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ミーハー

家の事情で札幌に泊まった夜、ひとりこれといってすることもなくて、街の小さな映画館に行った。

パリを舞台にバレリーナを目指す性同一性障害の主人公(自認性が女性で身体的には男性)の物語だった。
高校生という自意識の強い年齢ということもあり、周囲に上手く心を開けない彼女の内面に蓄積していく心の葛藤が丁寧に描かれていた。

フランスらしい芸術的な映画で音楽も映画も美しいものだったんだけど、観ていて辛かった。

最後まで観れて、今でも覚えているくらいに印象に残っている作品なんだけど、溢れるリアリティを前に、観終わったあと「おもしろかった〜!」「感動した…。」「泣きそう…」のようなミーハーな反応を許されず、かといって芸術性に酔いしれるほど高尚な人間でもない私は(ふむ…、おつらいな…。そういえばMommyも寝たな…)という感想とともにミニシアターを後にした。

ポップ過ぎると中身が薄っぺらくなってしまい記憶に残らなくなってしまうけれど、芸術性が強まると素直に楽しめなくなってしまう。

程よいバランス感が欲しいなぁ、と思うミーハーなのであった。

おわり

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