アニメ感想:「REVENGER」5話 ”Love Never Dies”

 サブタイ訳は「愛は不滅」。雷蔵に剣以外の取り柄が見つかって話が大きく動きそうな5話、果たしてどうなる。

詳細

  夜、幽烟の庵で並べた一面の凧を前に悩む鳰
 鳥の絵が入った凧に決めた頃に遠くで鳴る重い音、花火だ~。
 唐人のお祭りをやっているらしく、竜の張りぼてなど見世物で盛り上がるなか、人の流れに逆らって「いたち」と「むじな」を不安げな表情で探すはなちゃん……。

 OP開けは見世物小屋の風景から。
 ジャグリングで人寄せをしながら朗々と客寄せの文句を語るその声は、成金ピエロ風の身なりをした座長らしき男から。
 「火吹き達磨」「奇怪蛇女」といった見世物で人を呼び込んでいますがその実どうだかなぁ……。
 とおもったけどちゃんと名目どおりのもの見せてきてるな……見世物小屋というよりは大道芸人の香りがしますね。

 そんな見世物小屋を遠くに、ボロをまとって地蔵菩薩(地獄で徳の代わりに石を積む子供達の守護を担う存在)が並んだ道を歩く幼い素足が二人分。

「いたち兄ちゃん、ここどこ?はな姉ちゃんは?」
「泣くなって。はぐれたらお地蔵さんとこで待ち合わせって、はな姉ちゃん言ってたろ」

 この二人が、はなちゃんが探していた「いたち」と「むじな」なんだな……。

「おやおや。どこから入り込んだのです?」

 ファッ!?速水奨!?!?!?!?この赤鼻、見世物小屋の成金ピエロが速水奨!?!?!?(まったく気がついていなかった)

 知らない声に身を寄せて、弟をかばって強い目を向ける兄、その色は青……金髪碧眼か~~~長崎でも生きづらそうだな~~~~。

「これはこれは。素敵なものが迷い込んできたものです」
 そうだね……存在だけで見世物になるからね……。

「ようこそ。堂庵一座へ」

 申し訳ないが顔がおっかなすぎて絶対ロクな事にならないという感情しか沸いてこないよお!!

 さて所変わって、祭りの喧噪を町屋から眺める惣二。
 験担ぎに引いた札は花見札、高い札にニヤつくのは無理もなし。景気づけに一発……いやごめんそのカットで雷蔵の尻が映っておりなんか複雑な気分になる。ちょっと絵コンテの人!?
 こっちの気持ちはさておき、明日は鳰のハタ(凧)に賭けりゃ大儲けなんだから、と気合いを入れて思いとどまる惣二。
 喧嘩凧の勝敗で賭博が行われており、アバンの鳰は試合に使う凧を選んでいたという事だったのでしょう。

 そんな惣二をよそに、ついたて越しに真剣に絵を描き続けている雷蔵。
 惣二の言い方からすると、マジで絵を習ったことすらなかったんだな……。

「剣を握って立ち会うと、しばしば時が止まる。そう、まるで絵のように」
「それが筆を握っていても、訪れるとわかった」

 あとはそれをそのまま(描くだけ)、と語る雷蔵に惣二、

「てめえは人のタマ取る要領で絵を描いてるってのか」
「いや。そこに至れば、斬る斬らぬは些細な事なのだ」

 ここで「剣禅一如」を出してくる雷蔵。要は「剣の境地も禅の境地も同じ場所」という事なのですが、これ仏師の「木や石の中にいる仏様の姿をそのまま掘り出しているだけ」と同じやんけ……。
 剣も絵も、「自分と相手だけ」になる瞬間、境地があって、そうなったら後は「すべき動き」をするだけである、と……。
 はぇ~~~~~剣の物語を書き続けてきた男虚淵玄の書く話は違うなぁ……いや今回のメイン脚本はクレジットを見ると大樹蓮司さんなのですが、サブにぶっちーがいるってことは軌道修正などしていると思われますのでこういう言い方になりました。

