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【042】EVベンチャー「フォロフライ」 顧客ニーズに合う商用車をファブレス生産

 ラストワンマイルは電気自動車(EV)の出番−−。大阪市内で行われた「関西物流展」(6/22~25)で、EVベンチャー企業の「フォロフライ」(本社・京都市)が、新型商用EVの「EV F1 トラック」を発表した。ファブレス生産で380万円という低価格と開発スピードアップを実現させたという。

 「どういうEVが必要ですか、とお客さまに聞いてから作ることができる。商品ありきではないんです」。会場に展示された新型車の前で、同社の若きCOO、中尾源さん(20)が顧客主体の商品開発が可能になったことをアピールしていた。

 同社は昨年10月にEVバンの販売を開始。物流会社のSBSホールディングスから1万台のオーダーを受けて、2030年までに納入予定。他にも約30社と商談が進んでいるそうだ。

 今回発表されたのは、荷台部分が平らな「平ボディー」と呼ばれるEVトラック。内燃車だとトヨタ「タウンエース」や日産「バネット」などがライバル。普通免許で運転できて、住宅地など狭い道でも使いやすいサイズなので配送や宅配、引っ越しなどでの利用が期待できるという。

 さらには「架装のカスタマイズができることが特長です」と中尾さん。顧客のニーズに合わせてカーゴ型にしたり、冷凍・冷蔵車にすることもできる。大手商社のグループ企業「丸紅オートモーティブ」が、販売代理店や部品の調達、メインテナンスを担当。リース利用にも対応する。

 「ラストワンマイル」とは、物流の最終拠点からユーザーまでを指す業界用語。ネット通販などで需要は拡大の一途だ。「ラストワンマイルに使われる商用車の多くは1日100~150キロしか走らない」という。航続距離はよくEVの不安要素に挙げられるが、距離が限られれば逆に便利。仕事終わりに充電器に繋ぐだけで、翌朝にはまた満充電で走り出せる。しかもランニングコストは内燃車の半分程度で済む。

 「目指しているのはアップルです」と中尾さん。国産商用EV市場は、三菱自動車が軽EV「ミニキャブ・ミーブ」を今秋に販売再開する以外は、ほぼ手付かずの状態。iPhoneの生産を中国企業に委託するアップルのように、ファブレスの強みを生かしてシェア獲得を目指す。

「アップルを目指す」という中尾源さん

(夕刊フジ/2022.6.30)

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