名もない猫の話(1-1)

その猫は夜も眠らないネオン街が光り続ける路地裏に生まれた。

路地裏から見える光は初めてみる希望の塊のようなものだと初めて錯覚した。

だが次の瞬間、食べ物の腐る匂いや、床に散らばる匂いの元を見て生まれながらに自分の立場を理解した。

#必ずしも願われて生まれたのではない

本能的に母乳を欲する胃袋に異臭の空気だけが入り込んだ。周りを見回しても母親と呼べるものは何もない

絶望と同時に強烈な生命力が思考回路を奪い食べれるものはないかと異臭の染み込んだ布を口に加えて吸ったがやはり匂いの元の通り酷い味であった。

なぜ自分はここにいるのか、考える間もなく視界も完全ではないままに希望と思われる光に導かれた。



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