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2023.11.03 - 北海道博物館「文化の日 講演会」で講演しました

2023年11月3日(金・祝)、北海道博物館(札幌市)にて文化の日講演会が開催され、拠点メンバーの山田祥子(室蘭工業大学)が「アイヌの隣人たち—ウイルタのことばを学ぶ」と題する講演を行いました。 * カバー写真は、お着替え(外装工事)中の北海道博物館です。

ウイルタはサハリン(樺太)の先住民族です。かつて「オロッコ」と呼ばれていたこともありますが、これはアイヌがウイルタのことを呼んだ"他称"に由来するもので、現在では彼らの"自称"にもとづいて「ウイルタ」と呼ぶようになっています。

講演では、アイヌの隣人であり、北海道民の隣人でもあるウイルタの伝統的な言語(ウイルタ語)や文学を紹介しました。ウイルタ語は元来文字を持たず、現在は話者10名に満たない、消滅の危機に瀕した言語です。けれど、2008年に書記法が定められて以来、サハリンでは新しい言語表現の創出や教育普及が進められています。2時間にわたる講演を参加者は熱心に傾聴くださり、ウイルタ語の発音練習までもお付き合いくださいました。

話の一環で食べ物の写真もいくつか紹介しましたが、これがなかなか好評でした。やはり"食"は暮らしの基本ですね。本拠点でも、白糠の風土に根差した、白糠ならではの"食"文化を追究し、潜在的な価値を知り、ひろく分かち合ってゆきたいと思います。(山田)

2010年5月にサハリン東北部のトナカイ飼育キャンプ地で撮影した、飼育トナカイの赤ちゃん。ウイルタはトナカイ飼育民で、飼育トナカイは彼らにとって、家族のような財産のような特別な存在です。(食用ではありません!)
ウイルタの伝統料理「ソリ」。ベリー類(写真はガンコウランとホロムイイチゴ)と魚フレーク(煮た魚の身を細かくしたもの)をアザラシ油で和えた和え物(サラダ)です。臭みがなくさっぱりとして、フレッシュなベリー類のシャキシャキした食感も心地よい、サハリン北部ならではのお料理です。
当日案内の館内掲示。企画してくださった北海道博物館の皆さん、ありがとうございました!


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