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天然素材のグランド作りにこだわる理由。そしてこれから。その1

人工芝を仕事にして24年になる。スタートした理由は、あるJクラブのグランド作りがきっかけだった。
Jリーグ発足当時、川淵チェアマンが揚げた地域密着型クラブ作りに共感を覚えた記憶が有る。
スポーツのプロ化が進まない日本のスポーツ界において、川淵さんの言う、地域を主体としたクラブ作りに魅力を感じた。
その一方で、地域クラブ作りには課題も多いことを感じていた。スポーツ文化の歴史の浅い日本では共感を得るのはなかなか難しい。
見るスポーツとやるスポーツ。特に見る方への参加人数が少ないのが日本のスポーツだった。
見るスポーツとしてプロ野球は成功はしているものの、他のスポーツはテレビ放映も無ければ、ファンも少ないからなかなか普及しない。
競技人口が少ないスポーツでは、当然に競技場へ足を運ぶ人は少ない。
する人を増やさなければ見る人は増えない。

サッカーがプロ化して人気スポーツになったとは言え、Jリーグを囲む環境は決して良かった訳ではない。
企業スポーツからの脱却とは言うものの、企業スポンサーに支えられてクラブが成り立つと言う状況が続く中で、チーム運営も企業支援に頼るしかなかった。
歴史の有るチームや、元々は大企業が成り立ちのチームには資金が有るものの、街クラブ的なチームの運営は依然困窮していた。
お金の有るチームは常に上位を占めた。
クラブハウスやグランド環境の整備されたチームもあれば、同じJリーグクラブでもクラブハウスどころか、グランドさえ無いチームも有った。
そんな中では解散するチームさえも出た。

市民が参加するソシオスポーツクラブには、企業のチームスポンサーはなかなか集まらない。街クラブの選手は他のチームを解雇された選手か、大学や高校の新卒選手。練習場も時間も毎日異なるジプシーチーム。弱いチーム、集客力の無いチームには当然ながら集金力は無い。チーム力を強化するには当然ながら資金が必要。
まだまだスポーツ文化の定着していない日本では個人参加型のソシオを主としたクラブ運営は難しいものがある。
チームスポンサーは毎年継続して貰えるとは限らない。シーズン終了後から新シーズンに向けてスポンサー探しが始まる。
毎年スポンサーを探すより、スポンサーになれるような会社を作ろうとスタートしたのが今の会社。人工芝を普及させる。施設を作ることで見る人口もする人口も増やす。
更に販売収入の一部でクラブ支援をする。


1999年、当時の日本では人工芝グランドはまだまだ少なかった。アメリカやヨーロッパでは1980年代後半から普及し始めた人工芝。
日本は遅れること10年で人工芝に注目し始めた頃だった。この頃の人工芝グランドの相場は、サッカーグランド一面で1億5000万から2億円。しかも耐久性は5年程度であれば、中々手出しは出来ないのが現状だ。
私も、人工芝については殆ど知らない。ただ、綺麗なグランドには憧れが有った。数億もする人工芝は中々売れるものではない。ましてや信用と実績が無い会社から数億もの買い物をする人など皆無だ。
なんとか人工芝を普及出来ないものか?
特に人工芝に対する知識が無かった自分は、普及しない理由は単に価格だと考えた。
安い人工芝が有れば売れる!
2000年を迎えると、中国が世界の工場として台頭し始めた。きっと中国にも人工芝の工場が有ると考えた私は、知り合いの、女性中国人バイヤーに人工芝工場を探してもらうことにした。
彼女が探して来た人工芝工場が4社。その中から選んだのが山東省の泰山スポーツ。


当時はまだ小さな企業だったが、会長の人間性が素晴らしかった。彼はスポーツが大好きでアスリートのことを本当に考えていた。
TAISHANはオリンピックや世界大会のスポンサーをするまでに成長した。中国最大のスポーツ企業に成長した。私の運が良かったことは、彼らと一緒に人工芝の研究が出来たことだ。
彼はもの凄く勉強していた、彼は研究室に多額の資金を投入し、最新のマシンを揃えて人工芝を製造した。
現在、日本で流通する人工芝の95%は中国産。
ECサイトやホームセンターの商品は100%中国産と言っても過言ではない。
リサイクルや悪い原料で作られているのが中国産。同じ様に見えても非なるものが中国産と、歴史あるヨーロッパメーカー品との違い。
繊維文化の歴史が違う。
日本では、全く同じ中国産人工芝が、1平米当たり、或るサイトでは2500円、また違うサイトでは15000円などと、価格が10倍近く違うこともある。商品は全く同じなのにだ! 
そして、全くスポーツには無関係のランドスケープ人工芝にさえFIFA国際サッカー連盟認定や、認定工場が作ったと謳う。大手のホームセンターさえそうだ。
そもそも、FIFAクオリティプロを作れる人工芝工場は世界でも10社程度なのに、中国には100社も有るから不思議だ。
抗菌、紫外線防止、帯電防止などなどと、ヨーロッパメーカーの品質さながらに謳う。
見た目だけが同じなら、中国産人工芝なら何を宣伝してもわからないだろう。
メーカーが言うのだから、何か有ったとしてもメーカーの責任?
今では大手のスポーツ人工芝販売メーカーさえ中国産を使う。素晴らしく綺麗なサイトやカタログで誤魔化す。
つまり、品質はそっちのけ、環境や健康に配慮するより、安く仕入れて高く売る。売ったもの勝ちのビジネスに走っているのが現実。

私たちが何故?中国産人工芝の販売をやめたのか?恩あるTAISHANの人工芝の販売を見合わせているのかは次回から!

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