というわけで思いますが

 何だか気になる言葉遣いが僕にはいくつかあって、ラジオを聞いているときに頻繁に耳にする「思います」もその一つだ。

 よく各コーナーの最初にいきなり出てくる「というわけで」も、それまでの話がまったく「わけ」になっていないことが多いので、いったいどういうつもりで「わけ」と言っているのかを知りたいのだが、それはさておき思いますである。
「今日は最新の情報をお届けしたいと思います」
「誰々のニューアルバムをたっぷりお聞かせしたいと思います」
「ゲストの魅力を伺っていきたいと思います」
と、パーソナリティはなぜかやたらと思うのである。
 どうして
「今日は最新の情報をお届けします」
「誰々のニューアルバムをたっぷりお聞かせします」
「ゲストの魅力を伺っていきます」
ではないのか。ラジオ番組だから構成上、もうお届けすることは決まっているのに、なぜそこでいちいち思うのか。思う必要はないだろう。
 お届けしたいと思いますを耳にするたびに、思うだけなのかよ! お届けしないのかよ! と言いたくなるのだが、そう言いたくなるのは僕だけなのだろうか。
 そもそもパーソナリティは最新の情報をお届けしようと思っているのか。打合せでそう決まったから、あるいは台本に書いてあるから最新の情報をお届けするのであって、自分自身が「ようし今日は最新の情報を届けるぞ」と、本当にそう思っているのか。思っていないだろう。だから僕の書く台本では誰も何も思わない。行動は行動として端的に伝えるだけだ。
 本当に思うだけで、実際には最新情報は一切お届けせず「はい、思いました!」の展開になるのならおもしろいのだけれど、それをおもしろがるのは僕だけなのかもしれない。

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