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アスクレピオス診療院 糖尿病の記事一覧

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アスクレピオス診療院の糖尿病の記事の一覧です。 興味があれば、読んで下さい。 アスクレピオス診療院 〒465-0086 愛知県名古屋市名東区代万町3丁目11番1 エイジトピア星…
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記事一覧

1型糖尿病の疫学(日本と世界の有病率・発症率・リスク因子(遺伝等))の解説

1型糖尿病は、自己免疫やその他の原因により膵臓のβ細胞が破壊される病気です。 全世界の糖尿病の5%~10%を占めています。 1型糖尿病は、子どもと若年成人では、最も一般的な糖尿病であり、発症のピークは思春期です。 1型糖尿病の発症率は、世界各国により異なっており、日本では、小児の発症率は、10万人あたり1.5人~2.5人とされています。 日本全体では、1型糖尿病の全年齢の患者数は約 10~14 万人、有病率は約 0.09~0.11% になります。 1型糖尿病のリスク

HbA1c 5.6%でも、糖尿病の可能性はあるの?

HbA1cは、過去2~3カ月の平均血糖値を示す、糖尿病の血糖コントロールの指標です。 健康診断で、糖尿病の早期発見のために、血糖値に加えて、HbA1cを同時に測定する場合があります。 検査の結果が、HbA1c 5.6%やHbA1c 5.7%など、HbA1cが正常範囲でも、人によっては、糖尿病の精査を勧められる場合があります。 それは、HbA1cが正常範囲の人でも、時々、糖尿病の人がいるからです。 ご興味のある方は、続きは当院サイトをご覧ください。 糖尿病内科 アスク

糖尿病ではない低血糖の原因とは

ヒトの空腹時の血糖値は、70mg~99mg/dlの間にコントロールされています。 血糖値が、70mg/dlを下回ると、低血糖の症状として、さまざまな自覚症状が出現します。 良く認められる症状としては、発汗、動悸、震え、不安、目のかすみなどが挙げられます。 血糖値が極端に低下すると、錯乱したり、意識障害をきたすこともあります。 低血糖症の最も多い原因は、糖尿病と関連するものですが、糖尿病と関係しない低血糖症もあります。 今回は、糖尿病以外が原因となる低血糖について解説

低血糖症って何? - 症状・原因・検査・治療から、救急車を呼ぶタイミング

低血糖は、血糖値(ブドウ糖・グルコース)が非常に低くなった状態です。 低血糖は、糖尿病の治療に伴って生じる事が多いのですが、糖尿病ではない方でも、様々な原因で低血糖をきたすことがあります。 低血糖そのものは、病気ではなく、発熱・疼痛と同じように症状です。 血糖値が70mg/dl以下に低下すると、ほとんどの人で低血糖の症状を認めます。 代表的な症状としては、動悸、発汗、振戦などの自覚症状が出現します。 血糖値が50mg/dlを下回ると、錯乱などの中枢神経症状を生じ、意

糖尿病とシックデイ

糖尿病の患者さんが、糖尿病以外の風邪・胃腸炎などの急性疾患にかかったときを、「シックデイ」と呼びます。 シックデイでは、食事や水分が取れなくなり、低血糖や脱水症になるリスクが高まったり、逆に血糖を上げるホルモンが分泌されて、血糖が高くなるなど、血糖コントロールが不安定になります。 シックデイで最も怖いのは、脱水症と低血糖です。 シックデイには、食欲がない時でも、水分を補給して、脱水を防ぎ、消化の良いものを摂取しましょう。 また、食事が食べれない時には、一部の糖尿病の内

糖尿病でインスリンを導入するとやめられないって本当?

糖尿病でインスリンを一度導入すると、将来的に離脱できるかどうかは、糖尿病患者さんにとって大きな問題です。 糖尿病はインスリンの作用不足により、高血糖をきたす疾患です。 糖尿病の治療では、不足しているインスリン作用を補うために、インスリンを導入する事があります。 一旦、導入したインスリンは、肥満や清涼飲料水の多飲によって一過性の高血糖をきたした人では、血糖値を正常化し、糖毒性を解除した後にインスリンから離脱できる場合があります。 しかし、一方で、1型糖尿病の人やインスリ

糖尿病によるだるさ(疲労感・全身倦怠感)の原因とは

糖尿病による全身倦怠感は、一般的によく認められる症状です。 糖尿病による疲労感は、糖尿病の高血糖によって生じるものから、糖尿病の合併症によって生じるものなど、様々な原因で生じます。 糖尿病で疲労感を生じる原因としては、 高血糖 低血糖 糖尿病の高血糖による症状 糖尿病の合併症 うつ・不安 睡眠障害(不眠など) 運動不足 肥満 薬の副作用 他 以上のものが挙げられます。 糖尿病の全身倦怠感の治療の基本は、低血糖を避け、血糖コントロールを良好に保ち、バランスの取れた食生

糖尿病は吐き気(悪心)の原因になりますか?

