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日系アセマネに就職する前に知っておきたいこと

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①運用に行けるかどうかは運次第

この業界を志すからには、多かれ少なかれ運用に興味がある方が多いだろう。私もそうだったが、運用部門に行けるかどうかは、運・実力・会社の方針がうまく噛み合わさらなくてはならない。若手を積極的に運用に放り込んで育てる方針の会社(聞くところでは野村AM、ニッセイアセット、DIAMなどはその傾向がありそう)もあれば、若手のうちは基本的に運用させてくれない会社(銀行系にはその傾向が多そう)もある。ファンドマネージャーは、親会社から出向してきている人も多いから、アセマネ業界に入れるくらいの頭がある人ならば親会社に就職したほうが多様な経験もつめて良いという考え方もある。それに「運用部門」の中にも色々あって、運用企画とか委託運用とかパッシブというのは、どちらかというと事務の色が強くて、おそらく皆さんがやりたい運用ではないと思う。日系から外資系のアセマネに転職する人が多いが、そうすると給料は良くなるが、より運用からは遠ざかることに注意(日本拠点ではあまり運用していないから)。自分がどういうキャリアを築きたいのかをちゃんと考えた方が良いし、その上でどうしても運用という場合、もしかしたらアセマネ業界はあなたの答えではないのかもしれない。

②同期の半分は3年で辞める

とにかく若手がどんどん辞めていく。びっくりするほど辞めている。それは決して会社がブラックだからではなく、人材がそこそこ優秀で、待遇の良い受け皿もふんだんにあるからである。辞めていく若手のうち、ざっと半数は同業他社(外資系アセマネ、日系アセマネ)、残る半数は別の業界(投資銀行やコンサル、監査法人などもいた)に行く感じだ。アセマネは新卒でも割と少数精鋭採用で、総合職では多くても1社20人くらいの採用だと思われるし、それがすぐに数人にまで減るから、残り続ける人は割と寂しい思いをするかもしれない。

③事務作業が基本の会社だよ

事務を軽視する人は、アセマネでやっていくのは厳しい。というのも日々のオペレーションが必ず発生する(基準価額が出ないということはあり得ない)上、ミスが絶対に許されない業界だからである。それはディスクロージャーみたいな開示系の部署でもそうだし、運用やトレーディングでも、伝票整理とか約定精査は全くもって事務の世界である。あと計理部門というのがあって、ここは基準価額を計算して公表している投信の要みたいな部署になる(当然ながら、その業務のすべてが事務)。では事務とは何か?事務とはつまり、全部印刷して蛍光ペンでチェックマークをつけて、それを上席者2人が再鑑するなどという世界である。一言一句間違えてはならず、数字も1円単位で合わせにいくのが当たり前。何かミスがあれば蜂の巣をつついたような騒ぎになる。求められるのはマニュアル通りの仕事を速く終わらせることであって、そこにクリエイティブさは必要ない。総合職でも、ディスクロージャーに配属されると、一般職のおねえちゃんと似たような事務仕事をするとかはザラ。向き不向きがあるが、細かいことにこだわりが無い人、分からないことを聞けない人、些細なミスはもみ消しても良いと思う人はまず向いてない。他の業界でもっと羽ばたけたはずの人材が、そういう事務仕事で人生を塗りつぶすのはもったいないと思うときもある。日系アセマネでは、基準価額が1円でも間違っていると騒ぎになり、場合によっては補填対応とか金融庁・投信協会報告とかいうおおごとになってしまう(例えば、基準価額が誤って低く出たときに解約があったりすると、その差額を弁償しないといけなくなる)。海外に目を向ければ、ある程度の基準価額の誤差は許容して放置するみたいな会社も多いが、そういういい加減な会社のファンドを組み入れていたりする(ファンド・オブ・ファンズ)と巻き添えを食らって大騒ぎになることもしばしばである(個人的に、そこまでやる必要があるのかなあとは思う・・・)。

④グループ内での地位は低く出向者にあごで使われる

日系のアセマネは基本的に主要金融グループに属しているため、どこも親会社の天下り牧場と化しており、その親会社から部長やら課長で出向してくるオジサンたちがあなたの上司になる可能性が高い。オジサンは基本的には親会社に早く戻りたいから、投信などみじんも興味が無いくせに何か目立つようなことを仕掛けようとして、しょうもない施策を立てたりパワハラを始めたりと、プロパー社員からしたら鬱陶しいことこの上ない。オジサンたちは基本的に子会社を見下しているので、親会社の文化を持ち込んだり社内政治を始めたりとろくなことをしない。プロパー社員は出向者に対して、もちろん口に出して言わないが、思うところある方が多いのではないかと思う。アメリカでも大手金融グループに属している運用会社は沢山あるが、グループ内の地位はむしろ高いと聞く。でも日系では決してそうではないことをよく理解されたし。森金融庁長官の掛け声で、資産運用の重要性が高まりつつあるとはいえ、金融グループ内の規模で比較すればアセマネの利益が占める割合など1%とか2%のものであるから、いつまでたっても使えない中年のゴミ箱を抜け出せないのは仕方のないことかもしれない。

⑤3年もいれば茹でガエルになるかも

アセマネにいれば、確かにどこの部署であれそれなりの専門性は身につく。身につくが、その専門性というのは基本的には「日本国内(日系・外資系)」で「資産運用業務」を行う場合のみに役立つものばかり。他の業界でも通用するだろうと考えてはいけない。グローバルな要素もほとんど無い。グローバルと言えば、委託運用(海外の運用会社に運用を丸投げする)が辛うじて海外との接点が多い部署になるが、再委託する立場はしょせんお客様扱いなので、英語ができなくても余裕でやっていける。普通の会社と同じように総務・法務・人事みたいなのもあるが、こういう場所は新卒者はあまり配属されない会社が多いのではないかな。営業ももちろんあるが、決まった販売会社に訪問して言われたことを持って帰ってくるのが仕事であり、そこに証券とか商社のようなハードシップさは無い。運用部門でマクロとか個別企業の分析できるようになるのは市場価値がそれなりにあるとは思う。だけど投資銀行で財務モデリングをやったりとか、商社で商流をいちから作り上げるほうが、よっぽど汎用性も夢もでっかい人生になるのではないかな。アセマネで仕事をしてしまうと、アセマネという狭い狭い業界の中でしか通用しない、業界と一蓮托生の人生が決まってしまうような気がする。決めるのはあなただが、私はそう思う。

<出典>
トランシェさん (id:tranche)

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