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舞台 帰れない男の感想


(感想というか、思った事や疑問点を箇条書きで書き出しただけ。ネタバレめちゃくちゃあります。
いつか配信とか円盤でいっぱい見返して答え合わせや疑問点解消できたらいいなあというメモ。)


めちゃくちゃ面白くて奥が深くて、演者さんの迫力に圧倒されて! 毎回観劇後は一緒に行った人と「ここはこうかな!?」っていくらでも話せて面白かったー!
それだけじゃ時間が足りなくて「もっと帰れない男の話がしたい…」って後日電話で話してもらった思い出😂
倉持さんのオリジナル脚本がとにかくめちゃくちゃ面白くて、とんでもなく頭の良い方なんだろうなと感動…。戯曲本も欲しい。切実に……。あのセリフたちに文字でも触れたいなと…。

舞台セット
・きっと野坂が通された客間は『妻への若い男斡旋部屋』
・普通に辿り着くには途方もない長い廊下を歩かないと行けないのに、中庭からも廊下や押入れ?から会話筒抜けなんだなあ。
・客間から中庭を挟んで大広間を見る事ができるのも、主人不在で招かれた男たちが妻としけ込むための配置なのかもと思ったり。
・客間に入るための長い廊下が部屋の前に配置されてるのすごい! 本多劇場は決して大きい劇場じゃないのに、限られたスペースでとても広くて大きなお屋敷をこんな風に表現できるのか!という感動!


三角関係
自分の考えを整理するために書き出した三角関係の全部に野坂がいて震えた。


夫【野坂】
妻【ひより】
妻の不倫相手【久保】


夫【主人】
妻【瑞枝】
妻の不倫相手【野坂・今まで斡旋されてきた男達】


夫【野坂】
妻【ひより】
妻の不倫相手【西城】


以下登場人物ごとに印象に残ったシーンや思った事をつらつらと。
太字のセリフはかなりうろ覚えです。

野坂 宇一(林遣都)
・降ってない雨を見ようとするくだりは結構楽しそう。 観る前はなぜか、神経質で気難しそうな主人公なのかなーと思ってた。 ので、遊び心のある会話とか笑顔が人懐っこそうなギャップがめちゃくちゃ魅力的で、冒頭から結構好きになった。
・こういう古風で、周りくどい言い回しと林遣都さんの声の親和性が高くてめちゃくちゃ聴いてて心地良い。 ちょっとだけフェードルを思い出したりして、久々に録画観たりして。

・また冒頭で野坂が「僕たちは今、霧雨という自分と向こうに見える障子の間にある朧げなものを見ようとしてる」と言ってたの、ある種現実問題から目を逸らしてるって事なのかなーと。 野坂はひよりとの事を。 瑞枝はこの屋敷に身を置いてる限り、自分に起きる全部の事を……?
・最初は瑞枝だけが他の人には見えない雨を見てて、でも野坂も見えない雨を見ようとする、そういう思考に至る素質があったのかな。
下男・石森は「見えない!」って早々に脱落してたのも2人だけは通じる何かがあるっていう伏線だったのかなあ…。

・仕事で世話になってて頭が上がらない相手【久保】と、妻【ひより】の不貞関係に不快感を覚えつつ、【久保】が自分のものを欲しがった事に、優越感も同時に覚えた。 別の事でそういう感情が湧くのは共感できるけど、妻を寝取られてもそう思うのかあ…闇だな。

・色々理性的に考えてるようで、結局自分のことしか考えなさそうで。「ひよりも一息つきたいだろう」とか、自分が帰りたくないだけじゃ?
瑞枝へ「あなたの潔白を証明しようとしてもあなた自身に裏切られる!」とか、いよいよとなれば、自分が屋敷から出て行けばいいだけなのでは?とか。

