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85 幸せの一日

鮎シーズン終盤、仕掛け作りが面倒で、使い古しの仕掛けを使う。前回釣行時、後半に張り替えた道糸、切れることは無いだろう。         場所は福井小浜・南川、名田庄大橋上流。早めの昼食を済まし、十一時開始。

まずは前回よく掛かった淵を縦断する深瀬を狙う。その深瀬は、上手の短いが勢いある瀬が淵に落ち込み、勢いを保ったまま淵の左岸寄りを縦断して行きます。底石の色が先日より明るい、野鮎は必ず潜んでいる。まずは瀬落ち、そこを目掛けてオトリを放す。すぐにググッと来る。狙い通り! まだ居るはず、急いでオトリ交換して放す。元気に落ち込みに向かう、グーンと目印が横走り、一息つく間もなく2匹目ゲット。

ところが、これからと言うのに濁り出す。濁りが出たら浅場を狙う。上手の短い瀬に移動。濁りが薄い瀬の中程でキラリと小さな底光り、居るいる、オトリを引き上げ暫く留め置く、ググッと来ました。
南川の海産鮎、朽木の湖産鮎とは違う控えめな追い。カーンと来て派手に走り回ることはせず、グッときて力強さで掛りをアピール。瀬落ちに落とし込んで引き抜く、3匹目ゲット。

対岸の浅場、ほとんど濁りが感じられない。瀬肩を横切り、浅場に届かせチョロチョロさせると直ぐに追い掛かり。チョット小さいがオトリには十分、4匹目ゲット。まだ狙いたいのに浅場も次第に濁りが濃くなる。
いつの間にか背後に漁協監視員、取り敢えず濁りを愚痴ってみる。
「言うときました」と調子が良い、言うわけないだろう。
まあ辛抱しよう、工事は仕事だ。そのうち濁りも収まるだろう。ここまで4匹、前回よりハイペース。

上手の二股に分かれた狭く短い瀬、竿出していた人の姿が無い、即移動。浅場が駄目なら泡立ちを、左岸側の落ち込み、必ず居るはず。オトリを誘導、狭い強い流れの中左右にフラつくオトリ、強引に引き込み沈めればカリッと追いの感触間違いなく野鮎。しつこくその辺りを上下させ、遂にググッと来ました。下手浅瀬に一緒に下り引き抜く。5匹目ゲット。


新オトリ、元気に浅瀬を駆け上がり短い瀬を上り切る。気持ちよく広い瀬肩をシュッシュッと泳ぐ、竿持つ私も気分爽快。しかし、爽快反応全く無し、無駄働きに終わる。嫌がるオトリを引き戻し、濁りの薄い対岸狙いで釣り下がる。野鮎らしき光は随所に有るのに反応なし。
濁り始めて一時間、徐々に濁りが取れて来て、もとの深瀬に下ります。時間を掛け、流れを区切りしつこく上下するも反応無し。
少し下がって、深瀬の勢いが弱まる辺り、その底は駆け上がり,ヒョットしたらとオトリを沈める。その途端、グーンと穂先がお辞儀する。来ました!
間違いなく良型鮎、忘れかけていたこの感触、十分堪能し渕尻で引き抜く。
6匹目ゲット。ポイントは広い、まだ居るだろう、狙い違わず7匹目ゲット。

もう殆ど笹濁り、下手の岩盤底のトロに向かう。広い流れ全体が岩盤底、上手の淵からの流れ、水中に黒く斜めに横たわる岩盤山に妨げられてトロになる。下手は流れと平行に幾筋かの岩盤山、その谷間には適度な大きさのゴロタ石、変化ある流れを創造。
私の好きな流れ、不思議と何時もガラ空き。時は2時、後2時間ここで粘ろう。

岩盤底の最下流、落ち込みから狙う。その先のプールにはどっしり岩盤山、その裾で小さな輝き、居るおるオトリを誘導、直ぐにグッと来る。小型だが狙い通り、これで良し。8匹目ゲット。
これをオトリに右岸の絞り込みを潜らせる。岩盤の裾際で野鮎の輝きユックリ際に沿って泳がせる。クンと追いの感触のみ、掛け針を蹴られたようだ。6.5号から7号四本イカリに交換、もう一度下手から際に沿って泳がせる、深い所でググッと来ました。今日は私の狙い通りに掛かってくれ、実に気持ちが良い。9匹目ゲット。
まだ居るだろう、しばらく粘るも音沙汰なし、そう上手くは行かないか。

 上手に戻る、手前の岩盤底の筋、明るい肌色をした中小の石が転がっている。その筋を上らせ、トロ尻に横たわる岩盤山の斜面を下ったところでググッと掛かる。これも良型、10匹目ゲット。
新オトリ、もとの居場所に一目散。チョットよそ見、視線を戻すと、岩盤山の中腹辺りで二匹の鮎が絡まっている。これはエビ掛り、落ちるな! と念じながらタモに受ける。11匹目ゲット。
掛かり鮎を外そうとすると、掛け針は口に、逆針はエラに、更にハリスが首を絞め、これではポロリと落ちる訳がない。しかし、掛け針、逆針間にゆとり無く、抜こうとすると首が締まる。簡単に掛かってくれたが後が大変。何とか外すが瀕死状態。元のオトリで釣り続行。

 かなり疲れているはずなのに、対岸近くの深み、ゴロタ石群に到着、驚異のスタミナ。直ぐにカリッと底を掻く様な極小ショック、気に留めずにそのまま泳がす。しかし、今までより少し泳ぎが早い、それもフラフラ上がったり下がったり、可笑しいなあ、ヒョットしたら掛かっているのか?
大物ほどアタリは小さい、竿を立てオトリを寄せてみる。寄ってこない、それどころか抵抗する。竿先を見る、大きく弧を描く、間違いなく掛かっている。
それからが大変、寄せようとして寄って来ず、更に抵抗し遠ざかる。腰をかがめ、竿を立て、寄せを試みるが効果なし。竿を立て続け、少しずつ寄ってくるのを待つ。しかし元気過ぎ、強く寄せると遠ざかる。野生の生き物は天邪鬼、その本領発揮。遂に根負け、立ち上がり一か八か強引に寄せを試みる。浮き上がるオトリ、走り回る掛かり鮎。何度かの繰り返しの後、遂に水面を割り抜き上がる。思った以上に大物だ、ズシッとタモに重量感、後で計測24センチ。南川育ちらしくない幅広の雌鮎、よく抜けたものだ。十二匹目ゲット、オトリにせず即生かし缶行き。

散々いたぶられたオトリ、悪いがもう一度働いてくれ。だが、やはり野鮎の目はごまかせず、遂にタイムアップ。頑張ったオトリ、やっと小さな四個の目印から解放されるも生かし缶行き、ごめん。
狙い通りに野鮎を掛け、使い古しの道糸が切れることも無く、最後に超大物を掛け、幸せの一日が終了。釣果はたったの1ダースだが、一匹を除き、集中し思い通りに賭けたライバル達。野鮎の少ない鮎終盤、こんなに集中するのはこの時期だけ。
この時期の友釣りも楽しい。














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