歴史小説をつくる①

 序章 

野火止

 皆さんは、埼玉県と東京都に同じ名前の小学校があることをご存知だろうか?
 その名は「野火止小学校」。
埼玉県の新座市と東京都東村山市にある。
私は母が看護師で仕事の都合で6歳頃から東村山市に住み始めた。
近所がそちらの野火止小学校である。
しかし、学区の関係で違う小学校が私の母校である。

一方で、新座市の野火止小学校は、つい先日の天皇誕生日に家族でカインズ新座店に用事で行った道中で通り過ぎた。
  その時、東村山市の野火止小学校よりも敷地が広いのではないかと思いながら、父の運転する車の助手席から眺めていた。
  さて何故わざわざ野火止が県境を越えて小学校の名前になっているのか?
 これは恐らく日本史の教科書にも載る江戸時代初期のある人物が作らせたものが「野火止用水」として今も埼玉県から東京都に流れ玉川上水に合流するからである。

 創作の指導者から
「身近な素材で書きなさい」
とよく言われる。
 私は時代小説、あるいは歴史小説を書きたいと思っていた。
 若い頃ならジャンルとしては学園モノを選ぶはずだが、すっかり学校に行かなくなってから久しいので、どうしたモノかと悩んでいた。
 野火止?
 そうだ!なんでこの人を今まで書こうとしなかったのだろう?
 小学三年生の社会科で習ったこの人は、東村山市在住にとっても身近な人物だったのだ。
 その歴史上の人物は…
 

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