サイドファイアー掃除夫、花を買う。
僕は掃除夫。
どこにでもいる、さして何の取り柄もない掃除夫。
歳は世間では働き盛りに分類されるくらいだ。
「もうそろそろ家の花を変えようかな」
花屋の前を通り過ぎようとした時、ふとそんなことを考えている自分がいる。
花に興味が湧いたのは数年前のことだった。
たまたま散歩中に発見した道端に咲く花が綺麗で、いつの間にか散歩の道すがらに咲く花を見るようになっていた。
そしてその後はあれよあれよと花が好きになり、冒頭のように家に花を飾るようになったのだった。
最初はいい歳をしたおっさんが、わずか数輪の花を携えている光景は端から見たら奇妙かなとも思っていたが、今では気にならない。
むしろあまりない光景を作り出していることに、なんとも言えない使命感を持っているかもしれない(おっさんだって花を買ってもいいのだという)
そう。花を飾れるゆとりを手に入れたおっさんは、密かに使命感に燃えているおっさんなのだ。
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