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カンム社で1年働いて意外だったこと3選

カンム社に入社して約1年が経ちました。振り返りも兼ねて、働いてから感じた意外なことを書き連ねました。

本題の前に少し入社前のことに触れたいと思います。それより前のことはプロフィールに書きました。

入社前

自分は元々フリークアウト社というアドテク会社の子会社に出向しており、当時のオフィスは六本木通りを挟んでフリークアウト社の向かいにあるビルで、そこにはカンム社を含むフリークアウトの投資先のスタートアップが入居していました。

当時、カンム社のことは知らなくて、社長が羽生結弦の大ファンらしく(なんで羽生結弦なんだ?本気なのかギャグなのかわからん...)社内に羽生くんのカレンダーが飾ってあったり、たまに社員にいたずらしていたり(これは今も)、変わった会社だなぁ、くらいの印象でした。

ただ、カンム社に入る前に業務でカンム社のエンジニアと何度か会話する機会があったのですが、めちゃくちゃ優秀ですやん... と密かに衝撃を受けたり、プロダクトに真摯に向き合っている雰囲気を節々から感じたり、良さげだなぁと、ざっくりながらポジティブな印象も持っていました。


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六本木オフィスは夕日が綺麗だったり、神宮球場の花火が見えたりした


入社後

カンム社に本格的に関わり始めたのは2019年の年始でした。当初は出向という立場だったのですが梅雨の時期に転籍し、現在に至ります。

入社当初は特に具体的な役割は決まっておらず、1人でBizDevをやっていた社長の8makiが抱えているものを引きはがすところから着手しました。

今ではある程度役割が整理されて、BizDevチーム化しており、8maki, garciaaanと自分の3名で、プロジェクトごとに役割分担する体制になっています。

BizDevは、大きな組織においては外部パートナーとの提携/折衝を担うケースが多いように思いますが、当社のような小さな組織では、PLを見たり、事案が勃発すればオペ支援したり、新規事業の法規制の整理したり、マーケ/CS/オペがやらないもの/それらの間にこぼれ落ちそうなものは全部やるんやで、というオールラウンダー的な役割を担っています。


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当社秘伝のプロダクト戦略 3 steps の図 (右から左へ)


前置き長くなりましたが、本題です。

カンム社に入社して感じた意外だったことを3つほどご紹介しますが、そもそもカンム社なんて会社は知らんという方は、すみません、こちらの会社紹介資料をお読みいただいて、面白そうやん、と思っていただけましたら、続きをお読みいただけますと。

意外その1 「数字だけじゃなくて、人間と向き合える会社」

「カンム社では皆SQL書くんや」とか、社長やCOOも元エンジニアであるということも手伝って、カンム社ではゴリゴリ数値/ファクトベースで意思決定する会社なんだろうな、というイメージされる方が多いのではないでしょうか。自分もそうでした。

実際のところ、意思決定の方法がフォーマット化されていて、意思決定の前提となるファクトが出揃っていることが当たり前に求められていたり、全社員が自分の業務においてSQLを使ってデータを元に日々仮説を作ったり、分析したりしています。

自分自身も入社当初はSQLは触ったことがなかったにもかかわらず、カンム社でのスパルタンSQL(詳しくはCOOのブログを)なる特訓を受けた結果、数ヶ月で日々の業務でSQLを使えるようになり、半年程度でサブクエリやWindow関数を駆使して100行を超えるクエリも書けるようになりました。(蛇足ですが、カンム社に入って一番良かったことはSQLと巡り会えたことかもしれないと思うくらい、データが好きな自分にとっては最高すぎる体験です。SQLいじってるときが一番幸せかもしれません。いつも懇切丁寧に教えてくれるカンム社のエンジニア各位ありがとうございます!)

このように数字によって高い精度の意思決定が日々なされていることはカンム社の特徴の1つだと思います。

一方、数字は問題がどこにあるか/何がうまく行っているかを把握するのには役に立ちますが、それがなぜなのかまでは説明することは得意ではありませんし、その数字が作り出されるに至るまでに存在するバイアスも無視できません。

カンム社はこういった数字の限界や、数字が語ることのできない部分に対して自覚的な人間が多いように感じており、むしろ、数字以外の部分に人間という不可思議な生き物と正面から向き合おうとする点に特徴があるように感じています。

実際のところ、入社当初、なぜバンドルカードのユーザーがクレカを使わないのか、自分は理解できませんでした。

バンドルカードはクレカを持っていない人ばかりでなく、クレカを持っている人がバンドルカードを併用したり、むしろメインカードとしてバンドルカードを使っているケースが一定の割合を占めているという事実があります。

では、こうした人々がなぜバンドルカードを使ってくれているのか?

この問いと向き合うためにアンケートやユーザーインタビューを積み重ねる中で、ユーザーがバンドルカードを利用するシーンにおけるコンテクストやその心理なるものの輪郭が徐々に浮かび上がり、やがてはっきりと認識できるようになっていく。

カンム社においては、こうしたプロセスを描き出すプロセスが構築されていることに感銘を受けました。

それが昇華して表現されたものが会社のビジョンの一部でもある「心理的unbanked」なるコンセプトです。

個人的に『ジョブ理論』の「アメリカで通勤時に車でシェイクが好んで飲まれるのはなぜか」というお題が好き(単に定量データを見るだけではユーザーの行動を説明できない、の一例)なのですが、バンドルカードのユーザー心理が明らかにされるプロセスはまさにこれを具現化したもので、そのプロセス自体が学びに満ちあふれており、プライスレスな体験でありました。

