランターから勢いよく空に向かって伸びていた青草も、夏も終わりに差し掛かるとしだいに色褪せて、その代わりに大きな鞘をいくつもぶら下げるようになった。
指で軽く開くように鞘を押すと、中から丸々とした挽き割り納豆が飛び出してくる。
かなり増えるとは聞いていたものの、春先にほんの少し蒔いただけの挽き割り納豆が、半年ほどの間にこれほどまで増えるとは思ってもいなかった。
これならこの先数か月は、挽き割り納豆を買う必要がなさそうだ。
寿司桶を茎の根元に置いて鞘を次々に押し開いていくと、たちまち桶は挽き割り納豆で一杯になる。さて、今日の収穫作業はこれくらいにしておこうと桶を持ち上げてよく見ると、挽かれていない納豆が何粒か混ざっていた。
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