国民の知見と対策案の実現までの道

平井宏冶氏の『経済安全保障リスク 米中対立が突き付けたビジネスの課題』より、国民として考える課題があるように思えました。

平井氏は、amazonの商品説明から引用すると次のような方です。

株式会社アシスト社長。1958年神奈川県生まれ。1982年電機メーカー入社。外資系投資銀行、M&A仲介会社、メガバンクグループの証券会社、会計コンサルティング会社で勤務後、2016年アシスト社長。1991年からM&A(企業の合併・買収)や事業再生の助言支援を行う傍ら、メディアに寄稿や講演会を行う。早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。

氏は、30年間M&Aや事業再生の支援業務に関わってきたそうです。

それを踏まえて、『経済安全保障リスク』の本文は以下のような記述がありました。

 ちなみに、日本製の半導体製造装置については、日本には「売ってはいけない」という規制がないから販売禁止になっていない。次章で触れるが、外為法に規制業種はあるが、なぜか半導体材料と半導体製造装置がその中に入っていない。
 私は、これを大きな問題だと考えている。半導体材料と半導体製造装置をコア業種として規制業種に入れてしまえば外為法が適用され、輸出管理の対象になる。新型コロナウイルス感染の影響でマスクや消毒液がなくなった時、政府は医療品及び関連業種をコア業種に追加指定した。経産省の裁量だ。同様に、半導体材料や半導体製造装置を追加することは簡単なのである。しかし、それをやっていない。
 半導体製造装置については、オランダ、アメリカにそれぞれ強みをもった装置があり、日本から装置が中国にいっただけでは先方は仕事にならない。そうは言っても規制すべきである。日本は中国に合弁会社をつくらされて製造装置の技術を移転されている。技術流出はすぐに解決しなければならない最たる問題の一つである。

平井 宏冶, 経済安全保障リスク, 193ページ

ここでは、半導体の扱いをどうあるべきかということよりも、より一般的に、政府と国民との間の関係で考えてみたいと思います。以下のことが言えそうです。

・国民のほうが政府よりも問題に対して適切な「知見」をもっている可能性
・国民のほうが政府よりも問題に対して適切な「対策」をもっている可能性

とするのであれば、対策が実際に実現されることを国民としては望みます。しかし、国民側には、次の課題があるように思えました。

・国民には、対策を法として実現するまでの実践的知見が足りないのではないか

平井氏(国民)は、問題意識を持っており(知見があり)、どのような対策が必要なのかも案を持っています。

しかし、では、この対策を実現するために、国民として、次に何ができるのかはあまりイメージができないのではないでしょうか。

次のような行動はイメージしやすいかと思います。

・SNS等で情報発信をする
・本書のように書籍や雑誌で情報発信する。

これらは知見がある多くの国民にはできそうな行動です。では、それ以上に何ができるのでしょうか。

・国会議員(地方議員)に情報を届ける。
・届けるだけでなく、届けたことを情報発信する。
・届けてその後の進捗を確認する。
・進捗を教えてくれてないなら、教えてくれないことを情報発信する。
・進捗を教えてくれたら、その内容を情報発信する。
・国民に対し、適切な説明責任を果たさないのであれば、選挙で落選させる。

上記のようなことはできるのかもしれませんが、何が障害となるのかはわかりません。そのような行動の知見がどこに溜まっているのかは分かりません。たとえば、半導体の例でいれば、経産省に何か要望を出せば反応があるのかも分かりません。

より迅速に対策を実現していくために、このような知見をどこかに溜めることが必要ではないでしょうか。

また、各自の役割を整理することも必要かもしれません。
・知見と対策案を持つ国民(上記の例では平井氏)
・その国民に賛同する国民(私)
・対策案を実現する役割を持つ人
 ・国会議員
 ・地方議員
 ・行政役人

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国民から国会議員に提案する場合の事例の分析は、こちらを参照してください。

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