記憶の海

〜?side〜

ずっと馬鹿みたいに迷惑をかけて生きてきた。ふと振り返り、ネットでの知り合いも増えたし、知らない草花とか風を読むこと、土の良し悪し、海風の匂い、風の心、安らぐ川の音。

そして、左側頭葉の原因不明の頭痛。
俺はこの頭痛の原因を解明すべく、未知なる世の中へ踏み出していこうと、このモヤモヤを解決してやるぞ!と心機一転、ズンと踏み出して自分の隠れ家を見つけ、そこで徐々に記憶の海を、記憶の海の謎を探っていくことにした。


どうも、この海が私の言葉を邪魔しているらしい。うまく出てこない。なんだろうか。
同じ海、といっても、私とは違う形状の、その海。海を持ち合わせる灯台に、さっと潮風が吹く。
「わからない」
「何?」
「えっ?」
そんなふうに、灯台は私のことをばかにしたように、優しいような、鋭いような、冷たい目線でこちらを見やるだけなのだった。
「そんなことは、わかっている」

ふと足元を小突かれたような違和感を感じ、振り返ると、
「触るなよ、俺に」
と辛辣に言いやるマイタケがいた。
マイタケは、いっつも唐変木のようにずっしりと立っていて、たまに厳しい目をして、今冬無形な吹雪を放つ。それがどうも、俺には心を開かせる一端になったってわけだ。

さて、俺はというと、相変わらず頭はごちゃごちゃだし、ついでに髪もボサボサだし、前みたいに…いや、ずっと前から上手く物事なんて考えてられなかったように思う。
俺の記憶のうみは、



海の、そして普通に篝火、の線。胸にマグマの海がうっすらと広がるようだが、心なしかワクワクしている。
どんな、世界が。広がり、そして俺の記憶の海は。この俺春川螢と共に、目を覚ましれくれるだろうか。

続く

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