王様は裸だった
扉が開いて王様が入ってくると、誰もが緊張して体を強張らせた。王様はそれには気づかないようで、人々をゆっくりと見回し満足そうな笑みを浮かべた。
とつぜん、一人の少年が人々の輪から一歩前へ進み出ると王様を指差して言った。
「裸だ。王様は裸だ」
人々は少年の言葉を聞いて、大きくうなずいた。
「お前も裸だろ」隣に立っていた男が、小声で少年に言う。
「うん」
王様は少年に優しく笑いかけたあと、部屋の中を見回していった。
「ふむ、ここが銭湯か」
illustrated by スミタ2021 @good_god_gold
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