 いつになく饒舌……というかこの感覚を表現すべき言葉を探しているように話す雷蔵に、惣二はなおさら気に入らねぇ、と返します。

「絵筆握ってんな大層なトコ行けるならよ、てめぇに斬られた奴らは、何で死ななきゃなんなかったんだ?」

 惣二~~~~~お前マジで裏稼業向いてないよ~~~~~!!!博打もリベンジもやめな♡

 ちょっと例えがこれしか思いつかないのですが、FGO、ひいてはFate世界の「根源へ至るアプローチ」のような話になってきましたね。
 Fate世界の「根源」って魔術師にとっては至上命題で、家系ごとにいろんなやり方で目指すものなんですが、
 惣二は「方法、過程で犠牲になったもの(人の命)」を気にしていて、実に人間の感覚らしいなって思います。雷蔵は……どっちかというと魔術師寄りだね……。

 まあそれを差し置いても、俗と欲にまみれた己の隣に一道を突き詰めた男がいるんだから、あんまいい気はしないよなぁ……。

 惣二の言葉に落ちた沈黙、怒ったかと訊く惣二に雷蔵、

「いや。やはりそなたは、俺などより余程道理を弁えている」

 雷蔵……言われて初めて気がついたんか……?「んだよ、怒ったか」のカットで雷蔵の顔は見えないのがまた憎いなぁと思います。
 真っ向から言われて顔をしかめる惣二、どのみち今日は外へ出ても仕方ないので部屋で酒を呷ることにした模様。

「碓氷屋の旦那の真似しようなんざ思うなよ」

 産まれたときから全部持ってたようなバケモンなんだからな、と釘を刺す惣二。
 同じ芸術方面だし言いたくなる気持ちもわからんではない。惣二は幽烟に対してそもそも生まれからして異なる人種、という感覚なのかもしれません。

 「いかがした」

 と雷蔵。その言葉は惣二ではなく、襖の向こうの気配へ向けられたものでした。
 ここ、遡って聞いてみると、惣二が酒を呷っているあたりでちゃんと廊下の床板がきしむ音が入ってますね……。丁寧な仕事が光る。

 開いた襖の向こうには頼りない小さな足。

「お友達がね、いたちとむじながね……いなくなっちゃったの」

 はなちゃん……お姉ちゃんやってても子供は子供なんだ……なんて小さな足元……。
 俯いたままの目元に涙を拭った跡……。

 先週、利便事屋関係者ルートではなちゃんが曇らされることを心配していましたが、別ルートではなちゃんが曇らされており「こっちかあ……」という顔をしてしまいました。

 翌日、いなくなったというはなの友人を探しに山を登る惣二と雷蔵。

「はなの奴、山の連中なんざとは付き合うなって、何度言っても聞きやしねえ」

 はなちゃんがそもそもどうして山の子供と知り合ったのかと言えば、お母ちゃんの墓が山にあった……日々のあれこれお母ちゃんに報告してるやつだ……。
 そういう「なんだかんだ言っても子供」という面をしっかり把握している惣二……ねえ~~~~やっぱお前博徒やめなよお~~~~!!!!!

 「ハタ合戦の日だってのに」とため息の惣二。見晴らしの良い丘に人の集まりと色とりどりの凧が見えますねえ。
 それはそれとして全財産賭けるなら家賃払ってからにしてもろて……。

 凧を自在に操り、周りで飛ぶ凧を落としていく鳰。
 凧でも性別でも周りを手玉に取っていく、そんな鳰の様子を場所取ってお弁当用意して見守る幽烟、お母さんか……?

 そんな幽烟に声をかけたのは見世物小屋の主人、堂庵。
 いや、格好はともかくせめて化粧だけでも落としてきてもろて……。
 声をかけられた幽烟の表情は厳しく、返す声も厳しいものでした。

「私たちは、壮健を喜び合うような仲ではなかった筈ですが」

 ほ、本気で汚らわしいと思ってる声じゃん……。
 遠慮のない言葉に大笑いする堂庵、ならばと告げた本題はこうでした。

「どうか、あの化け物を買い戻させて頂きたい」

 詳しく説明してください……今、僕は冷静さを欠こうとしています……。(例の画像)
 
 ああ~~公式HPで明言されていた鳰の「半陰陽(両性具有)」はここで出てくるんだなぁ~~~~~。「天使」とまで言うか。
 その上で手放したのは一生の不覚だと。当時はよほど生活に困っていたのか、それとも鳰自身が出て行きたがっていたのか……。

「鳰のことなら、あの子は化け物ではありませんし、金で買うこともできませんよ」
あの子はもう、人になったのですから」

 そう……そうなの……?他人の凧を落としてる時のテンション、わりとお仕事中のそれと同じだと思うんだけど……。そもそも礼拝堂の教えで「人」の定義ってどうなってるの……?

