2024年 笑って失敗をしよう
今年最初の日経新聞の一面は面白かった。
今年は令和6年は昭和で言うと昭和99年らしい。
にもかかわらず人口も経済も上向きだった昭和のシステムがいまだに日本を巣くっており、新しい進化を邪魔していると指摘する。
日本に限らず、人類にとって2024年というものは大きな転換期を迎える気がしています。
2024年以降、経営者たちは何を考えてモデルを創っていくべきかを考えてみました。
2023年 チャットGPTの登場
2023年はコロナから世界中が立ち直り、再び文明を創っていくきっかけとなった年だと思っています。
併せて人類にとって大きなインパクトを与えたのがチャットGPTでした。
といってもチャットGPTの存在が、私たちの想像のはるか上を行くサービスであったとは思いません。あくまで過去から想定されていた技術ではあったと思いますが、これが2023年のタイミングで登場したことは予想外だったに違いありません。
シンギュラリティという言葉をご存じでしょうか?人間の知性を人工知能が超えて、加速的に進化する転換点のことを言います。
ちょうど5年前の2019年の元旦の日経新聞の朝刊一面にこんな記事が載っていました。
それからたった5年、このチャットGPTの登場はシンギュラリティの第一歩だという専門家も少なくありません。
またチャットGPT以外にも、生成AIと言われる技術のニュースを2023年はよく見かけるようになりました。この技術により、もはや一目では人間なのかAIなのか区別がつかなくなったことも証明されましたね。
私も実務でチャットGPTを活用するのでわかりますが、今の時点でのチャットGPTがシンギュラリティとなることはないです。
ですが、この技術が一瞬で一般の人間でも活用されるまでになったことを見れば、ここからおそらく5年くらいでシンギュラリティとなりえる技術が生まれることは容易に予想できるということです。
2045年まではかからないでしょう。
これから5年間で、人の仕事が変わる
スマイル・カーブ
とすると、このAIというものが人に変わって仕事の大部分をしてくれる時代がもうそこまで来ているということなのでしょう。
私が大好きな映画「A.I」(2001年 スティーブン・スティルバーグ監督)が描いた世界がもう5年後まで来ているのでしょうか。この映画の中ではロボットが感情を持てるか否かがテーマとなっているのですが、はたして。
AIが人のどんな仕事を代替するのかという予測について「スマイル・カーブ」という言葉があるようです。
AIの存在により、人の仕事は0→1と9→10に収れんしていくといいます。
料理で例えれば、一般的な調理(1→9)はなくなり、メニューの考案(0→1)と最後の手直し(9→10)が残るといいます。製造業では開発などの川上と販売・サービスの川下が高い価値を生み出し、真ん中の組み立ての価値は低いとされます。
線でつなげば人が笑った時の口元のように見えるため「スマイルカーブ」と名付けられたこの法則が人間の仕事にも当てはまるようになるのかもしれません。
あなたの会社のスマイル・カーブは?
あなたの会社にとってAIはどのような形で恩恵または脅威を与えてきそうですか?
「恩恵か脅威か」と書きましたが、AIが脅威だと考えていらっしゃるとしたら、今年最初のあなたの仕事は「AIについて抵抗感をなくす」ことと決めてください。
AIのことを理解せずに「自分は苦手だ」と割り切っていられたのは2023年までです。2024年からは数年後に近づいてきたシンギュラリティに向けて、私たち経営者はAIを味方につけていかない限り、100%負けます。
負ける覚悟ができているのでしたら、どうぞご自由に撤退してください。
AIにとって食われる仕事なんて考えていても意味がありません。これからはどのような形でAIを活用して仕事をパワーアップしていくかを徹底的に考えてみましょう。
また同時にAIから目を背けていくことは、今ですら慢性的な人材難である方が多いと思いますが、この苦しい状況をこれからも続けていくことを意味します。
そもそも人口または労働人口が減っていく中で、人材を今まで同様に活用しようとするビジネスモデル自体がすでにオワコンと言われていくのです。
上述の通り、AIの技術は人間の想像をはるかに超えてきます。「うちの業種は関係ないよ」と思っている経営者様がいらっしゃったらとても危険な発想です。
おそらくあなたの仕事の5割以上はAIによって変わってくるでしょう。
そう考えたうえで、どの部分をAIを活用して効率化して、残りの部分を人が付加価値をつけて提供していくのかを想像することが、2024年の最初の仕事です。
失敗を戦略に取り込む
5年後のAIモデルを