数字やファクトを前提とした高い精度の意思決定フォーマットがカンム社における事業推進の根幹であることは間違いないのですが、一方で、最近のスタートアップ界隈ではエンジニアでなくともSQLを触れることは当たり前になりつつあるように感じています。

こうした状況において、数字だけでは語ることができない領域、「人間という不可思議な生き物」と向き合い、彼ら彼女らが生きるコンテクストに寄り添い、見落とされそうな小さな感情や痛みを言語化/事業化する能力こそがスタートアップの優位性なのではないかと感じる今日この頃です。


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ある日近所のローソンが突然「OWSON」になっていた


意外その2 「現場が自律駆動する会社」

現状のカンム社の組織図においては、CxOが各職種を管掌する他は、基本的にはマネージャーは配置されておりません。

もちろん、手続き上の社内承認プロセスは存在していますが、基本的には各々が自分の持ち場のプロフェッショナルであることが前提とされており、かなりフラットな組織構造となっています。

フラットな組織構造であること自体を手放しで肯定しているわけではないのですが、社全体として、いわゆるマネジメントに割かれるリソースが恐ろしく小さいことには驚きました。

制度的には、1on1、RANCHI(COOであるachikuとの1on1ランチ = 飯を食いながらポジティブフィードバックをお互いに行う会のこと。詳しくはCOOのブログを。2回目...)等によって定期的にコミュニケーションする機会が用意されていますが、基本的にはプロジェクト/施策を進める中でチームの中で問題解決されています。

それゆえ、カンム社におけるマネジメントは施策の優先順位付けとリソース配分と言い換えても差し支えなく、マネージャーがより重要度の高いことに脳を使うことができているように思います。

現在社員数が30名弱なので、組織規模から考えてマネジメントコストが小さいのは当然とも言えるのですが、それにしても、という感覚なのです。

それを可能にしている要素の一つが当社で浸透している「一騎当千」という、キングダムをお読みの方にとっては既視感のあるキーワードです。

大まかに言えば「1人1人が担う役割において圧倒的なプロフェッショナルであること/あろうとすること」を表現している言葉です。

「プロフェッショナル」というと専門知識が豊富、といったイメージが思い浮かびますが、それだけでなく、よく分からない難問に直面しても、都度問題を解きほぐして解決していく、そのために必要な知識は都度身につけていけばよい、といった汎用性のある習慣、と言った方が実態に近いかもしれません。

これは行き当たりばったりで体当たりで行けばええやん、ということではなく、将来を見据えて先回りすることも含めての話です。

カンム社の人々は息をするように当たり前にこうした姿勢で仕事と向き合っている感覚があり、現場が自律的に問題解決する能力(会社のそこかしこで当たり前に行われていることから、意図を強調するためにあえて「現場」という単語を使っています。)が大変高い会社であるように思います。


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pongzu(左下)が入社後初めての大仕事をやり遂げた祝いの酒


意外その3 「決済だけの会社ではない」

入社時のカンム社のイメージはバンドルカードやってる会社、領域としては決済をソフトウェアでゴリゴリやっている会社という印象を持っていました。

ところが、入社後早々に会社の目指すビジョンに関するオリエンを聞いて、あぁ、カンム社は決済だけ考えている会社ではないんだなと認識を改めたことを記憶しています。

既にメディアや採用資料等の各所で話が出ていますが、現在カンム社では新しいプロダクトを仕込んでおり、そこでは決済以外の領域にもチャレンジしていきます。

「決済」は物やサービスと金銭の交換を媒介する機能ですが、「金融」は資金の流れを作る、お金が余っているところからお金が足りないところにお金が流れる仕組みであります。

バンドルカードにおいては後払い事業者と連携しながら、後払いサービスを提供しているので、金融要素は既に一部持ち合わせてはいると言えなくもないのですが、今後は社として本格的に金融の仕組みを作っていくチャレンジをしていきます。

それが、既存の金融サービスの便益を十分に享受できていない「心理的unbanked」な状態にいる人々に喜ばれるものであり、広がっていくものを作っていきたい、カンム社はそのような大きな野心を持っている会社です。

これからカンム社が挑戦しようとしている投資サービスは、一言で言えば資産形成のお手伝いをするものですが、そこには「資産形成」と「人生の自由」とのトレードオフが存在していると考えています。

自分や家族の将来のためにお金は増やしたい一方で、将来どのような人生が待っているか予測もできないし、そのときに選びたい選択肢を諦めたくない。資産形成はもちろん大切なんだけど、人生からお金の心配はできる限り小さくして、人生でやりたいことや好きなことに自分のエネルギーを注ぐことができるのが一番大事。お金に振り回されるのではなく、自分自身でお金をコントロールして、人生の選択肢を広げたい。

事業領域は違えど、ソフトウェアによって人々が自分でお金をコントロールできるサービスを届けたいという点においては、バンドルカードが目指す世界観とも共通する部分があります。

2020年は、カンム社にとって、こうした新しい挑戦をする年でもあるので、今から楽しみです。

カンム社に少しでも興味を持たれた方は、会社紹介資料に詳しいことが書いてありますので、のぞいてみてください。

あと、本記事は、カンム社のアドベントカレンダー2019 day9 です。こちらでカンム社員による記事が見れますので、よろしければ。


おまけ

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娘とビールを飲む練習をしている図


プライベートな話ですが、2019年1月に娘が産まれまして、その後早いタイミングで保育園に入り、現在共働きで子育てをしながら働いています。出社/退社時間を調整してもらってやりくりしており、柔軟に対応してもらってありがたい限りです。子どもの成長観察楽しい!

カンム社と子育てって、あまりイメージ湧かなかったので、これも意外と言えば意外ということで。


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