 「堂庵一座の化け物たちも、あの子一人に及ばない!あれこそ、化け物の中の化け物だ!

 うーん、どこまでも鳰を「化け物」として扱うんだなぁ、そりゃ幽烟にも冷たくあしらわれる。
 まけじと食い下がる堂庵、

「牙を抜き、角を削って着物を着せれば鬼が喜ぶとでも?」

 それは……鬼それぞれの問題じゃないかな……。
 一方の鳰は勝ちも近いのか、勝ったら惣二に何を奢らせようかとはしゃいで幽烟を振り返ります。
 そこにあるのは、追いかけてきた「過去」……。

 糸を切られて落ちる鳰の凧、それを目の当たりにした惣二の絶叫がほとばしるのであった。次はちゃんと負けたときの保険もかけような!博徒やめろ♡

 夕方になって、山で聞き込みした内容を幽烟に報告する雷蔵と惣二……惣二はもはや上の空では……。

「兄弟だけではない。どうも、何やら際だった見た目の童が、幾人も消えているらしい」

山の子供が何人消えようが、気にする者などいませんよ。それがこの長崎です」

 シビアな物言いの幽烟。キセルを吸って、煙を吐き出します。

「……が、恐らくは堂庵一座の仕業でしょう」

 山の中でも、哀れな子供を集めて見世物にするのだという話は流れていました。事実その通りらしく、幽烟は否定せずに以下のように語るのでした。

 昔はただの大道芸人一座だった。ある時を境に、座長の堂庵は人と違った見た目の子供をなりふり構わず集め始めた。

 鳰は元々堂庵一座にいたが、このままではいけないと幽烟が引き取った

 「あの男は手放したことを後悔しているようでね。昼に私の所に来ましたよ」
 ここで雷蔵、堂庵と鳰の事について掘り下げようとするも、全財産をスッた惣二が派手に反応して話が流れる。

「鳰が負けたのは、もしかしてそのせいか!?」
「さすがに驚いていたようですね」

 そんな……惣二くんは全財産をスッたんですよ!?まあ自業自得なんですけど……。
 鳰には「しばらく身を隠すように」と言ってある、とのこと。ちゃんと大人しくしてるんですかね……鳰が……。

 一方こちらは堂庵一座のテント内。
 いたちとむじなの品定めをしている堂庵、ランプを近づけて兄弟の顔をじっくりと観察。眼の色を確かめたあと、ひどく残念そうな顔で部下に指示をして、兄弟はテントの外に連れ出されてしまいました。ひどいことしないでよぉ……。

 自分のテントの中、珍しい動物の頭骨、九尾の狐の毛皮、双頭の蛇といった動物の剥製に囲まれて、顔を覆って苦悩する堂庵。
 どれだけ求めても鳰がいない……その不在に耐えられないんだろうな……。

 ここで流れるBGMはストリングスの不協和音なのですが、テント内部の不気味さとともに、ひずんでいく精神の象徴でもあるのでしょう。
 なんかね……さっきのいたちとむじなの品定めでしていたひどく残念そうな表情も相まって哀れっぽく見えてきましたね……「商売道具として役に立つか」の目線で見てなかったもんな……。

 そんな堂庵の元を訪れたのは、鳰。
 やっぱ大人しくしてなかったか……。

 急にハチャメチャ倒錯した絵が出てくるじゃん…………。
 女の手に跪いて口づける男ならそれこそハーレクインかSMクラブで見かけもするだろうけど、両性具有の少年に跪いて口づける男はなかなか見ませんね……。
 ハーレクインとSMクラブの落差すごいなって自分でも思うけど、結局二人だけの世界って所は変わらないしこのシーンもそうなんだよな……。

