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[男性向け]最近流行りの「禁欲」って実際どうなの?

*本記事には、性的な内容を多数含みます。最大限配慮はしますが、女性や苦手な方はご遠慮下さい。

近年、ライフハックや自己啓発、男磨きの分野で急速に拡大しつつある「禁欲」。その定義は様々だが、共通して男性において、性的なアクティビティを生活から出来る限り排除することを指針としている。

「禁欲」を取り扱っているものとして有名なのはこの本であろう。

(ちなみにこの本、実際に読んだ人なら分かると思うが、訳が荒く非常に読みづらいので注意)

さて禁欲というのは古来から、仏教やユダヤ教、キリスト教などの宗教的価値観の基に「禁欲主義」として広く支持されてきた。しかし近年支持されている禁欲の背景には、宗教的価値観よりも寧ろ、科学的な知見に基づいて語られることが多い。

しかしそれと同時に、同じく科学的な立場から「禁欲」に対し懐疑的な姿勢を示す者も少なからず存在する。ここでは一旦、賛成派、反対派の論理を整理したい。

[賛成派]
・禁欲行為により、男性ホルモンのテストステロンレベルは向上する。反対に、射精後に放出されるプロラクチンは、コルチゾール分泌を亢進し、テストステロンレベルを下げる。
・とりわけ独り身状態での自慰行為においては、自身が現実で女性を手に入れていないというセルフイメージを潜在意識に植え付け、自己肯定感の減少に寄与する。
・性衝動のコントロールを身に付けることで、自己規律が身に付く。
・ポルノ視聴時間を削減することで、1日で使える時間が増える。
・インターネット・ポルノの慢性的な視聴は、依存症を引き起こし、生殖機能の低下やモチベーション喪失など人生に甚大な影響をもたらす。
・インターネット・ポルノの慢性的な視聴は、より高度な刺激を求めるようになるため、異常性癖を誘発する。
・定期的に高レベルなドーパミンを放出することで、ドーパミン受容体が減少し、人生を変える努力への意欲を減退させる。
・インターネット・ポルノが出現したのはここ数十年のことである。脳は狩猟採集民族時代とさほど変化しておらず、ポルノ刺激に適応していないため、現実で性行為をしていると勘違いし、恋愛への意欲が喪失する。

[反対派]
・射精を行わないことは、生殖機能を低下させる。
・射精回数と前立腺がんの発症率には負の相関がある(≒禁欲行為は前立腺がんを誘発する可能性がある)
・性衝動を抑えることによる欲求不満により、寧ろコルチゾールが分泌されテストステロンレベルが下がる。
・継続的な禁欲がテストステロンレベルの増加に寄与するという十分な科学的根拠がない。
・射精後のテストステロンレベル低下は、数時間で回復する。
・性衝動を抑え込むことにより、攻撃性の増加が懸念される。
・現代の医学においては、寧ろ射精行為は健全なアクティビティであり推奨されている。
・性衝動への葛藤の時間の方が寧ろ無駄である。

さてこの両者の議論はなかなか結論に向かわないが、唯一「インターネット・ポルノ視聴」の危険性は一般に支持されている部分ではある。それよりも根本的な、自慰行為や射精の禁止に関しては「賛否両論」といったところだ。

では実際に禁欲を体験してみるとどうなるのか?

私は高校時代、好奇心で自ら禁欲行為を行い、さらに(ドン引きされることを承知で書くが)部活仲間や同級生と協力して20人ほどを対象に実験したことがある。

結果は一般に以下の通りである。
・3~7日ほどで慢性的に強烈な性衝動を誘発し、大抵の者が1週間以内に脱落する。
・その性衝動を抑えていると、フラストレーションを部活動や勉強などで昇華するしかないため、集中力やパフォーマンスの向上が認められる。
・1週間前後のフラストレーションを、勉強や部活で解消できないときには常時イライラする。
・禁欲開始から10日ほど経つと、慢性的性衝動は軽減されていく(しかし突発的に巻き起こることはある)
・スマホそれ自体が性衝動を誘発する危険性があるため、自然とスクリーンタイムが減少する。
・10日以降から女性と積極的に交流する機会が増える。
・3週間ほどで性欲は殆どなくなり、様々なことに対する活力に満ち溢れる。
・1か月以内に夢精が誘発される。

…確かに、10日前後を超えてくるとその効果は顕著に現れるが、そこに辿り着くまでのストレスが半端ではなく、大抵の者が脱落するため再現性に欠ける。さらに「禁欲」をしなければならないと思い込むことで、失敗した時の自己嫌悪感が寧ろ生活の質を下げる側面もある。さらに、長期禁欲に差し掛かると性欲そのものが無くなるので、生殖機能が一生失われる恐怖もある(1ヶ月ほどの禁欲では、禁欲明け1週間ほどで元に戻る)。

すなわち試験や試合などの重要なイベントの前に、短期集中といった形で取り入れる分には効果的だとは思うが、ライフスタイルとして一生続けるのはあまりおすすめできない。

とはいえ興味のある方は実際にやってみるのも良いと思う。ただし、禁欲行為は安全性が科学的に十分に担保されているものではないので、自己責任でお願いします。

おしまい

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