見出し画像

大地の再生呉講座2開催しました

2023.12.2-3
環境再生医、造園技師の矢野智徳氏を招き、
「大地の再生呉講座2 里山における溜池の機能を学ぶ」を開催しました。

今回の講座は、自分が代表組合員を務める「えのきのはたけ郷原市民農園有限責任事業組合」が呉市地域協働課が公募したパートナーシップ支援事業の採択を受け、自治体から助成を受けた事業としての講座開催でした。

今年2月に開催した「杜人から学ぶ大地の再生呉講座」後、大地の再生の活動に熱のある有志が声をかけ合い、任意団体の環境改善チーム「環境再生 いのちの杜 野土(ぬづち)」(以下、野土)を結成、野土は協賛という形で、今回の講座を担いました。

中央 矢野智徳氏
右 環境再生 いのちの杜 野土(ぬづち)代表 兼田汰知

仲間たちとオンライン、オフラインで準備を進め、広報開始が講座開催日の1ヶ月前でしたが、集客が予想をはるかに上回る難しさで、イベント告知から10日後、なんと申し込みがゼロ。

事業提案の収支が大幅にマイナスとなり、焦る気持ちばかりが空回る、開催前の半月を過ごしました。

しかし、あまりにも参加者の集まりが無かったことで、お声かけする方の幅が広がり、、、結果的に、市議や県の職員、研究職など多様な立場の方に参加いただいたので、今回はこの様な展開でよかったのかなと振り返りました。

1日目は溜池の機能を座学形式で学び、2日目大地の再生の視点と技術での手入れを実地で学びました。

1日目、座学の様子


元来、稲作の重要なインフラである溜池ですが、高齢化による稲作農家の減少により、利用されない溜池は増えています。そう言った溜池が、2019年の西日本豪雨の際に決壊し、被害を甚大化させたとして、広島県は、県内の使われていない溜池を特定し、廃止する方針を出しています。
講座で手入れする溜池は呉市の農林土木課の管轄で管理されており、地域の方が責任者で営繕を担っておられます。農林土木課の指導により、手入れできるのは外周部分のみとされました。

今回フォーカスした溜池の上段の田んぼは、イノシシが降りてくるようになって依頼、8割ほど耕作放棄地となっています。講座では、農林土木課の指導も踏まえ、溜池外周の放棄地の風の草刈り(※)や溜池の取水口の泥さらいなど、地上部2〜3メートルほどの風通しを図る手入れとなりました。

※風の草刈りとは
矢野智徳氏が考案、実践している、大気圧の影響なども考慮した草刈りの手法。フィールドの地形に沿って、草を一定のボリュームで築山状に残して刈ることで、空気が動く動線ができるので、草の根を伝って水も浸透しやすくなるため、土の保水力が高まる効果や土壌の団粒化の促進にも繋がる環境の力を十全に発揮する草刈りの手法。

2日目の実地の作業、午前中は放棄地の風の草刈りをメインに行いました。
あと5分で午前中の風の草刈りが終了、という頃、空間の空気感がふわっと軽くなる感覚がありました。

「あ、風が繋がったかも」という瞬間。

あくまでも、個人的な体感の域なのですが、、、。

一人ひとりが「風を繋ぐ」という意識で作業を担う、「結作業」の醍醐味を味わった様に感じました。

2日目午前中の作業の後。
全て刈り払わず築山状に草を残して刈る

午後からは、いよいよ溜池の中の手入れをしました。溜池の山手の湿地帯部分に凹凸をつけて空気を動き易くする作業でした。
沼状になっている湿地帯部分に、炭や枝、竹などの有機物を組み込むことで足場を確保しながら、手感触や足感触で脈筋を捉え、脈筋に堆積した泥を、組み込んだ有機物の上にあげていきました。

表層の50センチほどの手入れでも、
溜池の水深の深いところまで波及効果があるそう。

この溜池の手入れの手法は、地域の方の認識とはあまりにも違うことから、今後は、折に触れ地域の方に説明などをしてゆく必要があります。
受け入れてもらうには、時間がかかると予想されます。

「風景を繋ぐ」

そのための、はじめの一歩を踏み出しました。

担ってゆくメンバーも、限られたリソースを持ち寄りでの手入れとはなりますが、なんとか活動を継続してゆきたいと思います。

講座後の12月10日
メンバーと仕上げ作業を行った

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?