「私の愛しの化け物……。どうしてここに」

 堂庵にとって「化け物」って本物の賞賛なんだな……。本人も虹彩が異常に大きいし、自分のテリトリーに希少生物の剥製や頭骨並べてるってことは相当なんだ……だからメイクも普段から落としてないのかな……。

「堂庵は鳰を自分のものにしたかったんでしょ?」
「ああ……今度こそ君を離さない。君は、私だけのものだ!」

 ここの堂庵の動きがもう……鳰の手にすがりつくように頬を寄せる、この……。

「じゃあ、鳰をいくらで買ってくれる?」

 うわ~~~~ここで「買い戻したいならそうさせてやる」と来たか~~~~~おっかねえ~~~~~何が狙いなんだよ……。

 あとここで簪がしゃらしゃら揺れてるのズルっていうか……その……女が簪を差すのは何のためか、という点を思い出す羽目になったというか……。作画監督さんありがとう。このカットに枚数使う判断をしてくれてありがとう……。

 一方こちらは子供たちの啜り泣きが響く舞台裏。

 取られた人形や会えない母を恋しがって泣く彼らに食事を与える蛇女さん。ぶっきらぼうながら面倒見の良さが伝わる演技だな……いや成長途中の子供をこんな狭苦しい箱に押し込むんじゃあねーッ!!!!蛇女さんにそんな事言っても仕方ないんだろうけど……。

 連れてこられたいたちとむじな、よかった無事だった……しかし抵抗するため転がされて踏みつけられるいたち、そんな様子を見ていられず仲間の大男に「いい加減にしなったら!」と止めに入って問答無用で殴られる蛇女さん……。
 P.T.バーナムはここにいないんだ……ここにいるのは欲と暴力にまみれた人間と無力な子供達だけなんだ……おつらい……。(バーナムのやり方に問題がなかったとは言っていない)

 檻に入れられた兄弟に、この場所なりの処世術を教えてくれる蛇女さん。
 去って行く彼女を見送りながら、「僕たちどうなるの?」と不安げな弟、与えられたおにぎりに手をつけようとしない兄。ほだされてたまるか、と思ってるんだろうなぁ。

「ちゃんと芸を覚えれば、悪くない暮らしできるんじゃない?」
「いや?山よりマシじゃない?毎日ご飯は食べれるし、屋根の下で寝れるし」

 そんな事を言いながら、傘で顔を隠したまま二人の前に姿を見せる鳰。
 生活レベルは向上してるんだから、順応すればいいんじゃない?と語ります。
 実際、今いる子供たちの中にも順応した子はいそうですよね。描写で姿がぼかされてる子なんか特にそれっぽい。
 でもなあ……昨日今日無理矢理連れてこられた子供にそんなこと、考えられたとしても納得できるわけがないんだよなあ……。

「ぼく帰りたい。はな姉ちゃんも探してるだろうし」
「そうだよ、こんなとこいられるか!

「ふうん、そっかあ」

 鳰が取り出し、兄弟の檻に投げて寄越したのは、堂庵が鳰を買ったであろう歯形のない小判……。
 またここの鳰の描写が「わからない」んだよお……。口元の表情が絶妙すぎる……作画監督を呼んで……大変良いお仕事でしてよ……。

 アイキャッチ開けで映った恨噛み小判、小さくて浅い歯形が二つ……。
 鳰が負けたことにより無一文だった惣二は収入が入るので「よくやったぜ、鳰公!」と鳰を褒め、ヴッッ(脳に過電流が走る)

 に、に、鳰が西洋兜かぶってる……3話で潜水服の頭被って遊んでたの伏線っていうか、「話を聞きつつ何かしら遊ぶ子」というイメージを植え付けておいてここで「表情を隠すという明確な目的があって兜を被ってる」描写が来っ…………し、シリーズ構成虚淵玄!シリーズ構成虚淵玄!!(腕を上下に振りながら)