・そもそも野坂のいう「いよいよとなれば僕だって」という事態は訪れなさそう。 人からのアドバイスや誘導は突っぱねるプライドもあるし。

・あと、時には暴力も必要だ?と言う西城に、「ないんだ!!」って強く言いながら西城とはもみくちゃになって掴み合ってるの二律背反してるなあと毎回思ってた。

・主人の不在を疑った後、障子を開け放って外を見て、中庭に出て強風に吹かれるシーンがすごい好き。この部屋が色んな場所から筒抜けなのがわかって、1人で中庭に座ってる事で「見晴らしのいいところで、1人でいるのを表明しようと思って」っていう、今の野坂にできる精一杯の抵抗で苦しい (帰ればいいじゃんと言われたらそれまでなんだけど😂)

・主人の思惑(円満な夫婦関係を保つために自分が利用されてる)を知って、主人を軽蔑したはずなのに、主人にはそこまで強く出ないのもまた。 後から瑞枝に「あなたの仕返しなんぞに利用されてはいよいよ堪らない!」って言うの。 同じくらい主人にも怒ろうよ!?と。 【久保】と【ひより】の時の二の舞だよ!?と思った😫 遣都くんがどこかのインタビューで野坂について話してた、人間の小ささとか、くだらないプライド?マウント?について。 こういう所にも出てるのかなあって。(記憶が曖昧で申し訳な)

・でも野坂は実際の僕がどう考えてるかなんて誰にもわからないだろうって何度か言ってるけど、瑞枝や、西城や主人に結構核心に近い部分を突かれてる気がする。 野坂に限らず、自分も自覚しない部分の事、中でも認めたくない事を、無理矢理人に自覚させられるのはしんどそう…。

・この屋敷を実態を暴くために追い出された屋敷に5日間も潜んでる野坂。『帰れない男』というより『帰りたくない男』に思える😂 でもフライヤーには『帰り方を忘れてしまった男』ともあって……屋敷から帰れないんじゃなくて、自殺未遂をした妻と相対する事で、何か事態が変化する事を恐れて帰れない、なのかなあ。

・押入れ?から出てくるところ面白すぎた。押入れから出てくる方が「何をしてる」って聞くのが😂
・5日も潜んでるのに何も掴めてない事を西城に「君は潜んでた、俺は潜んでない。でも2人とも何も知らない!君がしてることは無意味だ!」って言いながらうちわで頭を何回も叩かれるところ、険悪なシーンなのに野坂が真顔のまま叩かれてるの面白くて毎回笑ってしまう。 しかし西城の核心を突く台詞がつくづく好きだ…。

・中庭に潜んでたら瑞枝が出てきて(怖かった…)抱きしめ合うの、立場は違えど似た境遇に置かれてるって事もあると思うけど、それだけじゃない気がするけど、言語化が難しい〜!
・中庭で後ずさってから抱きしめ合うところ、家のセットの柱と桁が額縁みたいになっててめちゃくちゃ美しかったなあ。
・窓を閉めないで「見晴らしのいい場所で2人でいる事を表明しましょうよ」って言われて障子のそばで2人が並んでるのも絵画かと思うくらい美しい!ポストカードとか、何らかの紙媒体で欲しい。
・抱きしめた時、妻もいるのに、あんなに争ってたのに、とうとう陥落しちゃった……という思いと、屋敷の不思議な空気感と圧倒的に絵面の美でうっとりする思いが交錯した良いシーンで好きだなあと思う気持ちと。
・でも野坂は瑞枝を抱きしめたものの、それが愛なのかは分からなかった。 というか基本的に野坂の愛情がどこに向いてるのかが私には分からず。そこがはっきりしないからこそ、この後どうなって行くのかわからない感じが面白いなあと、私は思ったけど…。

