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【023】来店率アップに先行投資 ガソリン+充電のマルチスタンド

 ガソリンスタンド(GS)のお客さんは内燃車。電気自動車(EV)のみなさんは充電スタンドへどうぞ、というのが一般的なのだが、給油も充電もできるマルチスタンドがあると教えてもらった。それも地元に。灯台下暗し。

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 東京都中央区新川にある「エネオス・DD永代橋SS」。見た目はよくあるGSだけど、たしかに急速充電器も2器並んでいる。すみません、充電いいですか?

 「どうぞどうぞ」。車を止めると、笑顔のスタッフがケーブルを接続してくれた。充電口にさっとタオルをかけてキズ防止。至れり尽くせり。これまで充電は自分でやるのが当然、だったから、なんだか新鮮。給油はセルフなのに充電はサポートしてくれるんですね。

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 応対してくれたのは、隅田商事エネルギー事業本部SS運営部長の荒井一行さん。充電している間に、話を聞かせてもらった。

 同社はエネオスの特約店。都内で5カ所のGSを経営していて、給油・充電兼用はここだけ。2019年7月、施設のリニューアルに合わせて、給油をセルフ化し、急速充電器も導入した。ただ当初は充電のお客さんはほとんど来なかった、そうだ。

 「去年の夏ごろから急に増えましたね」。とはいっても、EVは普及台数そのものが少ない。本格的なビジネスはまだまだこれから。回転率で考えてもEVより内燃車だという。ガソリンは3〜4分あれば給油できる。充電は30分もかかる。

 「でも、ガソリンさえ入れていれば利益が出ていたのは昔のこと。いまはさまざまなサービスで収入を増やす試みをしないと経営は厳しい。充電スタンドは来店率を上げていく試みのひとつです」(荒井さん)

 利益率の高さは、将来的に期待できる要素だろう。1回30分の急速充電が500円(税別)。ホンダの認証カード利用時(同480円)とほぼ同じで、ユーザーとしては違和感はない。その充電一回で店が負担する電気代は数円だという。今後EVの普及がどれだけ進むかによるが、ガソリンよりも電気の方が儲かるようになるシンギュラリティ(特異点)の到来は、意外に近いかもしれない。

 以前にも書いたが、GSは給油するだけの場所じゃない。洗車や簡単な整備などを気軽に頼めて、カーライフを支えてくれる存在だ。ここへ充電に来る人は、年配層のユーザーが多いという。無人の充電スタンドよりGSを選びたくなる気持ち、よく理解できる。

 私も空気圧のチェックをお願いした。「ちょっと抜けてますね」と標準値に合わせてくれる。次は洗車もお願いしようかな。

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(夕刊フジ/2022.2.10)

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