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活動報告 #3 「第2回かぐやSFコンテスト」

第2回かぐやSFコンテスト。

『青い壜はいつもそこにある』で参戦しましたが、結果は落選でした。

今年は昨年よりもレベルが上がることは想定できていたので、昨年以上のものを作らなければと思っていました。しかし、ここしばらくは面倒事の処理やメンタルの不調があり、万全の状態ではありませんでした。

生きていて、一般人に紛れて生活できていて、阿波しらさぎとかぐやSFに応募できただけでも儲けものだと思っています。

作品を書きながら考えていたこととか語りたくてムズムズしています。でもやり過ぎるのは野暮なので、参考にした作品名を挙げるに留めて、あとは読んでも絶対に伝わらない部分を語ることにします。

【参考作品】

・詩 『星とたんぽぽ』 金子みすゞ
・映画 『サイコ』 アルフレッド・ヒッチコック監督
・『春と修羅』 宮沢賢治
・小説『青い壜』 レイ・ブラッドベリ


今回の作品を含め、ここ最近書いた2、3作品は、「現在のAIが苦手とする小説を書く」ということがテーマでした。

GPT-2に代表される現在の文生成AIには課題が多くあります。そのうちの2つが、創作ビジョンの欠如と、具体性の欠如です。

AIにはビジョンを担保する機能は備わっていません。一方、作家には個々の作品や、よりマクロな作品シリーズという枠の中でテーマの一貫性を持たせる役割があります。例えば宮沢賢治であれば、『セロ弾きのゴーシュ』はゴーシュという主人公が成長する姿を描いています。そして一連の作品にはどれも寓話性があり、仏教的世界観が根付いています。

それから、AIが文章を書くと、具体性が失われていく傾向があります。これは学習データから確率的にあり得る単語を繋げているからだと考えています。学習した数多の文章の共通点、いわば最大公約数的な文章になるようバイアスがかかっているのです。だからAIに文章を書かせていると、二人が抱き合ったり、自分とは何かを考え出したりすることがよくあります。GPT-3は、より文章の構造を捉えているという話も聞きますが、具体例を伴って意味が通った説明をすることは難しいように思います。

こうしたAIにはできないことを書けば、人間らしい小説になるのではないか、というのが私の考えです。

ビジョンについては、サイコパス小市民作家を目指しています(嘘です)。多くの方に共感してもらえるような小説が書けたら人気者になれるんだろうな、と分かってはいますが、ひねくれてて容易にいいねと言えないものばかり書いてますね……。そういうものをSFなら受け入れてくれるかなという期待もありましたが。

文章の具体性については、『君は、なによりも美しい』を書いている時に、とにかく色んな知識を散りばめてインテリを気取るのが今の所イメージに近い(最終的なゴールではないけど)と感じたので、継続してトライしています。元々140字小説をやってたので、冗長的な描写って要らねぇなと思ってしまうのですが、今はまだ「慣れたらできるようになるだろう」という歪んだ青い壜の中にいます。

人間らしい小説を目指したと供述してはいますが、「見る角度で表情が変わる」というアイディアはAIが書いたものを採用しています。その部分だけではありますが、この作品もAIと一緒に書いた小説です。

余談ですが、AIの文章を大量に読んでいるうちにAIっぽさ(=最大公約数っぽさ)を嗅ぎ分ける感覚が身に付いてきたので、AIには書けない文章を書くにはどうしようかと考えることが増えてきましたね。


ま、あんまり難しいことを書いても仕方ないので、執筆しながらよく聴いていた曲を紹介しておきます。歌詞の内容に影響を受けたところもあります。

いのち/AZKi


まだあまり時間が取れる状況ではないのでストップしてますが、英語小説は隙間があればやりたいです。星新一賞をやっつけた後に、長編を一本やりながら、ゆっくり取り組みたいです。長編は、新しいPN作ってやるかも。自分のやりたい長編を気兼ねなく書きたいです。

星新一賞は、最後のSF作品になるかもしれません。趣味にうつつを抜かしていられる年齢でもなくなってきました。内輪だけで盛り上がっている閉塞的なコンテンツに、限られた時間を費やす意義を見出せません。SFは好きですけど、環境が私には合いませんね……。趣味でいいからSF書くことと、アートで飯を食う道にベットすることを天秤にかけたら、私は後者を取ります。社会不適合者なので。

今は、もっと視覚的な創作活動に興味があります。私がTwitterで呟いた最近読んだ本を見れば、その傾向は顕著だと思います。

英語の超短編をやりつつ、3Dか漫画かイラストか、その辺にちょっとずつシフトしていけたらいいかな。気が向いたら、気楽にSFショートショートを書くかもしれませんが。

それでは。

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