・半年後、主人から新刊の中にある『知らない路地』の感想を言われた時。「どこかに辿り着く事、ひとつの答えを導き出す事よりも大事。それこそが生き甲斐たりうる」これを聞いて野坂が、自分自身も主人と同じように【自分】と【妻】と【妻の不倫相手】の三角関係がずっと続く事を望んでるかのような思考を自覚させられてショックを受ける。 この表情の変化がすごい好きだったー。
・返事を欲しがる西城に、それらしい事を言って返事を後に持ち越して「先延ばしにするつもりはない」なんて返してた野坂が、自分の作品を通して指摘されるのが。 作品が自分の内面を映す鏡なんだとしたら認めざるを得ない。
・しかも軽蔑してたはずの主人に、作品を通して自分と同じ考えだとわかって嬉しい!とも取れるような態度で来られたらショックだろうなあ。

・久しぶりみたいな顔をして、瑞枝とは会ってたんだなあって事がわかるの怖い。 最初に西城を残して客間に不在なのって瑞枝を探してたのと、主人とあんまり顔を合わせたくなかったのかな。

・ハサミの所在で激昂する瑞枝に「あなたがこだわってるんだ!!」ここの真意が難しい。
・でも野坂と瑞枝のこのやりとりがあったから、それを見た主人が今後も続けられると思ってた三角関係が破綻している事を悟ったんだよね…?
そして絶望して、広間のハサミで自害した…。

・この2人のやりとりが主人を自害させるところまで追い詰めた事、幕が降りた後の野坂はどう受け止めたんだろう。


・本当に全編通してこんなに意味深なシーンが多すぎて、あさイチでご本人が言ってた「馬が卑猥なものに思えてくる」っていうの、わかるな!?と思った! 紛らわしい言い方をするじゃん…「裸馬が家内めがけて突進してきた」とか、何かの隠語かと。



山室 瑞枝(藤間 爽子さん)
・初見は魔性の女だと思った。
・2回目である意味とてもピュアな人なのかも、それが逆に怖い、と感じて。
・3回目以降にすごく可哀想な女性なのかもと思うようになった。見る度に印象が変わってすごい!パンフレット内の座談会で藤間さんも言われてたけど、その通りだなと!
・藤間さんのお姿や着物も美しいけど、とにかく声がとても美しくてよく通って、耳心地が良いのに、話し方とか言い回しがとにかく不安感を覚えた。 主人の「不安にさせる会話」ってこういう事か!という説得力に感動。

・野坂の妻ひよりの気持ちを想像、代弁する時に言った【夫】が【妻】と【妻の不倫相手】に対して不快感と共に優越感を抱いてる事。 そんな夫の感情を妻も把握してる事。 「不快感と優越感、そういう重要な事もくだらない事も全部同じように大事なような気がして、何かの結論を出すことよりも3人でこの気持ちを抱える事が何よりも大事だと感じるようになった事」 ひよりの事を言ってるようで完全に自分の事で。 でもこれは瑞枝自身の本心じゃなくて、長い年月を経て、主人の思想に染まらざるを得なかったように思える。 つらい。

・多分結婚した当初は主人を愛してた、もしくは愛そうとしてたんじゃないかな。
・でも主人から謂れのない疑念を持たれ続けて、それが数年間も続くなんて、確かにこんなに苦しい事はない。
・そして瑞枝の言う通り、本当に主人の嫉妬の原因が瑞枝自身にはなく「嫉妬の原因なんて当人の中にしかない」のだとしたら(しかも相手があの主人。 もし弁明してたとしても話通じなさそう)なんて可哀想なんだ……と。
・そうして主人の望むように振る舞いつつ、時間をかけて精神をすり減らした結果、主人へ怒りから仕返ししたい気持ちが湧いてきて、その結果野坂を自ら屋敷に招く冒頭シーンに至ったのかなと思った。「仕返してやりたいと思ったってしょうがないんじゃないかしら!」というセリフがめちゃくちゃ悲痛で苦しい。
・いつもは主人が斡旋してきた男と関係を持つけど、急に妻自ら男を連れ込んだと知ったら主人は焦るだろうな。 そりゃ2時間かけてでも大急ぎで帰ってくるか、という気持ちともっとちゃんと愛してあげれば良いのに、という気持ちと。

