乱歩賞、最年少受賞者決定

第68回江戸川乱歩賞を荒木あかねさんが最年少受賞。23歳ということで、神山祐介と石井敏弘の24歳の記録を塗り替えた(正確に言えば、数ヶ月の差で神山祐介が元最年少)。作品名は、「此の世の果ての殺人」。

4月下旬に候補作掲載と書いてあったのに、何の音沙汰もなかったので心配していましたが、5月のゴールデンウィーク明けに無事候補作が掲載、受賞作も決定して安心しました。

さて、本賞は2、3年前に最年長が更新されており、最年長や最年少だと銘打って売り上げを伸ばそうという魂胆なのだろうか。(そういう圧がK社から主催協会にかかっていたりして。あとは、受賞作無しはなるべく避けてくれと、言われているんじゃないだろうか)。

しかし、そもそも応募される小説の質も下がっているのだろう。鮎川哲也賞は、ここ2年連続受賞作無し。日本ホラー小説大賞と合併した横溝正史ミステリ大賞に至っては、2015年から5回も受賞作無しとなっている。まあ、受賞レベルに達していない作品を受賞作にして、ほっぽり出すよりはいいと思う。

文芸評論家の細谷正充が、「かつての乱歩賞が求めたのは、すぐに売れる『即戦力』」で、「最近は書き手の将来性をより重視している印象を受ける」1)といっているけれど、将来性を買われた受賞者の受賞後は芳しくないことが多い。反対に、即戦力を買われて受賞したかつての受賞者たちは活躍し続けている方が多い。

まだ選評は公開されていないが、もしそこに「若さを買って」とか「今後に期待を込めて」とか書いてあったら、今年度はレベルは高くないかも。そうではなくて、作品をベタ褒めされていたらすごい新人が出てきたなぁという感じ。

まあ、私は苦手なテーマでなければ普通に楽しんで読めるので、文庫化されたら買って(乱歩賞は文庫で揃えると決めている)読みます。

ちなみに、受賞作のおすすめは下村敦史の『闇に香る嘘』と山崎洋子の『花園の迷宮』。

1)「学芸万華鏡】名作も門前払い…作家達が憧れる「江戸川乱歩賞」の権威と圧力」, (2021/11/18),SankeiBiz ,<https://www.sankeibiz.jp/article/20211118-W2HNTLLILFKUTGGA36ZINULDIQ/>(6月14日参照)

「乱歩賞に荒木あかねさん」,時事通信(2022/5/17),JIJI.COM,<https://www.jiji.com/amp/article?k=2022051701028&g=soc>(5/20参照)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?