 いや知りませんけど実際の順序なんて……藤森雅也監督の作品を見るのもこれが初めてだし、コンテ切るときに5話脚本から逆算して入れた可能性もあるし……。
 作風に覚えがあって、信頼しているタイプの作家の名前がつい出てしまったということでご勘弁願います。いやでもどうだとしてもこの……脳に効く……直近で一番脳細胞がしびれた瞬間でした、TVアニメをリアルタイムで追うのはこういう醍醐味がありますね……。

 それはそれとして、「山の子供がどこから小判を調達したのか」という点について、また「鳰を取り戻したがっている堂庵一座の殺害依頼を鳰自身が請けた」という都合の良さに訝しまざるを得ない雷蔵、徹破、幽烟の三人。
 雷蔵ですら「渡りに船なのか?」という言葉が出るレベルである。

 徹破先生の追求を「たまたまだよ、たまたま」でかわし、幽烟の「堂庵には近づかないように」との言葉を無視した件については「そうだっけ~?」とはぐらかしていく鳰。
 ここのカットの雷蔵、めっちゃ鳰見てるな……。
 「いささか都合が良すぎる話だねぇ」と、お仕事前のテンプレ会議の流れがおかしくなるのを引き戻したのは惣二でした。

「いつから俺たちは小判の出所なんざ気にするようになったんだ」
恨噛み小判は恨噛み小判。こうして俺達のもとに来たからには、四の五の言わずに働くのが利便事屋だろ?」
「それとも何か?俺達が今まで受け取ってきた恨噛み小判は、みーんな全うな金だったってか?」

 そうなんだよな~~~~それを言うならそもそも3話で漁澤が寄越した小判も、本当に面目を潰された大店の主人が自分の意思で噛んだものなのか、しょっぴかれた筈の主人が小判なんて持っていたのかって所で怪しくなって来るもんな~~~~~。

 これを今の惣二が言うと「いや……今のお前が無一文だからでは?」というノイズが乗るっちゃあそうなんですけど、ここで徹破先生が引っ込んだのは惣二の言が本質でもあったからで……いやでも先生が引っ込んで笑みを浮かべる惣二、やっぱ6割ぐらいは無一文が解消されて安心してる顔ですねコレ。それはそれ、これはこれって奴だ。

「だってさ。良かったね、幽烟」

 そこで幽烟に話を振るでないよ……鳰……。

「怖い顔しないでよ。幽烟だってあいつに死んでほしかったでしょ?」
「堂庵は鳰のものだからね、鳰が取って来たリベンジなんだから」
「それぐらい、いいでしょ?」

 ああ~~~~~惣二は幽烟と鳰と堂庵の因縁をほとんどわかってなかったんだ……口にした利便事屋の理念自体は本質だったけど、結果的に鳰の思惑に加担してしまったことに気づいてない……だからシーンの最後に訝しげなカットを……。あっ、ああ~~~~(脳細胞に効いてる)。

 リベンジのお時間よ~~~~~~!!!!(カンカンカンカン)
 いやでも今回はなんか変な空気だな……。

 幽烟の庵で光を受ける女物の着物。
 「急に用意してくれて」ってことは、見世物小屋時代に着ていた着物なんだろうか……。
 いや、めっちゃ「両性具有」を絵で見せてきたな!?
 上半身の膨らみに気を取られがちだけど、首筋のラインが「美」だな……数秒しか映らないのもったいないな……。拝んどこ……。
 鳰の細い背中に無言で襦袢を被せてやる幽烟に、「もう遅いよ」と鳰。

「鳰を行かせたくなかったなら、先に幽烟がやっちゃえばよかったんだ」
「幽烟なら、誰にもバレずに始末できたでしょ」

 幽烟が堂庵を殺したいこと自体は確定事項なんですね……いや目も合わせたがらなかったし、本心から汚らわしいと思っていたのは間違いないんですけど……。
 そして「誰にもバレずに始末できた」という点を否定しない幽烟。

「露見するかどうかではないのです」
「神の道を背いた私が、それでも信仰に生きるための……最後の枷なのです」

 幽烟も本来は、物事を解決する方策として「殺す」が選択肢に入ってる男なんだよな……。
 ここの鳰の目線が鋭いし、突き放すように前を向いてからの
「鳰は、信仰とか掟とかわからない」はこう……同じ場所で生きながら別の世界を生きている生き物感あるというか……ろくろを回す手が止まらないよォ~~~~~!!!!

