変わるもの 変わらないもの 煌々舞踊大阪
書道展『煌々舞踊 大阪』
2023年8月29日(火)~9月3日(日)
大阪府立江之子島文化芸術創造センター
行ってきました煌々舞踊 大阪!!
平日 7:00出発~19:00帰宅の日帰り弾丸スケジュール。
大阪観光する時間はなく、煌々舞踊を2枠堪能して帰ってきました。
でも行って良かった。
竹内朱莉さんの表現が一層伸びやかに深みを増していたことを目の当たりにして、前回の東京展示からの変化を体感できたことはとても幸せでした。
伸びやかに軽やかに
東京の煌々舞踊は会場の雰囲気が重厚で、その重厚さがアナログな書とマッチし、また竹内さんならでは明るいBIG LOVEな空気を引き立てていました。
そして今回の会場は天井が高く、壁が白くて明るい雰囲気。前回よりスペースも広い。
けれど広くなったと感じさせないほど作品数が多く、今回も圧倒されました。
入場するとご挨拶の文がありました。
そして、いきなり新作の書。
それらを見ただけで「表現が変わった」と感じました。
肩の力が抜けているような。とても伸びやかで軽やか。
アンジュルムを卒業してリーダーという肩書を降ろし、ソロになったことで身軽になったんだな。
力強さはありつつ、するすると水が流れるごとく滑らかな筆致。
もはや半紙や額に留まらず、それらの外への広がりを感じるような書が多い印象でした。竹内さんの身体が大きく見えるダンスにも通じるような。
大きめ作品が多かったです。
自宅に前回当選購入した書があるのですが、それと比べて大きいものが多く、会場の広さに合わせたのかもしれませんが、それだけご本人が表現したいことが大きくなっているのかなとも思いました。
新作が100点、前回から引き続いて展示される30点を加えて130点ほどの展示は、全てをじっくり見ようとすると1時間では足りません。
2時間でも足りなかった。
もっと広い場所で作品と作品の間をあけて展示してもいいんじゃないかな。筆の勢いが額の外側へも広がっているように感じるんですよね。
書の可動域が伸びたような。支配する空間が広がったような。
竹内さんの心情に余裕ができて軽やかになって、旅行などで感情や感覚を彩りながら色んなことを吸収したんだろうな。
経験したこと全てを糧にしてしまいそうだと感じると共に、とても素直な人だなと改めて好きになりました。書に感情があるというか。その時々の竹内さんが伝わってくる作品ばかりでした。
余白の美
余白がね、好きでした。(いつもの余白好き)
何も書かれていない余白も書として表現されているんですよ。
「BIG LOVE」コーナーは東京では展示されていなかったですよね。
アルバム「BIG LOVE」の特典で公開されていたもの。
全てを並べて眺めると文字の大きさが違っていて余白が印象的でした。
好きだったのは「蛙」「勉」
「蛙」は丁寧に書かれている印象。蛙が苦手なのにしっかり向き合って書いたんだなぁって微笑ましかった。構図が中心から少し左に寄っているのがとても良くて。
ぴょんって跳ねた蛙が、着地してスン…ってしているような。動と静。一瞬の切り取り。ケロンヌこと川名凜ちゃんの佇まいにも似ている。
たまたまご挨拶できたフォロワーさんとご友人の方と一緒に見ていて、それぞれが感じたことを話しながら共感したり新しい視点を提示されたり。
とても楽しかったです。ありがとうございました。
遠くから壁一面のメンバーの書を眺めた時の「勉」も好きだった。
紙に対して少しちんまりと書かれたお行儀の良い「勉」
フェスやライブで目を引く松本わかなちゃんの個性が書にも表れていました。竹内さんも外部のライブでのわかなちゃんの視認性の高さについてはよくお話されていましたが、まさにそのまんまの書。
図録だと「BIG LOVE」の書は紙や額といった枠がなく文字だけが掲載されているので構図や余白を感じられないのが残念。
「煌舞の私」の書は、グレーの背景で紙に書かれた文字が掲載されているので、紙の中の構図や余白が感じられて好きです。
書についての感想
「道」
最後の一画、しんにょうが長く伸びる。
それ以外の空白が奥行を感じさせて、竹内さんが今まで歩んできた長い道のりに想いを馳せました。
「首」の部分の濃さと力強さ。最後に書いた長く遠くへ伸びる道のりを経ての「今」なんだという事実と自信が伺えました。
余談ですが、この最後の一画のしんにょう、どうやって書いているんですか? 墨が掠れているけれど、この掠れ方がとても意味が深く芸術的なのですが。特に終わり方。奥行しかないじゃないですか。まだその向こうに歩いてきた道がある。確実に。
今回の煌々舞踊大阪で一番好きな書でした。
「龍」
すでに何枚か作品として「龍」を書かれていますが(「道」もそう)、今回の龍も今までのものとは別物でした。
大きなサイズだからこその迫力。A1サイズぐらい?
