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【021】YouTuberから自動車メーカーへ

KGモーターズ代表・楠一成さんインタビュー

 前回お伝えしたカスタムカーの祭典の続き。幕張メッセで開かれていた「東京オートサロン2022」にもう1台、注目を集めていた電気自動車(EV)が。ユーチューバーから自動車メーカーを目指す「KGモーターズ」が出展していた超小型EVの試作車だ。

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 「T-BOX」と名付けられたEVは一人乗り。かわいくて、ワイルドで、独特の雰囲気。ジムニーやランドクルーザーに採用される頑丈なラダーフレーム構造の車体に、前後2モーターの4輪駆動を採用。オフロードの踏破性向上を図っている。こういう車があったらいいな、と思わせてくれる1台。

 「じつはこの車は、2カ月で作ったんですよ」。そう話すのは代表の楠一成さん。

 驚かされたのは、期間の短さだけでなく、ゼロから作ったということ。鉄パイプを溶接してフレームを作るところから、製作過程をすべて動画で配信してきた。「EVメーカーになって、量産車を世界中で販売する」と発表した2021年11月の動画は再生回数10万回、オリジナルEV製作プロジェクトのシリーズは累計120万回を超えている。

 目指しているのは、大人が遊べる乗り物。航続距離は150キロを目指す。将来的にはモジュール化によって、ワンボックス車だけでなく、いろいろな車種の展開を計画する。

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 「バックヤードビルダーとして数百台というような単位のビジネスは考えていません。数万台の規模で世界に販売したいと思っています」

 楠さんはユーチューバーに転身する前は、四駆やSUVのカスタムショップを経営していた。会社を売却後に、バイクや自動車をカスタムする動画を発信しているうちに、反響や人脈が広がり、長年の夢だった「自動車メーカーへの新規参入」が実現できるかもしれない、と考え始めたという。

 「どこかに今さら車を作っても…という諦めがあった。でも、ゲームチェンジができるチャンスがきた。テスラがいい例ですが、新規メーカーとしてビジネスになる。それを多くの人に見せていきたい、いまはそう思っています」(楠さん)

 2020年春にKGモーターズを設立し、旋盤や溶接機などを備えた自社工場を整備、オリジナルEVの開発に取り組んできた。事業化へのステップとして、「自分たちの作りたいものを一目でわかってもらえるプロトタイプ」を製作することにしたという。

 かたちになった「T-BOX」には反響が続々。「女性が『かわいい!』と反応してくれたのがうれしかった」という。今後、実走テストなどを重ねて、市販モデルの開発につなげていく。

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(夕刊フジ/2022.1.27)

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