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リビングループを通じて[Footwork&Network vol.23]

はじめに
池袋東口のグリーン大通りをメイン会場として開催されている池袋リビングループ、及び11月4,5,6日に開催された池袋リビングループスペシャルマーケットに学生ボランティアスタッフとして参加させてもらった時のこと。運営をされている株式会社nestの青木さんをはじめ、他のボランティアスタッフさんとお話しをして感じたことがある。

「楽しんでいってください」
マーケットが始まる前、主に運営の中心を担うコアメンバーやその他のボランティアスタッフなど集合し、その日の段取りや役割を共有する時間がある。その時間、最後に必ず言われることは「まずはスタッフの皆さんが今日一日目一杯楽しんでいってください」という言葉だった。初めて参加した時は、少し意外な言葉のように感じていた。楽しんでもらうために運営に徹するんじゃないんだ、これが正直に浮かんだことかもしれない。

3日間のスペシャルマーケットも終わりに差し掛かった6日の午後、各エリアの近くに配置されている本部で対応をしていた時に、ふと年配の女性に「池袋の他の場所に用事があったけど、お姉さんたちこっちが楽しそうだったからやめちゃった」と声をかけられた。
もちろんマーケット自体、食や雑貨、ものづくりワークショップやパフォーマンスといったバラエティーに富んだお店が並んでおり、十分楽しい。けれど、当たり前ではあるけれど、例えば、お店の方とお客さん、スタッフとの間で楽しそうに話が交わされていたり、嬉しそうに、美味しそうにご飯を食べている人がいると、行ってみたい、その雰囲気の一員になりたいと思う、マーケットの様子を見ながらぼんやりと感じていたときだった。

その女性にとって本当に何気ない一言だったと思うが、「まず楽しんで」というキーワードとともに、自分の振る舞いがその場の雰囲気を作る要素の一つになっていることを、最初の集会のときにはうまくピンと来なかった感情が少し消化できたような感覚になる言葉だった。普段の生活を振り返ると、自分の役割がはっきりしているときほど、その役割に適していると思われる行動を取ることや、淡々と仕事に徹してその場がつつがなく進行できるように徹することが優先事項になっていたように思う。もちろんそれも大切なことの一つだと思っているが、効率を中心に据えたこのやり方だけではこの女性のような他の人を自然と巻き込んでしまう力はあまり働かないのかもしれない。普段のゼミ活動の中でも思い当たる瞬間があるが、自分自身がその場にいることを楽しんでみることに加えて、黙々と作業を進めるのではなく相手とコミュニケーションを取りながら、楽しく見てもらえる工夫をすることどちらも必要なのかもしれないという実感があった。

また、ある女性スタッフの方とお話ししたときに、「リビングループは舞台のようなところがある」とおっしゃっていたことがあって、印象に残っている。自分なりに置き換えて解釈してみると、街の中でリビングのようなくつろげる空間というコンセプトを形にするための大きな舞台装置であり、スタッフやお客さん一人一人が役者さん。新しい企画を行うときは、作っては修正してを繰り返しながら進めていく。ここでもまた、一人一人の振る舞いがその場の雰囲気を作るということにつながるように感じる。

この場所を参加者みんなが満足できる、実りの多いものにしようと意気込むと、綿密に立てた計画のために効率を重視したり、実際の場所とは少し距離のある俯瞰的な視点が中心になってしまう、さらにそのことに気がついていない時もある。魅力的な場所を作りたいときほど、「楽しむ」というマインドや自分も参加者の一部であることを忘れずに振る舞っていきたい。

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