東京展示の「龍」は悠々と空を飛ぶイメージでしたが、今回は鋭いウロコまでも感じました。
京都の建仁寺で、天井画の龍を見たとInstagramに投稿していたけれど、そのイメージだったのかなとチラリと思ったり。
在廊されている時に巡り合えたら質問してみたかったな。(未だ会えず)
(迫力の双龍図は3枚目)
「道」「龍」は同じ壁に展示されていました。
この壁の前で一番時間を費やしました。平日だったのでゆっくり見られて良かったです。
「心機一転」
四字熟語はそれぞれ書体が違って素敵でした。
生で見て心にきたのは「心機一転」
熟語の内容を自身にシンクロして書いたんだろうなと考えながら書を見ていたら、今後の竹内朱莉さんがとても楽しみになりました。
「心」
青字コーナーの書も全て素晴らしかった。
大きいサイズの紙に画数の少ない字を書くのってバランスが難しいと思うけど、とても存在感があって素敵でした。青みがかった墨は今回もとても綺麗。
「一心」
今回は「心」という字に惹かれていたのかもしれない。
なんかね、この書もとても良かったんですよ。上の方に飾られていて、オタクなんぞに手の届かない竹内さんの「一心」って感じでした。
「新」「竹」
最初見た時、「かっこよっ!! ……なんて字?」ってなった2作品。
縦に並んで飾られていました。
この作品で感じたのは、文字として認識できなくても受け取ることができるんだってこと。デザインや絵のように見ている部分と、発せられるパワーというか「気」のようなものをこの2作品から感じました。
書かれているものが何なのかわからないからこそ、書いた人の想いや熱、人となりがより浮かび上がる。
それはつまり、日本語がわからない人の鑑賞にもきっと堪えるに違いないということ。竹内さんが世界へ飛び出す日もそう遠くないのかもしれないなと、それぞれの書の下に貼ってある解説で字を確認した何作品かを見ながら、いつかの未来へ想いを馳せてしまいました。
今回の図録はライナーノーツのようなご本人による解説がいくつか載っていました。1巡目はまっさらな状態で見て、2巡目以降は図録の解説を見ながら鑑賞している方もいらっしゃったようです。
私は1巡目の時に図録をgetしたものの、1度では全作品をじっくり見れなかったので2巡目も図録を読まずに鑑賞。
自宅へ帰ってからじっくり図録を読みました。
書を見ながら私が感じたこと受け取ったことは竹内さんの想いとそう遠くなく、「伝えたいことが伝わる」ご本人の真っすぐな性分とそれを届ける技術に改めて感動しました。
新メンバーの書もあって、図録の解説が微笑ましかったです。
変わるもの、変わらないもの
前回の個展から半年も経っていない。なのに、書に変化がありました。
アンジュルムからの卒業、プライベートの京都旅行、その他に今までやれなかったこと、初めての経験もいくつかあったのだと想像します。恐らくそれらの経験がすぐ書へ反映されているんだろうなと感じました。
感受性が高く、かつ、すぐ表現に落とし込める。アイドル時代に培ったインプット→アウトプットの速さ正確さを書でも体現している。
たった数か月の経験でこんなにも表現に色と深みが増すことに驚きました。
そしてそれは、表現したいことを表現し伝えることができる技術が土台にあるからこそ。
辿り着きたい場所へコツコツとひたむきに歩んできたんだなぁ。「道」の書に心が揺さぶられたのは、竹内さんに重ねて見たから。
最高段位である教授免許の取得、おめでとうございます!!
こうなると次の11月福岡も見たくなる。
変わっていく書の変化と一緒に歩きたくなる。あぁでも福岡…。
行けそうな名古屋、または東京へ戻ってくるまで待って、一気に変化を感じるのもいいかもしれない。いや、多分、変化を感じたなら途中経過を追いかけられなかったことを悔やむかもしれない…。むむむ…
グループを卒業して、どうやって応援していけばいいのか、熱量が落ち着いてしまうのではと危惧していたけれど、結局はまた感情を揺さぶられている。とても幸せ。
こうして環境や表現の形は変わっていくけれど、ご本人は変わらず笑っている。それもまた幸せ。
(キャップを後ろに被って床に座り込んで筆を持つギャップ)
(にこにこ楽しそうで、とてもかわいい)(動画)
確実に変化、進化しながらも、「一緒に歩いていこうぜ」って親しみやすさは変わらない。
変わるもの変わらないもの
これからも追いかけます!!
ヘッダーは「人生墨まみれ」公式さんのxより。
いつも素敵なスタイリングと写真をありがとうございます!!
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