「わかんないけど、幽烟が言うから、小判なしじゃ殺さない
「でも、小判はもうあるんだし。いいよね?」

 女物の着物で、ぽっくりを履いて軽やかに駆ける鳰を、幽烟は見送ることしかできないのだ……。
 己が科した枷ある限り……。

 一方、見世物小屋の入り口にあたる山の急な階段を駆け上る雷蔵と惣二。
 堂庵は大人しく鳰が戻るのを待っているだけかと言えばそんな事はないだろうね~という予感的中、火吹き男とナイフ男が待ち構えていたのでした。

 いきなりの火炎放射で分断された二人、火吹き達磨に近づけない雷蔵、ナイフ使いにより花札が全て弾かれる惣二、おっと……相性的によろしくないのでは?

 そんな様子をさらに高い場所から窺っていた徹破先生にも、怪力男が襲いかかります。

「それじゃあ久しぶりに……力比べといこうか!」

 メガネを外して怪力男と組み合う徹破先生、矢で射かける時に眼鏡を外していたからてっきり遠視なのかなと思っていたら、もしかして眼鏡を枷……というか医者モードと暴力モードを切り替えるためのスイッチにしてるのかな?レンズは入っているみたいだけど、レンズに度が入ってないのかもしれない。

 相性が悪い組み合わせとなり苦戦する惣二と雷蔵、いや雷蔵の軽業すごいな……もちろんブーツのグリップ力あっての賜だろうけど、アクションゲームでジャンプの目測が合わずにあわてて元の足場へ戻るプレイヤーみたいな動きしてるぞ……。宙返りまでして……。

 ジリー・プアー(徐々に不利)を強いられる中、やけっぱちのように残り全ての花札をナイフ使いへ投げつける惣二。
 当然のように全て弾かれるも、流れ弾が火吹き達磨が抱えていた燃料チューブに命中、火吹き達磨は頭から燃料を浴びる羽目に。

 惣二の笑みに自分が利用されたことを悟って激怒するナイフ使い、その隙に飛翔して飛びかかる雷蔵ーッ!!!ヒューッ!!
 いやクッソ冷静にナイフ弾いてチェストドロップキックは凄まじいな……一連の流れのリズム感がめちゃくちゃ良くて冷静にさせてくれないけど冷静に考えると凄まじいわ……。

 こうして火吹き達磨とナイフ使いはひとまとめにされ、もみくちゃになっている間に飛んできた火の粉に引火からの爆発……いや派手ェ!?
 あと引火する直前に、逃げる雷蔵が構えを解かずに迅速に駆け下りていくのシュールで笑う。

 「貸し一つだな」「どちらがどちらにだ」

 ズルだよ……笑うじゃん……雷蔵の声がこなれた感じになっており、二人の息が合ってきてるのがはっきりわかるシーンですね。

 一方徹破先生は怪力男と肉弾戦を繰り広げ、地に伏しながらも足を取って問答無用のジャイアントスイングで決着となりました。がよ……湿っててよ……。リング以外でジャイアントスイングをするとどうなるか、よくわかる音だったよ……。

 あーあーあーテントにまで引火しちゃって……。

 自分が逃げることよりも、火を消して子供達を守ろうとする蛇女さんさぁ……ほんと情が深い人なんだな……。
 自分以外の大人達が死んでいることも知らず、「誰か、鍵を持ってきておくれよ!このままじゃ、子供らが焼け死んじまうよ!」と叫ぶ悲痛な声に応えて、隠れて鍵を投げ入れたのは幽烟でした。

 出所を考えている時間もなく、すぐに鍵を開けてやる蛇女さん。
「歩けない子を助けてやるんだよ」ってことは、足の腱を切られたり、足が変形している子もいるのかな……。
 それはそうと、兄の箱にあったおにぎりが少し食べられているのが細かいですね。そうだよねぇ子供だもんねぇ……。プライドだけで生きていける精神してないよねぇ……。あるいは「ここから出してあげる」と鳰に言われていたためにちょっと気が抜けて食べた、とかかもしれない。