さて、話をもうちょっと長期的な視点にして、2024年からの数年間で企業がどのような長期的戦略をとっていくべきかということを書きたいと思います。
上記のようにAIの活用がこれから劇的に増えてくるとすると、その商品またはサービスの価値は下がらざるを得ません。
とすれば、今のあなたの会社のビジネスモデル自体を早急に作りなおす必要が当然出てきます。
具体的には、AIやITを活用して効率化を図って現状のビジネスを回す一方、どこか違う場所で利益を獲得しにいかないと今の利益は維持できなくなるのではないでしょうか。
スマイルカーブの図を改めて見てください。
この真ん中の部分をAIなどに任せるようになると、その分人間が得る利益が減ることになります。とすると、やはり川上または川下の部分で大きな利益が取れるようにならないと利益を維持できませんね。
このようになってくるのが5年後だとしたとき、今のうちからあなたは新たなビジネスモデルを作り始めないと生き残れません。
笑って多くの失敗をできた経営者が勝ち
ではどのようなモデルがいいでしょうか?などと聞かないでくださいね。私にもわかるわけがありませんw
私が言えるのは「今のモデルのままでは生き残っていけない」というところまでであって、「どのようにしたら生き残っていけるのか」は神様ですらわからないところではないでしょうか。
ですが最近よく思うのですが、今の地球は昔と違って相当数の人間が豊かにそして長生きにいきていけるように文明が発達しています。全世界的に所得も寿命も着実に伸びていて、犯罪率だって絶滅危惧種になっている動物の数だって昔より減っていることが証明されています。世界は着実によくなっているのです。
ということは、本来は仕事の役割はある程度終わっていて、本当は人間はもっと仕事から解放されてもいい頃になっている。にもかかわらず仕事が減っていないとしたら、これは色々な要因によるらしいですが、私は「人間の多様性」によるものと考えています。
昔は人は誰も一緒でもよかったものが、世界が豊かになったがゆえに自我を持つようになり、人は人とは違う多様性を求めるようになりました。
そのため様々な多様性を満たすために今は仕事というものが存在している。
そう考えると、多種多様なその価値観を満たすような答えは簡単には見つからない。少なくとも人類の過去の歴史や経験の中に答えはないのだと思います。
よく事例に出すiPhoneの誕生の話からしても、今までの経験や統計から導き出される答えは無価値化していることがわかります。
だとすれば、これから人が自分たちで答えを探していく時代に突入しているのですから、人類は今、大きな進化を求められているということになります。
前置きが長くなりましたが、そのような進化を求められてきたとき、今まで生物はどのように進化をしてきたのかを調べてみると、実に興味深いことがわかります。
進化の過程は、全て偶然によるものであるという事実です。
例えば首の長いキリン。もともとキリンの祖先は首が短かったようです。首が短いと水を飲むのに座って飲まなくてはならないから、その時ライオンに襲われやすかった。でもたまたま偶然首の長いキリンが生まれたときに水が飲みやすいからライオンに襲われにくくなって、結果として首の長いキリンが生き残りやすくなった。キリンが首を長くしようと思って伸びたんではなくて、たまたま首が長いキリンが生まれてそいつが生き残りやすかっただけで、その結果自然にキリンの首が長くなっていったということです。(諸説あり)
ということは、たくさんの失敗によってたくさんの進化が起きて、そのなかで偶然合致したものが生き残っていくのですから、やはり色々と試行錯誤して失敗しながらも進んでいくのが進化のチャンスをつかむ唯一の方法なのではないでしょうか。
失敗ーーあまり好まれることのないこの経験をいかにできるかどうかが進化、つまり新しいビジネスモデルを見つけ出す唯一の方法なのではないかと考えます。
子供の遊びのように、何度も何度も失敗しながら自分なりの答えを見つけ出していくことが、これからの新しいリーダーの姿なのではないでしょうか。
経営者の皆様、これから皆様に求められるのは笑って失敗できる環境です。
過去の常識にとらわれずに、遊びの発想を取り入れながら、たくさんの失敗の中から次のモデルを作りだすこと。
また、もちろん失敗にはコストがかかります。そのためその失敗に耐えうる内部留保を蓄える必要も同時にあります。
その攻めと守りの設計を事業計画に落とし込んで、2024年をスタートしていってもらえればと思います。
2024.1.4 横溝大門
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