鮎を食らう 一夜干し
滅多に無いことですが、たまに鮎を沢山掛けることがあります。
そんな時は針傷の小さい姿の美しい鮎を一夜干しにします。
背開きにし、丁寧に水洗いし、塩水に漬け、引き上げた鮎の姿は本当に美しい。食べるのが勿体ないくらいです。
ビール党には最高の肴です、塩加減次第でお酒にも、ご飯のおかずにもなります。天然鮎の一夜干し、友釣り師だけが味わえる贅沢です。
手順としては、チョット心苦しいのですが、まず頭部を割る様に刃を入れ、
背骨に沿って尾っぽの付根まで切り開き、背開きにします。
次に内臓とエラを外します。内臓はウルカ用に残します。砂を噛んでいる場合がありますので、背開き前に糞の詰まっているお腹部分をしごいて糞を出しておきます。糞と一緒に砂も出ます。食べた時、シャリとするのは折角のウルカが台無しです。もっともそれもウルカの味の一部かもしれませんが。エラはもちろん捨てます。
腹部分の薄い黒皮は指先でこすり取ります。せっかくの美鮎、腹黒女に見られては気の毒です。それに生臭みも取れ、火であぶると身が綺麗なホワイトになります。鮎には最後まで美しく居てほしいものです。
背開き鮎を綺麗にするのと鮮度保持を兼ね、氷水で洗います。
次に味の決め手となる塩水を作ります。ボールに背開き鮎達がユックリ漬かれるだけの水を注ぎ、更に適当な量の塩を入れ良くかき混ぜます。ボールの底に少し塩が残る程度が目安です。また舐めてみて薄いと感じれば塩を追加します。1Lの水に30gの塩が海水と同じ塩味らしいので、これを基準にすれば良いかもしれません。
作った塩水に開いた鮎達を漬けます。漬けて置く時間の目安ですが、漬けてしばらくすると鮎の眼球の中心点が白くなります。この状態で薄塩味、1番おいしく食べられます。
もう少し漬けておくと、眼球の中心点の周りまで薄っすらと白くなってきます。この状態で少し辛め、酒の肴に最適かもしれません。
眼球全体が真っ白にうるんだ状態になると辛口で、日持ちがします。
塩水から上げたら布巾などに並べ水気を取ります。これで面倒な手間は終わり、後は干すだけです。
一夜干しネットに腹側を上にして並べ、風通しの良い軒下にぶら下げ、一晩干しておきます。長くても翌午前中一杯です。腹身部分のベトツキが少なくなれば完成です。干し過ぎて干からび、干物にならない様に注意します。またお日さんには当てない様にしましょう。身が焼けると美味しくありません。あくまでもシットリ美鮎です。
出来上がったその日に食べるのが一番ですが、後日食べる場合や、残った場合は冷蔵庫に保存します。その場合でも一週間以内に食べましょう。薄塩のものは美味しいのですが、直ぐにネトが出て傷みます。
さてこれを肴にビールを飲むのですが、サーッと炙り鮎の腹身が白く濁れば食べごろです。身は簡単に解れますが、シーズン初めの鮎なら丸ごと食べた方が美味しいでしょう。頭は無理に食べなくても良いです。
慈しみ手間暇かけて作った肴、愛でながらビールを飲む、至福の一時の始まりです。
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