 きちんと自分の元に戻ってきた鳰を抱きしめる堂庵。
 周りの騒ぎなど意に介さない、二人だけの世界。

「鳰を自分だけのものにしたいんでしょう?」

 甘い声で語りかける鳰に、苦しみながらも「わかっていた」と鳰の首に手をかける堂庵……。鳰はつなぎ止めておけるような存在ではない、剥製たちのように殺して永遠にするしかないという事か……。

「そう……。鳰を自分のものにするってことは、そういう事だよ

 もうここからがなんて言えばいいの……フランス映画の空気なんよ……。
 こんな空気吸える時代劇そうそうないよ……あるいは谷崎潤一郎なのかもしれん、この空気……。
 結局のところ堂庵は鳰を殺せず、「私には……壊せない」と蹲って呻くのですが、鳰がスッと失望したような……というか「だろうね」という顔をした後、とても優しい声で

「そっか」
「だったら鳰が、堂庵を鳰のものにしてあげるしかないね」

 と糸を引き出して見せるのがさぁ……。
 堂庵はいっそ赤子のようにきらきらとした瞳で「自分が本当に欲しかったもの」に気づくわけですが、
 要するに……Sの少年こと鳰が手元から離れた不在に耐えきれず、面影を求めて他の子供を集めていたMこと堂庵……ってコト!?

 こうして書くとめちゃくちゃ俗なんですけど、「自分にとって最も美しいもの、至上のものに何もかも捧げたい」って気持ち、インターネットでもめちゃくちゃよく見るからさ……「推し」って表現されがちだけど……。

 そして「何もかも捧げたい」という気持ちに行動が伴ったとしても、「いやそんなに貰えない、困る」と言われ、相手が肉持つ人間だったと我に返ることも往々にしてあるわけで、本当に「全部貰ってくれる」存在がいたとしたらそれはまさしく「神様」であり「天使」なんですよ。

 あと、殺した後の肉体を食べるでもなく、剥製にして所有するでもないのに「鳰のものにしてあげる」という、相手の文脈に乗っかるのは……それは……「愛」だとも思う……少なくとも堂庵にとっては「愛」だったと思う
 でなきゃあんな歓喜の表情しないよ……「ずいぶん待たせちゃったね」って鳰は言ったけど、その時間と苦悶すら報われた瞬間だっただろうな……。

「鳰が堂庵を、愛してあげる」

 首を落とされたであろう堂庵の血が頭骨に跳ね、涙のように流れる。
 事を終えた鳰とその光景を、幽烟は眉を寄せて見つめるのでした。

 いたちとむじなの兄弟は解放され、はなとお墓参りへ。あっ雷蔵も付き合ってる……。
 皆で手を合わせる中、子供達と背丈(=見えている世界)の違う雷蔵だけが、「山よりマシな暮らし」が出来ていた堂庵一座が崩壊し、寄る辺のない身となって長崎を出る蛇女さんや子供達の姿を捉えていたのでした。
 ここの、微妙に口元を引き結んだ雷蔵の表情がね、良い…………。

 堂庵一座、救われたのは堂庵だけで周りが明確に悪化してるもんな……。
 そもそも大道芸人一座だった堂庵一座を狂わせたのは誰で、見世物小屋でしか生きていけなかった人間達の人生を狂わせたのは誰なんでしょうね……。

 不協和音なピアノBGMが流れる中、カステラを一本まるごとがっつく鳰。カワヨ……いや言ってる場合じゃなさそうなんだけど……。

 惣二からしてみれば、はなの曇った顔を見ずに済んだ借りを返すつもりで恨噛み小判の稼ぎをほぼ使い切って鳰の「カステラをたらふく食べてみたい」という言を叶えたつもりだったのですが、鳰から上がったのは

「ええ~意味ないじゃん!」
「惣二が文無しだって言うから、あの子たちに小判噛ませたんだよ?」

 喧嘩凧で負けたことを責められたくなかったための一計であり、堂庵一座の子らが「山よりいい暮らし」を失うことも折り込んだ上だったのに余計な手間だったんじゃん、と言う鳰に、思わず「てめぇが全部仕組んだってのか!?」と肩をいからせる惣二。

