近況

夏競馬を迎え、今年はやや自制気味だ。

昨年は推しの初勝利を見るのだと足繫く通った福島と新潟の地の恋しさはあれど、この秋冬を最大限競馬を楽しむためにしばしのお休みをいただくことにしている。とは言え、"ここ一番"の日があればきっと現地に向かっているのだが、先日の福島での快勝 (7/15 福島2R ベルシャンソン)を見逃した今、はてここ一番とは……?と言わざるを得ない状況でもある。

「私が居ない方が勝つじゃん」と、愚痴でもこぼしてしまいたくなる心情は分かれども、一度口にしてしまえば、そしてそれを聞いたところで誰がなんと言えようかと考えれば、誰も救われないと思い、ただ勝ち星を祝うに徹するが正しいと思うようにもなった。そういう心情というものがある。

心情、と言えば今年の日本ダービー。
東京競馬場の1コーナーでその時を待つ中、隣の競馬ファンがウマ娘で「どのウマが抜けるか」という、性的消費の材料として楽しんでいた。

私の近くにはそのダービーに出走する厩舎関係の方もいるというのに、無知とは恐ろしいものだ。彼らもまだ幼く、子どもなのでまだその罪というか、愚かさには気が付けずにいるのだろう。社会に出て、いつか人の行いを見て我が身を振り返った時、心が焼けるような思いをするのはまた彼らなのだと思うと、これもまた何も言うまいと口を閉じた。

それに、自分も人の事が言えるひと大したオタクの道を歩んでこれただろうか?同じような記憶は無いにしても、高々に誇らしいと言える自信はない。これもまた心情、である。

こうして最近は口を閉じることが多い。先日も覆面であると銘打ちながらしっかりとJRAの厩務員であるという看板だけは背負ったご立派なアカウントが、「女性より男性の方が効率がよく(時間のロスなく)仕事ができる。これは女性批判ではない。」というツイートをしていた。批判という言葉を私が誤って理解しているのかなと思い辞書を引く……もとい検索すると、オンライン辞書系のサービスには「物事に検討を加えて判定/評価すること」とある。であればそれは批判でしょう、という理解を私はした。しかし、元は女性批判ではないというのである。

ははぁなるほど。でしたら主語は男性と女性ではない。〇〇が早い人、〇〇が遅い人という書き方が正しかったのだろう、と改めて理解をした。

そういえば「力仕事に於いて、平均的に男性の方がパフォーマンスを発揮しやすい」という先入観が私もあるなと思い少し調べてみることにした。

JSPO日本スポーツ協会にはこう記載がある。

体力テストの絶対値における性差は明らか であり、有酸素作業能力や無酸素作業能力に おいて女子は男子の約70%前後である。しか し、これらは体重当たりや、除脂肪当たりで は差が少なくなり、筋力には筋重量当たり, 筋断面積当たりでみると、ほとんど差が無い。

そこで、女性のトレーナビリティー という点では競技者の頂点にあると考えられ るオリンピック選手を含む日本代表選手を対象に身体組成、筋力等について比較してみた。 表1でみると絶対値からは男子競技者が女 子競技者より身長、体重とも上回るが、逆に 体脂肪率は女子競技者が男子競技者を上回り、 筋力面では逆に男子競技者が高い。

さらに図 2で皮下脂肪厚、筋厚の付着の割合から比較 すると女子競技者は男子競技者より測定全部 位において脂肪分布率が大きい傾向にあった が、筋厚はすべての部位で男子競技者より1 ~2割低く、一流競技者の場合も身体組成の 面で性差が認められる。

女性とスポーツ / 身体的特徴について - 女性の体力の特徴 より

なるほど。確かに性差は認められると。ただこれを理由に批判するのはあまりにも局所的な解釈だと私は思う。まるで筋肉があれば仕事が出来ると誤解されても仕方がない。こういった事柄がある度に、私は男性が未だ男性優位であると誤解した社会構造と胡坐にゾッとする。いつか逆の立場の時代が来た時……

いや、止めておこう。男性と女性で、物事に検討を加えて判定/評価するようなことは。ただ時折、閉じたはずの口を開くのは許してもらいたい。


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