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Canvaが画像生成AIサービスLeonardo AIを買収

ポッドキャスト「アシカガCAST」第761回の要約記事です。

Canvaが画像生成AIサービスLeonardo AIを買収

Canvaが画像生成AIサービスのLeonardo AIを提供する会社を買収しました。

Canvaは、プロのデザイナーでなくても使えるデザインツールを提供していますが、Magic StudioというAIイメージ生成機能があります。

今回の買収によって、Magic StudioにLeonardo AIの技術を統合し、より高品質なAI生成画像を提供することを目指しているということです。

Leonardo AIは独自の基盤モデル「Phoenix」を開発している

Leonardo AIは、当初Stable Diffusionを基盤としていましたが、現在では「Phoenix」と呼ばれる独自の生成AI基盤モデルを開発・使用しています。

Stable Diffusionを基盤として、使いやすさや独自の機能を付加価値として付けて提供しているサービスは多いのですが、基盤モデルを独自開発しているところはごくわずかです。

Adobeに対抗する基盤を固めているんじゃないか

Canvaは2024年3月には、プロ向けグラフィックツールを提供するAffinityの開発元Serif社を買収しています。Affinityはプロ向けグラフィックツールの王者と言えるAdobeに対抗できるツール群で、Canvaに買収されたあともAffinityの開発・提供は継続されています。

まずはCanvaにLeonardo AIの技術を統合していくということですが、プロ向けグラフィックツールのAffinityにLeonardo AIの生成AI技術を組み込むこともできるわけですよね。

そうなってくると、PhotoshopやIllustratorに生成AIのFireflyという技術をどんどん組み込んでいるAdobeに、プロ向けツールでも対抗できるんじゃないかなと思ったりしました。Canvaが独自の基盤モデル「Phoenix」を手に入れたことは、競争力として大きいはずです。

Leonardo AIは機能が豊富で無料版でも商用利用可能

Leonardo AIの特筆すべき特徴として、以下の点が挙げられます:

  • 豊富な機能を無料で提供
    多くの高度な機能が無料プランでも利用可能です。

  • 無料プランでも商用利用が可能
    商用利用するには有料プランが必要という競合サービスが多い中、Leonardo AIは無料ユーザーにも商用利用を許可してます。

  • 1日150トークンまで無料使用可能
    これは最大150枚の画像生成に相当し、他のサービスと比較してもかなり寛大な制限です。

インターフェースが全て英語なのでちょっととっつきにくいですが、画像生成AIとして大体の機能は揃っています。

今流行りのリアルタイムでのi2i(image to image)も可能です。画像を配置したり絵を描いたりしたら、即座にそれをベースにした画像が生成される機能ですね。

無料ツールでは搭載されてないことが多いControl Netも使えます。ポーズを指定して人物を生成できます。

Leonardo AIは、Canvaと同様にオーストラリアのシドニーを拠点とする会社です。同じオーストラリアの企業同士ということも買収の理由のひとつかもしれません。

Canvaが買収したツール/サービス

Leonardo AIはCanvaが買収した8社目の企業ということです。Leonardo AI、Affinity(Serif)以外のツール/サービスは以下となります。

  • Zeetings
    プレゼンテーションツール/オーストラリア/2018年買収

  • Pexels
    画像素材サービス/ドイツ/2019年買収

  • Pixabay
    画像素材サービス/ドイツ/2019年買収

  • Kaleido
    AIを使った背景除去ツール/オーストリア/2021年買収

  • Smartmockups
    モックアップ画像作成/チェコ/2021年買収

  • Flourish
    データビジュアライゼーションツール/イギリス/2022年買収

以下、それぞれのツールについて紹介します。

プレゼンテーションツールZeetings

2018年に買収したのは、オーストラリアのシドニーを拠点とするプレゼンテーションツールZeetingsでした。

現在はサービスを終了しているZeetings

現在Canvaに搭載されているプレゼンテーション機能には、このZeetingsの技術が生かされているんだと思います。

なお、Canvaが買収したツール/サービスの中で、このZeetingsだけが現在はサービスを終了しています。

画像素材サービスのPexels&Pixabay

2019年5月、Canvaはドイツのベルリンを拠点とする2つの有名な画像素材サービス、PexelsPixabayを買収しました。

Pexelsのサイト
Pixabayのサイト

当時のニュース記事によると、この買収によりCanvaで利用可能な画像素材が約100万枚増加するという記述がありました。

背景除去ツールKaleido

2021年2月、Canvaはオーストラリアのウィーンを拠点とするKaleidoを買収しました。Kaleidoは、AIを使用した高度な背景除去ツールを提供しています。静止画や動画の被写体以外の背景部分をを透明に加工することができます。

Kaleidoが提供する画像背景除去サービスremovebg
Kaleidoが提供する動画背景除去サービスunscreen

現在Canvaに組み込まれている背景除去機能「背景リムーバ」は、Kaleidoの技術を使っているんだと思います。

モックアップ作成ツールSmartmockups

2021年2月、Canvaはチェコのモックアップ作成ツールSmartmockupsを買収しました。いわゆる、はめ込み合成の画像を作るツールです。

Smartmockupsのサイト

モックアップ作成機能は、現在Canvaに搭載されています。Canva純正のアプリとして提供されているので、Canva上でアプリとして追加することで使えるようになります。

Canvaで使える純正アプリMockups

スマホやパソコンの画面に何か手持ちの画像、別で用意したスクリーンショット、Canvaで作った画像などをはめ込み合成することができます。ほかにも、Tシャツやスウェットなどのアパレル、名刺、ポスター、本などの紙もの、マグカップ、ボトルなどのパッケージなどのモックアップ用素材が用意されていました。

Canvaでモックアップ用素材を選ぶ画面

Canvaでは、いいなと思った素材が無料ユーザーには使えない画像ということがよくありますが、このモックアップに関しては無料でも良い素材がたくさんある印象を持ちました。

データビジュアライゼーションツールFlourish

2022年2月、CanvaはイギリスのデータビジュアライゼーションツールFlourishを買収しました。データをもとにグラフなどを作るツールですね。

Flourishの機能紹介ページ

ただの静止画のグラフだけじゃなく、カーソルを合わせると細かい数字が表示されるとか、インタラクティブ性のあるものも作れるようです。アニメーション的な動きも加えられます。

使い方として面白いのはバーチャートレース(bar chart race)を作れることです。SNSなどで見たことがある人も多いと思うんですが、棒グラフがアニメーションで伸びたり縮んだりして、時間の経過とともにデータがどのように変化したかを動的に表現できます。

このバーチャートレースを作る機能ですが、これもCanvaに搭載されていました。
Canvaの素材を選ぶところでグラフを選んで、グラフの種類を「動的な棒グラフ」にすると、バーチャートレースを作れます。

Canvaの「素材」からグラフを選び「動的な棒グラフ」を選ぶ

Canvaが買収していたツールの歴史を見てみると、今Canvaにどういう機能が搭載されているかを知ることもできて勉強になりました。

1枚の画像にまとめてみました

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