見出し画像

[ASIBA授業レポート] 第二週「課題仮説を立てる」

「ASIBA」(Architecture Studio for Impact Based Action)は、東京大学・早稲田大学建築学科生有志(代表:東京大学大学院建築学専攻修士1年 二瓶雄太)が企画・運営している、建築系学生を対象にした2ヶ月間の都市建築領域に特化したインキュベーション・プログラムです。

第二週目となった授業のオープニングでは、最初に本スタジオの目標について改めて共有を行いました。今、大手ゼネコンや建設会社がベンチャービジネスやVCにかつてないほど力を入れている、そんな時代にあってこのASIBAプロジェクトはまさに時代の中心を走っていて、こんないいチャンスは他にない。代表の二瓶がASIBAにかける本気度に、運営も参加者もいっそう身が引き締まる思いになりました。

参加者による課題の発表とディスカッション

今週までの課題として、参加者各自が取り組むテーマに関して5W1Hを可能な限り「幅広く」「詳細に」調べて、背景知識を蓄えてくることが課せられました。なぜその未来を描くのか、何を扱い、誰のために、いつどこでやるのか、自分のアイデアをさらに深堀りしていき、全体に分かりやすく伝えることが求められます。また、今回は参加者同士でのフィードバックの時間が取り入れられ、多角的な視点での広い意見交換が行われました。参加者が深堀りしていくテーマは、建築設備運用のエネルギーを最適化する新たな技術の社会実装や、「落語」を次世代のエンタメカルチャーに変えること、二畳の小さなスペースを依頼者が気軽にオーダーメイドして運営できるようなサービスの提供など、十人十色でさまざまです。同じ志をもちつつも全く異なった専門分野を持つ人どうしのやり取りはどれも非常に興味深く、新たな気づきへと繋がったのではないでしょうか。

また今週から、参加者各自がユーザーや専門家にインタビューを実施する、ヒアリング(検証)も行われはじめています。「カスタマーマニアになろう」を合言葉に、顧客や専門家からの意見に耳を傾け、情報収集を行います。事業の経験がなく、今まで学内に閉じこもっていた人にはとても勇気のいることですが、このようなASIBAでのプロジェクトを通して、参加者全員がきっと大きく成長できるでしょう。

「解像度を上げよう」

次に、代表の二瓶から「顧客の解像度を上げる」をテーマにレクチャーが行われました。

事業を成功させるためには、多くの事例を知っていることはもちろん、顧客の課題を深堀して整理できている必要があります。解像度を上げるために重要な4つの軸は、深さ、広さ、構造、時間。たとえ特定の事象に関する知識が深くても、関連する他の事象に対してどれくらい広い知識をもっていなかったり、要素同士の構造や関係性が見えていなければ意味がありません。さらに課題の歴史的な位置づけや変遷といった、時間軸を意識することも重要になってきます。
「解像度を上げる」ための授業内ワークショップとして、各自のテーマに関して「Why So?」を繰り返して、ロジックツリーをつくる作業が行われました。現状の大きな課題が一つあったとき、それがなぜ起こるのかを考える。出てきたより小さな課題をさらに分解していく。これを繰り返すことで、考えが整理・視覚化されて、課題仮説について自然と深堀りができるようになっていくのです。

ロジックツリーの例

「顧客を通して仮説検証を行うのがビジネス」

そして、仮説検証の重要性についてもレクチャーが行われました。
スタートアップが挑む領域は、新規性が高く、そして極端に不確実性が高い。その中で自分の答えを出して確かめていく必要があります。そのために重要なのが「仮説検証」のマインドです。現象を通して自分が正しいと思う仮説を提示し、それが正しいかどうか実験して検証を行う、思った通りの結果が得られなかったら、再び仮説を立て直して検証する。自然科学の領域では基本となる考えですが、ビジネスが科学と違うのは「自然現象ではなく、顧客を通して仮説検証を行う」こと。どんなに優れた仮説でもマーケットで通用しなければ意味がありません。さらに、ビジネスでは仮説がその後の意思決定と商運に大きくかかわること、そして仮説検証をいかに安く・早くできるかが重要であることも、自然科学との大きな違いです。ビジネスマインドに関する知見を深めたところで、今回の授業は終了しました。

メディア/お問合せに関して

お問い合わせはこちらにご連絡ください。また、企業や大学、行政、メディア等からのご連絡も受け付けております、気軽にご連絡下さい。

asiba.studio@gmail.com


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?