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リンゴ vs ビタミンC~栄養のはなし

1.リンゴ vs ビタミンC

さて質問です!
抗酸化作用のあるリンゴ、そしてリンゴに含まれる抗酸化物質であるビタミンCなのですが…

100gのリンゴ(ビタミンC5.7mg含有)の抗酸化作用
 vs 1000mgのビタミンCの抗酸化作用

どちらの抗酸化作用の方が強力だとおもう?
リンゴ100gは、だいたい1/3個くらい。


… 考え中 …


答えは100gのリンゴでしたー
正解だったあなたは、きっとまこちと同じひねくれ者(笑)

100gのリンゴと1500mgのビタミンCが同等の抗酸化作用があるんだ。
実は、100gのリンゴの抗酸化作用は、リンゴに含まれるビタミンCなどの抗酸化成分が単独で働いた場合の263倍に相当するんだって!
ビックリだよね。

どうしてこんなことが起こるのか?

それは、リンゴの中にはビタミンC以外の抗酸化物質や、その他成分が沢山含まれていて、吸収効率が良かったり、成分同士の相互作用によって効率的に抗酸化作用を発揮するからなんだ。

今回参考にしたのはコリン・キャンベル博士の著書「Whole」だよ。
ちょっと分厚い本だけど、内容は凄くしっかりしているし、面白い発見があるから、読んでみて!


2.βカロテンは天使と悪魔

βカロテンは、葉物野菜、唐辛子、人参、カボチャなどに含まれる成分で、強力な抗酸化作用があって、肺がんやおそらく他のがんになるリスクを軽減してくれる成分なんだ。

なんだけど、フィンランドでの研究によると…
βカロテン単体をサプリとして6年半摂取すると、肺がんによる死亡が46%増加、心血管疾患による死亡も26%増加することがわかって、研究が途中で中止になったんだって!

同じ研究で、βカロテンをサプリではなく食べ物から摂取した場合は、やっぱり肺がんが減っていたんだ。
βカロテンは野菜として食べれば天使、サプリとして飲めば悪魔ってことだよね。

βカロテンの他にも、ビタミンEサプリや、ω3脂肪酸(DHA、EPA)サプリでも、同様に、サプリから摂取すると効果がなかったり、反って死亡率が増加したんだって。

何が言いたいかというと、有効成分単体では、効果がないどころか、かえって有害になる可能性もあるってこと。


3.含有量≠体内の作用場所での量

常識的に考えればわかると思うんだけど、食べ物の中に含まれている成分の量が、食べた分だけそのまま体に吸収されるわけではないんだ。
ビタミンCが100mg含まれたリンゴと、500mg含まれたリンゴを食べたとき、吸収されて利用されるビタミンCの量は、単純に5倍にはならないってこと。

私たちの体は、その時の状態によって、沢山吸収したり、吸収を抑えたりして、調節してるんだ。
こういう働きをバイオアベイラビリティ(生体利用能)というんだって。

カルシウムの場合は最大で2倍、鉄の場合は3-19倍も変化するんだって!
答えは体が知っているぅ!


4.同じ食品でも含有量は40倍違う

βカロテンは、同じ食品であっても、モノによっては3-19倍もβカロテンの含有量が違うよ。
キャンベル博士によれば、ある桃では、同じ品種でもβカロテンの含有量は40倍も違うんだって!

どうしてそんなに違うのか?

育ってきた環境が違うから 好き嫌いは否めない♪
夏がダメだったり セロリが好きだったりするのね♪

SMAP、懐かしいよねっ


てことで、育つ場所、季節、風土、保管の仕方、処理の仕方、調理の仕方なんかで、大きく変化するってことが言いたかったんだけどね(笑)


5.成分同士がお互いに影響する

リンゴの例で書いたように、食べ物の中には、いろんな成分が含まれていて、それらが互いに影響し合って効果を発揮しているんだ。

カルシウムは鉄のバイオアベイラビリティを最大400%減らす作用がある。
βカロテンなどのカロテノイドは、鉄のバイオアベイラビリティを最大300%増やす作用がある。

だとすると、高カルシウム・低カロテノイドの食品は鉄のバイオアベイラビリティが低く、低カルシウム・高カロテノイドの食品は鉄のバイオアベイラビリティが高いことになるよね。
理論上は最大で12倍の差が生まれることになる。


6.まとめ

いろいろ見てきたけれど、結局何がいいたいかというと…

成分にばかり注目しないで、食べ物を全体として捉えようってこと。
そして、サプリメントを盲信しないでってことなんだ。

抗酸化作用をアップして、がんを防ぎたいなら、βカロテンサプリやビタミンCサプリではなくて、リンゴや葉物野菜やニンジンをそのまま食べよう。

ニンジン○○個分のβカロテンをぎゅっと濃縮!
とか、
有効成分○○倍!

とか、そういうのは、
体に入る前の量を示しているだけであって、一緒に摂取する食べ物や成分、その時の体調なんかによって変化するから、まるっきりアテにならないってこと。

リンゴはリンゴとして、しじみはしじみとして、にんにくはにんにくとして、ごまはごまとして食べるから価値がある。


中国の伝統的な食養生の考え方に「一物全体」という考えがあるのをしってる?
単一の成分が有効なのではないし、成分の寄せ集めが有効なわけでもない。
食べ物は、それそのものが一つの生命体として、食べ物としても全体で完璧なバランスと作用を持っているということなんだ。

「いただきます」っていう、食事の時の挨拶は、命をまるごといただきますっていう感謝の言葉でもあるんだ。


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