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あの瞬間
色んな思い出が詰まった場所を離れて2年ちょっとが過ぎた。
目配せだけで相手の気持ちが分かるメンバーと働けたこと。
チャラいのに仕事は真面目だった、あの人。
仕事で悔しくてMTG中に流した涙。
ダウンした時に代わりに頼まれた発注。
初めてシフトに入る人用に送ってくれた仕事中の注意ポイントの長文LINE。
夜中まで仕事について語り合って、走り渡った交差点。
売り上げトップを取った時の歓喜。
もう居場所はない、と言われて泣きながら歩いた道。
仕事ができるようになりたくて、お店に穴をあけるのが怖くて誰よりも早く出勤したこと。
朝や夜のちょっとした挨拶や会話。
お店だけじゃなくて、会社を動かしたいと思った瞬間。
何も出来なくて悔しくて、お金を貰うことが申し訳ないと思い続けた2年間。
10代・20代で学べなかったことを教えてくれた人たち。
私にしか分からない言葉で綴ってみても、思い返せば学ぶことが多かった。
この本を読んだ時、大切だった存在の人のことを書いた本だと思った。
駅前の蔦屋書店に数日通い、コーヒーを飲みながら読み通した本。
あぁ、だから彼は会社からや人から求められる人なんだと思った。
お店の看板を書いている時、後ろから「うまいじゃん。そういうの、向いてるよ」って言われた。
色んな言葉を交わしたはずなのに、
知らなかった部分をいくつも知ったはずなのに、
一緒に過ごした日々の中で、どうしてもっとたくさん話さなかったんだろう。知ろうとしなかったんだろう。
言葉に残しておけばよかった。もっと言葉にして伝えておけばよかった。
「あけましておめでとう」
お正月にいきなり届いたLINEは、まるで昨日も会ったかのように自然だった。2年近く会ってないのに、急に思い出したかのように送ってくる。
相変わらずだな、って思った。
きっと今日も変わらず、みんなに頼りにされてあの場所に立ってるんだよね。
私はね、あの頃伝えられなかったたくさんの後悔を握りしめながら、自分らしい場所に行こうと思ってるんだ。言葉の世界も諦めたくないけど。
ちゃんと辿り着いたら報告するからね。
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