吐き気(悪心)は、一般的によく認められる症状です。 糖尿病により吐き気を生じる原因としては、 血糖降下薬の副作用(メトホルミン・GLP-1受容体作動薬・αグルコシダーゼ阻害薬) 低血糖及び高血糖 糖尿病性ケトアシドーシス 胃不全麻痺 その他 以上が挙げられます。 吐き気は、糖尿病と関係のない、胃腸炎などの一般的な病気に由来している場合があります。 糖尿病があり、吐き気が続く場合には、自己判断せず、主治医の先生に相談しましょう。 詳細は当院サイトをご覧ください。

GLP-1のダイエット(体重減少)効果とは リバウンドを含めた解説

GLP-1受容体作動薬は、糖尿病の治療薬(血糖降下薬)の一つです。 GLP-1には、食欲を抑制し、食事摂取量を減らし、体重を減らす効果があると言われています。 欧米人の肥満者や肥満2型糖尿病の人に、GLP-1製剤を20週~56週間投与すると、3%~7%程度の体重減少効果が認められます。 しかし、日本人の2型糖尿病の人の場合は、セマグルチド(オゼンピック)以外のGLP-1製剤を常用量で投与しても、ほとんど体重減少効果は期待できません。 (セマグルチドには、日本人(平均体

正しい血圧測定の方法の解説 - 家庭で血圧を測定する際の注意点とは

血圧測定法には、診察室血圧、家庭血圧、24時間自由行動下血圧の三つがあります。 家庭で測定した血圧は、家庭血圧と呼ばれます。 自動血圧計は、カフ式・上腕式のものが推奨されます。 血圧測定は、日内変動があるため、朝・就寝前の1日2回行います。 血圧は変動しやすいため、暖かい部屋で、薬の内服前に、1~2分の安静後に、測定しましょう。 自宅で測定した血圧が、135mmHg/85mmHgを超えると、高血圧です。 高血圧は、ほとんど自覚症状がありませんが、放置すると、動脈硬

糖尿病と下痢の関係とは

糖尿病の約2割弱の人に、慢性的な下痢が合併します。 糖尿病性下痢の特徴は、発熱や腹痛はなく、下痢が正常便や便秘と交互に生じるなど、断続的に症状が出現する点です。 糖尿病性下痢の原因は、多くは消化管の自律神経障害によるものと考えられていますが、原因は明らかになっていません。 糖尿病性下痢の治療は、一般的に、ロペラミドなどの下痢止めが用いられますが、原因によっては、抗生剤や、膵酵素の補充などを使用する場合があります。 下痢が続く際には、糖尿病以外の原因により、下痢をきたし

糖尿病と便秘

便秘は、糖尿病の一般的な合併症です。 便秘は、糖尿病患者の約11%から約56%の人に認めます。 糖尿病の人が便秘になりやすい原因としては 高血糖による大腸(結腸)の自律神経障害 高血糖による直腸・肛門の機能障害 糖尿病の医薬品(GLP-1製剤・SGLT2阻害薬など)の副作用 が考えられます。 糖尿病の血糖値の管理が悪いほど、糖尿病の神経障害などの合併症は進行しやすくなります。 そのため、糖尿病の便秘解消の治療は、はじめに、良好な血糖コントロールを維持することが大切

正しい血圧測定の方法の解説 - 家庭で血圧を測定する際の注意点とは

血圧測定法には、診察室血圧、家庭血圧、24時間自由行動下血圧の三つがあります。 家庭で測定した血圧は、家庭血圧と呼ばれます。 自動血圧計は、カフ式・上腕式のものが推奨されます。 血圧測定は、日内変動があるため、朝・就寝前の1日2回行います。 血圧は変動しやすいため、暖かい部屋で、薬の内服前に、1~2分の安静後に、測定しましょう。 自宅で測定した血圧が、135mmHg/85mmHgを超えると、高血圧です。 高血圧は、ほとんど自覚症状がありませんが、放置すると、動脈硬

糖尿病の自覚症状の解説 - 足のしびれや痩せてきたのは糖尿病の初期症状?

糖尿病は、初期にはほとんど自覚症状を認めない病気です。 しかし、糖尿病を長年放置すると、身体全身のいたる所に重篤な合併症をきたします。 そのため、健康診断で早期発見に努めています。 糖尿病の自覚症状は、かなり悪く(=血糖値が非常に高く)ならないと、認めないことが一般的です。 糖尿病の自覚症状には、次のようなものがあります。 尿の回数が多い。 のどが渇く。 ダイエットしていないのに痩せてきた。 いつも空腹感がある。 疲れやすい。 目がかすむ。 手足がしびれる。 肌が乾