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スタエフ文藝部-綴-提出作品『ラスト・レター』

彼女の話す言葉全てが詩であり、その全てが僕の文学だった。

「海ちゃん。僕はお酒に酔っていてね、」

地元、京都の山道を1時間以上歩いてやって来た此処からの帰り道は、わからない。
お金もない。
携帯電話もない。
光の方を見下ろすと、ちっぽけな街頭や、ちっぽけな家々が、隣合って突っ立っている。

僕の手元には、殆ど空になった缶ビールと、分厚い手紙の束。

去年の冬に彼女から届いた、薄いみずいろの封筒を開ける。
『誰かと一緒に読むのはやめてね。
わたしが消えたら、全部捨ててください。』
そして、次の封筒を開ける。
『心配しないで。体が消えたって変わらないよ。』

手が悴んで動かなくなってきた。

冬を超え、春が来て、夏が流れて。
夏と共に海ちゃんは消えてしまった。

『胸の中で生かしておいてください。
生け簀とは君です。』
それが最後の手紙だったから、僕は朝方、家に帰る。
僕の胸を冷やさないように。


お題:タイトルをLAST○○にして下さい

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