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『火星の自己紹介』


やあ、ぼく火星。
英語では、ギリシャ神話の軍神マーズの名前がついているよ。
戦いに関しては、向かうところ敵なし。
ぼくに献げ物をして戦いに望めば、百戦百勝だよ。
僕は太陽系の4番目の惑星で、地球とかなり似ているんだ。
重力は地球の0.4倍。砂ばかりだけど、昔は運河があって、
超古代文明が栄えていたんだよ。

火星を縦横無尽に走り回る運河には、
きみょうな生物たちが住んでいた。
超古代文明の人々(火星人)は、その生物たちをつかまえて
料理して食べていた。

その生物はたいへん賢くて、
狩りの相手としては絶好だった。
火星人たちは、その生物に「トスク」という名前をつけて、
計略の限りを尽くして
狩りをし続けた。

ある日、超古代文明を築いた人々のところへ
猫の顔をした異星人たちが現れて
トスクを横取りし始めた。
トスクはそれほど、美味だったんだ。

トスクがそんな形をしていたかって?
そうだなあ、きみたちが、
火星人ということばにイメージするのと
同じ恰好だったな。

つまり、頭がでかくて、
手足がながいタコそっくりの動物。
ちなみに火星人は、
恐竜みたいな顔をしていた。
肌が青くて、鼻がほとんどなくて、
ゴツゴツした突起が出ていたんだよ。

火星の重力は地球よりも少し小さいから、
トスクも、火星人も、ふつうより力は弱かった。
猫の顔をした異星人たちは、
トスクや火星人たちと争っても
勝てる、と踏んで、侵略をはじめた。

しかし、火星人もトスクも、協力し合って
猫の顔をした異星人たちに対決した。
ほら、敵の敵は味方ってやつ。
とくに、トスクの活躍はめざましかった。
火星人たちが、この戦争に勝ったら、
もう狩猟はやめるって言ったからさ。

異星人たちは、トスクの活躍によって
元いた惑星へと追放された。
ところが、火星人は約束をやぶり、
トスクを狩りはじめた。

トスクは絶滅し、火星人も飢饉と病気がはやって
絶滅したんだ。

きみたちも、気をつけてね。

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