・でも最初は主人への仕返しのつもりで招いたとしても、瑞枝は野坂を本当に愛し始めてしまってる……?
「あなたの仕返しなんかに付き合わされたんじゃいよいよたまらない!」という野坂に対して、「仕返しなんて気持ちだけでは持ちませんよ!」からの台詞、劇中で一番好きかもしれない。以下耳コピ。
「仕返しだけでは持ちませんよ!あなたはそう信じたいのでしょうけど。ただ仕返しをしたいだけだと。仕返しだけでそこに本当の気持ちはなかったと。そう思いたいのでしょうけど、まるで気持ちを抜きにして、そういつまでも誰かと一緒にはいられませんよ」
このセリフ、最初は主人の事かなあと思ってたんだけど、途中から野坂を本気で愛しはじめたって事なのかもと。
・そしてあの部屋でのやりとりは、きっといろんな場所から筒抜けだから、妻の本心を聞いた主人が焦って大急ぎで部屋にやってきて野坂にお帰りください!と言いに来たのかなって。
・野坂を追い出そうとした、その後の夫婦のやりとり、「そうやっていつも反対の事をなさるのね」「お前がかい」「ご自分のです」ここをどう受け止めたらいいのかまだわかりかねてるのでこう思う!って意見があったら知りたい。
・あとこのやりとりを見てる野坂が目を見開いて瑞枝を見てる表情がすごく印象的で。 ここで瑞枝への認識が少し変わってそうだなって。 言語化できないけど、後に再会した二人が抱きしめ合う事になったの、瑞枝の本心に触れた事もきっかけのひとつになったんじゃないかなーーと。

・瑞枝は何度も自分と野坂の妻【ひより】を重ねてたけど、【ひより】は野坂、久保、西城の3人、少なくとも西城1人からは確かに愛されてるし、わざわざ男を当てがわれたりなんてされてないから、より瑞枝が孤独で不憫に見える😭

・そして半年後。 西城に「もうすぐ結婚なさるんでしょう?」イコール、野坂はひよりと別れて自分と一緒になれる?と思ってるのを否定されたら、あのハサミの行方をめぐって乱心したのかなー。

・ハサミについて、どんな思惑があったのか一緒にみた人と散々話したけどあんまりこれだ!って結論が出なかった。 取り乱した瑞枝が自分自身の言葉を否定される事に激昂しただけなのか、誰かを傷付ける画策があったのか……しかしどう取っても成り立つ気がする。 考えれば考えるほど本当に面白い!
・ハサミの在処について文子と言い合ってる時、「なぜ私の言葉を信じないの!」って言葉、文子に対してだけじゃなくて、色んな事にかかってる気がして切ないと思った。 全然的外れかも知れないけど…。

・ただ主人の血飛沫が飛んだ障子が瑞枝の視界に入ってるはずなのに、その間に降る雪を見て「積もるかしら?」って言ってるのは恐怖だった。
・そして同日にマチソワを連続で見た時に思ったんだけど、舞台冒頭では、野坂が「(雨が)降ってますか?」と言い、瑞枝が「降ってます」と返す。
ラストシーンでは、瑞枝が「(雪が)積もるかしら?」と言い、野坂が「積もるもんか」と返す。
対になってる!?ってソワレ冒頭で感動した記憶。

・瑞枝、どうやって主人と知り合ったんだろう。銀座に行きたくない理由も気になる。



山室 征太郎・主人 (山崎 一さん)
・一番ヤバイ人 (個人の感想です)
・ただ廊下を歩いてる姿が面白くてすごい。
・コメディパートは面白すぎたし、表情に迫力がありすぎた…顔は笑ってるのにめちゃくちゃ怖い!?って思うシーンがたくさんあった。
・初見は【年老いた自分ではとても満足させられない、奔放で魔性の妻】を満足させるために苦しみながらも若い男を当てがってるのかと思ったけど、全然それだけじゃないなあ。

