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おじいちゃんの遺品で人生変わった話 part 1

あいにくだけど、フィクションだぜ!!

「続いてのニュースです。皆さんはインフレーションという言葉を…」
「島江小学校の地下に大量の銃が発見されました。これは戦前の遺物だと思われていましたが、専門家によると「このような銃は企業や国が製造したものではない。一般人が作ったものなのではないか?」という意見を受け、警察は…」
「ミナ!!早く準備して!テレビなんか見てないでもう行くよ!」
テレビに集中していたので、母の声に思わずハッとした。
「あぁーごめん!今行く!」
そう言うと私は、お気に入りのネックレスをつけて玄関まで駆けていった。
今日は、おじいちゃんの三回忌。
おじいちゃんが死んだときの記憶は、まるで昨日のように思い出せる。
ひまわりの香りが漂う、暑い夏の日のことだった。
私が小さい頃、夏休みによくおじいちゃんのうちに遊びに行ったものだ。
一番の目的は、おじいちゃんの昔話を聞くことである。
戦争を経験した時代の人だったため、その時代の話はとても興味深かった。
その中でも、一番記憶に残っているのは、おじいちゃんが話してくれた「不思議な扉」の話だった。
内容はあまりに突飛だったにも関わらず、まるでおじいちゃんが体験したかのような素振りで話してきた。
当時、私が子供だったとは言え、その話だけ創作であることはわかっていた。
だが、妙にワクワクさせる内容で、今でもたまに思いにはせることがある。
そんな、人をワクワクさせることが得意なおじいちゃんが亡くなったときが彼が唯一、人を悲しませるときだった。
涙の数だけ強くなれるというなら、あの日の私は格闘士になっていただろう。


ひまわり畑が目の前を通り過ぎていく。
車のクーラーさえも凌ぐ暑さの中、ひまわりの香りは線香の香りに変わってゆく。
「ここに来るのは一昨年ぶりだね」
「うん」
私はそう答えた。
すでに親戚の車が駐車場に連なっており、もう少し早く来ても良かったなと思った。
「テレビを見ている余裕はなかったなぁ…。」
お坊さんは、私達がついてからすぐに到着した。


お坊さんが、お経を読んでいる間、私はおじいちゃんとの思い出を振り返っていた。
ふと思い出したことがある。
「そういえば、おじいちゃんがよくモデルガンを見せてくれたなぁ。今もタンスを探せば見つかるだろうか?」
おじいちゃんの影響か、高校生になる頃には立派な銃マニアになっていた。
そうなってしまったからには、おじいちゃんのモデルガンを遺品としてもらいたい。
お坊さんが帰ったあと、おばあちゃんに聞いてみることにした。
「おばあちゃーん!昔おじいちゃんが見せてくれたモデルガン知らなーい?」
「あー!あれなら、もしも死んだ時ミナに渡してくれって言ってたのを忘れてたから、今持ってくるよ!」
そういうと、おばあちゃんはあの当時見たものと同じ例のモデルガンを持ってきてくれた。
「ありがとう!おばあちゃん」
「いいのよ。きっとおじいちゃんも大事なミナに受け取ってもらって嬉しいと思うよ」
「そうだね!」

久しぶりに見たが、知識のある今ならこいつがなんの銃なのかわかるだろう。
と、思っていた。
だが目の前にあったのは、今まで見たこともない拳銃だった。
強いて言うなら、ヘッケラーアンドコッホのUSPに似ているだろうか?
そもそも、現代の銃としてはおかしなところだらけだ。
まず、狙いをつけるサイトと呼ばれる部分がない。これをなくしてどうやって敵に狙いをつけろというのだ?
それに、安全装置のようなものはない。(まぁ、代わりに赤いボタンみたいなのはついてるが…。)
モデルガンと思っていたが、どうやらそれは幼い頃の勘違いで、ただの玩具だったらしい。
肩を落とさざる負えなかった。
「せっかく家に飾ってコレクションしようと思ったのに…」
玩具を家に持って帰ってもゴミになってしまうような気がして、それなら実家にあった方がいいと思い、おばあちゃんに返そうと思った。
そう思い手に取った瞬間、突然思いもよらない音が耳に入ってきた。
「ピー。前任者…死亡。新規登録…ユーザー…ミナ。」
最近の玩具は持ったら自動で人を識別するのか?
前任者死亡…?おじいちゃんのことか?
それに、なぜ私の名前を知っているんだ?
いや、おじいちゃんが前もってそういう録音をしておいたのか。
なんだ、そう考えれば不思議なことではない。
安心するのも、つかの間。
次に飛び込んできた光景は、現代の科学では説明困難だった。
銃の横からホログラムのスクリーンのようなものが出てきた。
先程なかったサイトもホログラムによって描かれ、安全装置もどうやらこのスクリーンをタップして解除するようである。
自分がただならないことに巻き込まれる予感がした。


次回 → https://note.com/asmema/n/n75dcf0ef0102

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