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名もない猫の話(1-1)

その猫は夜も眠らないネオン街が光り続ける路地裏に生まれた。 路地裏から見える光は初めてみる希望の塊のようなものだと初めて錯覚した。 だが次の瞬間、食べ物の腐る匂いや、床に散らばる匂いの元を見て生まれながらに自分の立場を理解した。 #必ずしも願われて生まれたのではない。 本能的に母乳を欲する胃袋に異臭の空気だけが入り込んだ。周りを見回しても母親と呼べるものは何もない 絶望と同時に強烈な生命力が思考回路を奪い食べれるものはないかと異臭の染み込んだ布を口に加えて吸ったがや

    • 結婚1周年

      結婚して1周年 ついに当たり前の日常が定着しつつある 朝起きて家事をして、犬の世話をし、1番気にしていた自分の身なりを後回しにしてそそくさと家を出る 仕事をこなし、帰り道にスーパーに寄り帰って、洗濯をたたみながら夕食とお弁当を作り旦那の帰りを待つ 毎日慌ただしい当たり前のルーティーンが既に退屈でたまらない お祝い事も前までは些細な事で嬉しかったのに今はお金のことの方が大切で素直に喜べない 日常がもっと当たり前になってゆとりが出てきたらきっと小さな幸せを見出せるのか

    名もない猫の話(1-1)