・自分の妻と野坂が、2時間何を話していたのかめちゃくちゃ気にするのに、野坂の帰宅が難しいほどの雨を喜ぶの怖すぎる。(大雨を見て「これは傘も役に立たないなあ」って言うセリフ、正面からだと後ろ姿だけど、下手側の席で見てた時に満面の笑みが見えてこっっっっわ!!?!ってなった。)

・主人は瑞枝と自分が円満な夫婦関係を継続するために、妻に若い男を当てがう事が必須だと盲信していて、しかも妻も同じように思ってる、というヤバ思考の持ち主。
・しかもその状況を苦しみながら楽しんでもいる。 若い男が妻に手を出したら傷付くのに、安心もしてるし、それが才能ある男であるほど優越感を抱く。 自分をやたらと『凡人』と言い、野坂の『才能』を持ち上げるのはそういう部分もあるのかな。
・野坂と瑞枝が二人きりのところを、ランプを持って笑いながら中庭から覗こうとしてる時の笑顔がまた怖くて異常な人物だってわかる。
・そしてこんなに執着してるのに、主人が瑞枝の事を本当に愛してるのかが全然わからない。
・好きなのに妻を卑下するような事を繰り返し言ったり。 妻へ銀座に行きたがらない理由を聞こうとも思わない。 怖すぎる。

・野坂の言う通り、『本当に不在がち』なのではなくて、不在を装って妻と男の不貞を覗き見してたんだろうなあ。野坂の「あなたが本当に不在かどうか、僕には確認しようがない」に対して「あるいはそうかもしれませんな」「そうなんです」このやりとりヒリヒリして毎回好きだった。

・妻の置き忘れたハサミで自害する主人は、絶望の中に愛憎も感じた。

・前妻が亡くなってから変わってしまったという主人は、なんで瑞枝を選んで結婚したんだろう。
・瑞枝の愛し方がこんなに歪んでしまったのは何故……。



西城 好朗 (柄本 時生さん)
・キャラクターがかなり好き。
・のらりくらりとした会話をする瑞枝に「言ってないよ!」と一刀両断するところにめちゃくちゃ痺れた。特に初見の瑞枝がミステリアスで怖すぎて。
・野坂、瑞枝失踪後に疑いをかけられた事を憤る西城に屋根裏?にいた野坂が「聞いてたよ」っていうの、本当にどこにいてもあの部屋のやり取りは筒抜けなんだなって怖くなった。
・西城は突くセリフも多くて、聞いてるとスッキリする。
・例えば野坂に言った「自殺するべきは自分だったと思った事はないかい?」こう着状態に陥った三角関係を精算するためには誰かが死ぬしかないという考え、まず聞いて、ん?と思ってたけど、その後の「そうやって君が結論を明日、そのまた明日って先延ばしにしてると、最初に息切れした奴がまた死ぬぜ。俺は死にたくはないからな」ってセリフであーーーーなるほど!と。
・実際最初はひよりが自殺未遂をして、ラストは主人が自害したわけだし。 このセリフに対して野坂は理解してるのか、そもそもしたくないのか何とも言えない表情だった。
・多分、【野坂・ひより・久保or西城】の三角関係を断ち切るために死ぬべきは野坂だったし、【主人・瑞枝・野坂】の三角関係を断ち切るために死ぬべきは主人だった、という事なのかな。

・半年後の冬、「西城さん、もうすぐご結婚なさるんでしょう?」って言われた時、わざわざ瑞枝に向かって「まだ、わかりません」って言うの、ゾクっとした。このセリフで瑞枝のメンタルを叩き落としたよね。 そこまで意図はしてないかもしれないけど。

