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#11 救いようのない君がどうしようもなく好きだった

数年前に大好きだったあるグループの、ある女の子が、テレビに出ていた。

思い出す。
彼女のことがすごく好きだった。

最初は、
色白で長身な所
歳下なのに自分より大人っぽい雰囲気
綺麗な声

可愛い女の子が大好きな私は、ただ彼女の可愛らしいところに惹かれた。

でも彼女は可愛いだけじゃなかった。

そのグループから目が離せなかった。彼女たちは、危うくて、繊細で、今にも壊れそうだった。

生きている中で感じるどうしようもない苦しさを、「私たちもそうだよ」と伝えてくれる唯一のグループだった。その反面、みているとこちらまで不安になって、一緒にどんどん落ちていく感覚になった。もう誰も、彼女たちを救えないところまで来ていた。絶望を歌う彼女たちに、「それでも明るく生きよう」なんて言うのは、酷だった。

だけど、私が彼女たちに救われたのは紛れもない真実だった。


テレビに映る彼女の周りにいるのは、あの頃のメンバーではない。振付師も、変わってしまったようだ。彼女自身がまとう雰囲気も、だいぶ変わっていた。

彼女が笑っていてくれて、良かった。
でも私の好きだった彼女は、もうそこにはいないようだった。


あなたにとって、もしかしたら「あの頃」は、
忘れたい自分で、時間で、思い出で、
「今」の方が、何倍も自由で、楽しいかもしれないけど…

それでも私は、あの頃のあなたが好きだったよ。
あのメンバーに囲まれて、
いつも違う姿で私たちに毎回音楽を届けてくれて、
あまりメディアには出てくれなかったし、
何がしたいか分からないときもあったし、
ライブにも、出られない時が多いかったけど…

やっぱり私は、あの場所で、いつも精一杯だったあなたが好きだった。

それでも、人は変わるから。
変わる彼女を、止めることはできない。
ただ、もう一度だけ、
あの頃の彼女に会いたくなってしまった。

もし、万が一、あなたにいつか会えるなら、
「あの頃のあなたは最高にかっこよくて、綺麗で、大好きだったよ」と伝えたいよ。

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