β-39 すぎさりしひび 60's
楽曲を軸にさまざま書いていくシリーズ、第4回はSUGAR BABEの「過ぎ去りし日々"60's Dream"」をお送りします。
1960年代のニューヨーク・ポップ・シーンでありがちだったものを随所に散りばめたそうですが、この当時の"ありがち"というものが、まだ生まれる前なのでよくわかっていないのが正直な感想。
ただ、歌詞にそれぞれ1960年代の洋楽の邦題タイトルが散りばめているそうなので、そこから少しでもそのときの雰囲気が味わえればと思いまして、、その様相は下記に示しておこうと考えております。
歌詞を紡ぐにあたって、作曲した山下達郎さんは、作詞した伊藤銀次さんと既存曲の邦題を入れられないかと、福生のスタジオや東京の事務所で幾度となく交わした経緯があるそうで、恐らく膨大な候補のなかから、主に以下の3曲が織り込まれております。
Do You Believe In Magic/The Lovin' Spoonful
Let's Live For Today/The Grass Loots
All I Have To Do Is Dream/The Everly Brothers
まず、Do You Believe In Magic/The Lovin' Spoonful は1965年リリース、全米9位の楽曲で、邦題では「魔法を信じるかい?」となっており、歌詞に当てはめると<魔法さえ信じた>と一部換えられて封入されています。
次の Let's Live For Today/The Grass Loots は、1967年6月リリース、全米8位で200万枚売り上げた楽曲で、邦題は「今日を生きよう」とされ、それが歌詞では<今日を生きて>とあてはめられております。
もともとは、David "Shel" ShapiroとMogolによって書かれたものです。Shapiroが属していたThe Rooksという英国出身でありながらRCAイタリアーナというイタリアの会社とのレコード契約を結んでいたバンドで「Piangi Con Me」というタイトルでイタリアで人気を博し、続いて英国でも英語に訳されてリリースを試みるも、Dick James Musicはタイトルや歌詞を不服とし、現在のタイトルに変更するも、全英ではそれほどヒットしませんでした。ちなみにThe Rooksよりも先に全英ではLiving Daylightsがリリースしたそうです。
全米では、Dunhill Recordsが、「この曲はThe Grass Lootsに合うのではないか」と考えられ、リリースしたという経緯があり、Grass Lootsの代表作となっております。
最後の All I Have To Do Is Dream/The Everly Brothers は、1958年5月リリースの全米トップで、ロックンロールの形を作った500曲の1曲として選ばれる作品で、邦題では「夢を見るだけ」とされ、歌詞では<夢を見てるだけ>と換えられ、収録されました。この楽曲だけ1950年代からございますが、気にしない。。
ともあれ、伊藤銀次さんにとっての作詞家としての歩みのなかでも最高傑作とご本人が後に振り返るくらいに凝った工夫がなされております。
まず、"今この曇った空に鳴りひびくウェディング・ベル"という俯瞰した状況に始まって、最後は小さな家の窓から膝を抱えて泣く少年が写されるような情景へと変化していくさまを思い浮かべながら、作詞したそうです。
それを知ってからというものの、少年は魔法さえ信じていた16歳の夏に、忘れられぬ少年とその相手との二人の出来事があって、それはいまとなっては過ぎ去りし日々で、前を向いて生きてきたつもりなんだけど、実は夢に出てくるくらいに忘れることも、そこから脱却することもできずに泣いていたんだろうなと感じながら聴くようになりました。
少年に対する感情移入は思わず、それにしてもウェディング・ベルの下の二人は、少年となんらかのかかわりがあるのか、はたまた、まったくの無関係なのか、気になるところ。
でも、想像に正解がないほうがいいかな、なんだか落ち着くというよりもセンチメンタルな気分にさせてくれる一曲です。
しかしけっこう、1960年代の洋楽はしっかり奥深い一曲が多いんですよね。
半世紀経ってしまうと、能動的に聴きにいかないと耳にしない事例は少なからずあるのだけれど。
もう少し、いまの原点となる音楽に耳を傾けていきたいなと改めて思うあした・の・β<ベータ>でした。
ここまで読んでいただいてありがとうございます(人''▽`) 間髪入れずに言ってみますか・・・ よろしければ!でもまさかね・・・