もっと大事なこと

透明のまま生きたかったな。透明なら周りの景色が私を突き抜けて私を鮮やかに見せられたのに。

はじめのうちは透明に何を塗ってもはっきりと色が出るから、それが鮮やかすぎて痛くて、その汚れを一生懸命落とそうとするけど、だんだん何色がついてもへっちゃらになってしまって、落とそうともしなくなって絵の具を端から端まで混ぜた色になるんだと思う。でも、あの子は鮮やかなまま、いや、もう真っ黒だっただろうけど、鮮やかにしようと頑張るのに疲れて、汚れないせかいに行っちゃった。

私は私だけの色を手に入れたらあの子に会いに行くんだ。それであの子に少しだけ塗ってあげるんだ。

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