6月5日 月曜日
日記
今日は朝から目覚め方が良くなかった。まるで深い眠りに落ちようとすると、途端に引き上げられるような、そんな眠りだった。目覚ましの嫌な音が枕元で鳴り響き引き上げられたままの私の意識はそのまま現へと再度引き上げられる。というより起き上がり方で言えば思いっきり引っ張りあげられるような、そんな目覚めだった。そのまま嫌に出来の悪い心臓が朝に似つかわしくないほどの速度を持ってありふれた日常を進め始める。毎朝の日課であるコーヒーを入れ、そのまま昨晩用意しておいた冷食の入った弁当に白米を詰める。いや、詰めようとした。が、いつもの物忘れで炊飯器のスイッチを押し忘れていたことに気づく。そして特に意味もないのだが炊飯器を開ける。そこには昨晩洗って水を適量入れたまま何時間も経ってしまった米と水がいた。溜息をつきながらも炊飯器を閉め、早炊機能を使い、スタートボタンを押す。まだ間に合う。立ち上がり雑多に地面に置かれた炊飯器を一瞥し、コーヒーとラッキーストライクを持ちベランダへ出る。めんどくさいのでベランダに投げっぱなしのターボライターで火をつけ、安い折りたたみチェアに腰を下ろす。コーヒーと煙草を交互に口へ運びながら過ごす朝。このタバコの火を消せば、忙しく準備をし、忙しなく部屋を出ていくのだろう。といつものんびりしがちな自分の体を明確に言語化したがる自分の脳みそでまとめあげ、わかっていてもできないことを憂うでもなく、ただ思考にふけり煙草の火を消した。そこから仕事終わりまではいつも通りで、職場の人にたわいもない話の流れでちょっかいをかけられたりとそんな程度のありふれた私の日常だった。仕事が終わり、夕方からの会議までやることが無くなった為、1度習い事のギターを取りに行くため家に帰った。オートロックの鍵をゴソゴソとポケットから取り出し、そのままエントランスに入り階段で家に向かう。いつも通り知らない人と目を合わすのが得意では無いので下を向いて階段をあがり渡り廊下に出た時に顔を上げる。すると自分の部屋の扉に備えつけてある、使ったこともないポストに1枚の紙が挟まっているのが見えた。それに近づき、手に取る。そのまま片手で鍵を開け、玄関に入りそのまま目を通す。それはわざわざカラーインクまで使って赤文字で書かれた、ガス料金滞納の旨を伝える表題に、早く払えとのことがつらつらと書かれていた。そして当たり前のようにガスを止めたと。おかしい、何がおかしいって水道光熱費は会社が払ってくれるはずなのに何故なのだろう。このままでは風呂に入ることが出来ない。そうやって焦りを覚えた私はこの後やらかすことになる。まず払込票みたいなものを今の今まで1度も見た事がなかった為、エントランスにあるポストを確認しようと部屋を出る、オートロックの扉を出る、そしてポストの前でダイヤルロックの開け方に難儀しているとオートロックの扉が閉まった。この時ハッとした。私は鍵を持って出ていない。焦りから私は私の手で私をこの建物から締め出してしまったようだ。そこからというものの会社の方に連絡をとったりしてなんやかんやあって何とか家に入り、ガスもその日のうちに戻った。その後すぐに会議とギター教室、そして本を3冊買い、家に帰った。なんでもないようでなんでもあった、忙しくてめんどくさい1日だった。そしてまた明日、引っ張りあげられるのだろう。