江見 文子・女中 (佐藤 直子さん)
・唯一、ことの成り行きを全て見てきた人。
・前妻が死に、おかしくなった主人をずっと見てきた文子さんの行動ってわかってから見るとずっと一貫してる。 瑞枝の事も最低限奥様として奉仕しつつ、結局大事なのは主人ひとりだけなんだなあと。
(瑞枝、もしかしたら誰からも本当の意味では愛されてないんじゃ…つら)
・女中として奥様の恩人への敬意とお礼の必要性は感じつつ、別に屋敷に引き留めたいとは思ってない。 序盤しつこく手伝おうとする石森を拒否するのは、単に手伝いが必要無いだけじゃなくて、野坂と瑞枝を2人きりたくないのかなーとか。
でもじゃあ、野坂の服を洗って干さなければよかったのに、とも思う。

・飄々とした西城に「あやどん」と呼ばれて振り回される可愛かったのに、後のシーンで西城を騙すことくらい「造作もない事ですよ」って言った時、文子も一癖も二癖もあって怖!!ってなった。
・野坂を5日間も匿ってたのは、瑞枝を旦那から引き離してくれると思って利用したかったんだよね…。 2人を暴きたいという理由だけで隠れる野坂も野坂だけど、文子もすごい事する。
・前妻と旦那様の昔話をした後「そろそろ雨戸立てておかないと」というセリフと、立ち上がる時の動作に役相応の老いを感じた。 本当に長い事この家に仕えて、主人を見てきたんだなあと言う年月を見た気がした。 深読みかもしれないけど、結構動くシーンも声を張るシーンも多い文子だから、ここのくたびれ方に毎回ドキッとする。


石森 政男 (新名 基浩さん)
・多分、野坂に滞在を勧めたり、屋敷の中をウロウロと嗅ぎ回ったりしてる事に何か思惑があるわけでもないし、誰の味方でもない。
ただただ屋敷の中のゲスいゴシップが好きで、この状況を唯一楽しんでる。
・主人に対し、『瑞枝の行動を事実以上に怪しく報告して楽しむ』とかしてそう。逆もしてる。
・石森から意味深な電話を受けて、主人はあんなに焦って2時間かけて帰ってきたのでは。
・今作の状況、超根本的な問題は山室(主人)にあると思ってるけど、夫婦関係のさらなる悪化?複雑化?に石森も一役買ってそう。
・主人のそばについて歩いてる時と、1人でだるそうに廊下歩いてる時の違いがすごい!
・失踪した瑞枝の事を「あの女とうとうやりやがったなあ」って言うの、お、お前ー!ってなった。
・文子が言う「もっと自分の事で笑ったり悲しんだりしたほうがいいと思います」ってその通りすぎる。文子……そこまで石森の性質を見通してるなら石森を解雇するように主人に進言したほうがいいんじゃ、と思ったけど、主人は自分が不在の間に代わりに瑞枝を見張る目がないともう居ても立っても居られないのかもなあ。
でもだとしたらもっとフラットな目で報告してくれる人を雇おうよと思うけど、他人に醜聞を晒したくない主人のプライドが許さないのかも。
石森はクズいから、ある意味主人も取り繕わなくていいし。



最後、あの幕の降り方、あ……終わっちゃった……と思いながらすごいものを観たなあという、満足感でいっぱいで、拍手を送れて幸せでした!
舞台セットも、衣装も、弦楽器の音楽もよかった!耳も目も心も満たされました!

今回の舞台も面白かったな〜〜幸!
素敵な舞台をありがとうございました!!!



※メモ
1シーン目(野坂が瑞枝に招かれる〜主人が帰ってくるまで)
2シーン目(西城が訪ねて来る〜主人が野坂と瑞枝を覗いてるところまで)
3シーン目(紅茶を飲む〜旦那にお帰りくださいと言われるまで)
4シーン目(西城が訪ねてくる(二度目)〜野坂と瑞枝が抱き合うまで)
5シーン目(半年後、冬〜ラストまで)




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