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2023.09.23 - 白糠アイヌ協会天内会長によるマレプ漁体験 in ウポポイ

ウポポイにて、白糠アイヌ協会天内重樹会長によるマレプ(プは小文字)漁体験が開催されました。まず、ポロチセ(アイヌ語で大きな家)で天内会長によるご講演、その後、屋外で実演が行われました。(徳楽)

アイヌの方々はサケをシペ(本当の食べもの)と呼び、余すことなく大事に食してきました。基本的には、川に登り産卵活動を終えた後のオスのサケを採っていたとのこと。現在の産卵前のサケを海で採るのとは異なり、資源維持としては最良の方法だと思いました。産卵を終えたサケのことを、北海道の方言で「ほっちゃれ」と言います。これは、油が抜け、身はパサパサとなり、美味しくないため、捨てておけという意味でそう呼ばれているようです。しかし、アイヌの方々は冬の間の保存食とするために、サケを囲炉裏に吊るして燻すと共に乾燥させてました。このような保存方法だと、川に登る前の鮭では脂が多すぎて脂焼けするため美味しくなくなります。「ほっちゃれ」の方が美味しくいただけます。自然との共生という観点だけでなく、美味しく食べるという観点からも、非常に合理的な漁であり保存法であることがわかります。

また、アイヌの方々は、最初に登ってきたサケをカムイチェプ(神の魚)と呼んで大事に扱い、カムイコタン(神の国)へお送りする儀式を行なっていました。また、サケを採取後にイパキクニという木の棒で頭を叩き、息の根を止めることで、サケの魂をカムイコタンに送っていました。人が生きるためには、動物、植物を含め、他の生き物の命を頂かなくてはなりません。人が生きるために頂かなければならない他の生命に最大限に敬意をはらい、大切に扱うことで、食べるために生き物を殺すという罪悪感も昇華させていたのだと思います。現代の人々は、食べるために生き物を殺す部分をほとんど見ないで生きています。今回の天内会長のご講演、実演では、それも全て見せていただく非常に重要な機会でした。多くのお子さんも見ていましたが、かわいそうだけでなく、人が生きることの本質(命の交易)を共体感する、大変良い経験になったと思います。

ポロチセ前の看板
突く瞬間
一突きで仕留めました
採れました
イパキクニで息の根を止める様子

鮭を取る道具、マレク(クは小文字)も遡上してきた鮭を獲るために合理的にできていました。こちらについては、天内会長が出演する動画が公開されておりますので、下のリンクをご確認ください。アイヌ文化保存会の磯部さんによる料理や舞踊も見ることができます。ゴールデンカムイで有名になったチタタプも見られますよ。

下の記事も参考になります。

皆で記念撮影
有難うございました!

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