「なんでそんな顔するの?恨噛み小判は恨噛み小判って、惣二自分で言ってたじゃん

 言葉を失う惣二。そりゃそう……そりゃそうだ……。
 でもここで下手に食い下がって自分を曲げない潔さがさあ……。雷蔵がいたら多分そなたの方が余程ゲージが上がってたと思う……。(そなたの方が余程ゲージって何……?)
 そして鳰は変わらぬ調子でカステラをぱくつくのでした。
 いや、でも「元はといえば理論」は大分危ないからそれは惣二のせいじゃなくて「喧嘩凧で負けたことを責められたくなかった」鳰のせいだよ……。

 それはそうと隣のお茶、もしかして紅茶かな……だといいな……カステラには紅茶が合うからね……。

 カモメの舞う空、幽烟と並んで徹破先生が語ります。

「鳰にこないだ訊かれたよ。
 "こんな潮の匂いのする町に住んでて、無頼の昔に帰りたくならないか"って」
「……どう答えました?」
「君にも言った通り。"そういう自分を抑えるために、裏の利便を引き請けている"ってね」

 徹破先生の場合は、利便事屋が暴力衝動の発散場所として機能してるのかな……。

「……鳰はきっと、理解しないでしょうね」

 言い訳に過ぎなくても、自分を取りつくろわずにはいられないのが人間というもの。「だけどあの子は、そんなもの必要とはしないんだ」と徹破先生。

「……それでも、私は、鳰に人として生きて欲しいと思っています」

 幽烟の言葉に物言いたげな徹破先生は、眼鏡を直して深いため息をつくのでした。

 今回で気がついたんですけど、幽烟のピアスと鳰のチョーカー、飾りが同じなんですよね……。恐らく幽烟のピアスを片方チョーカーに加工して、鳰に渡したものだと思われます。
 それは……本当にそうだとしたら「首輪」じゃん……。文字通りの……。鳰を一番人として扱えていないのは誰だって話にならんか……???

 幽烟は鳰について、「今は自分が鳰を抑える首輪役として機能してるけど、自分がいなくても善悪を判断して人として生きて欲しい」と思ってそうだな……。人殺しをしている時点で大分その……アレな話ではあるんですけど……。

 そして暴力衝動持ちの徹破先生「いかんともしがたい性質」を抑えることがどんなに難しいかを実感しているからこそ、最後のため息に繋がるのでしょうね……。

 しかし、に善悪の判断はなくても、「愛着」はあるんでしょうね。今の場所に居心地の良さを感じてはいる。でなければそもそも幽烟の言うことに「幽烟が言うから」と従ったりはしないし、自分の過失で全財産を失ったに近い状況の惣二に「責められたくないから」という理由で一計を案じたりはしない……そう……この鳰の言も色々怪しいっていうか、割合でいうと3~4割ぐらいであって、自分自身の恨みや「仲間も堂庵を汚らわしい、消えて欲しいと思ってる」という事も含まれてはいると思うんですよね。

 自分はあくまで凧の繰り手であって、所有されて空に舞うこともできない凧になるなんてまっぴらごめんだし、そういう過去を思い出したくもない、と思っていたのかもしれない。

 鳰……鳰~~~~わかんねえよお~~~~~お前のことがわかんねえ~~~~~~~~!!!!!!(どったんばったん)

今後の展開


これに関しては公式のキャラ&キャスト紹介が全てです。

 OPでシルエットになってた虚淵玄謹製の柔和な顔で腹に一物抱えてそう男(CV岡本信彦)と虚淵玄謹製の中国武侠(CV平川大輔)やぞ!!!!!面白くならないわけがないだろうが!!!!

 今ストーリーページを確認したら雷蔵顎クイされてたしもう絶対面白い。しっちゃかめっちゃかにされる……俺は詳しいんだ……。


 あとこれは流石に凍京NECROSMプレイヤーとして言っても赦されると思うんですけど、
 劉さんを初めて見たとき「凍京からいらっしゃいました!?!?!」って言葉が口から出ました。許して欲しい。

漢字違いでツヤツヤ黒髪ぱっつんストレートの中国籍なので許して欲しい。

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寺西操
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