アニメ感想:「REVENGER」7話 ”Rosy Pitfall”

  長崎に大量の阿片が隠されているという重大事実が明らかになった後半戦、さていかに。

詳細:アバンタイトル~OP

  絵師として紙に向き合う雷蔵。
 集中状態に入る視界に差した白い影……ああ~~~~そろそろまたおいでになると思ってました……ゆい殿……義父上……。
 記憶が悪い方向に醸成されるんだよな~~~罪悪感というやつで……。
 すくなくともゆい殿はそんな死に顔をしてはいなかったでしょうに……。
 「薩摩藩の侍」として斬ってきたであろう無数の屍が転がる中、苦悶の表情で佇むゆいと義父。

 手に命令を送る脳が自家中毒に陥っているのだから、そんな状態で絵が描けるわけがないのです。

「松峰を斬り、全て終わったと……」
「なんと愚かなのだ、俺は……」

 松峰から奪い、自害に使うはずだった短刀……。
 いや~~~~~これをいつか松峰とグルだった首魁に「お返し」してやって欲しいものですが……。真実にはまだ遠いですね……。

 だからこのタイミングで幽烟が隠してる恨噛み小判を出すなよ……マジで何なんだよ……。風船にイヤな予感の空気をちょっとずつ送るのやめろ……!!

OP明け~アイキャッチ

 町屋の一階ではなちゃんの弟たちと花札やってる惣二、いいお兄ちゃんなので困る。いや困らない……困る……。
 花札がご禁制というのはなんでじゃろ、という事で調べたらそもそも「かるた」=カードゲームであり、花札もトランプの偽装から派生したとWikipediaに書いてありました。はえ~そもそもが比較的最近の代物だったのか……。
 そりゃはなちゃんも怒る。しかし「男の嗜みよ」と返される、男だらけの場所で分が悪いですねぇ~父上も黙認状態だし。

惣二みたいなダメな大人になっても知らないんだから」

 との言葉に大笑いする父上、「このガキ……」という顔をする惣二。こういうやりとりしょっちゅうなんだろうな……と思わされる一コマですね。

 ふと、惣二に「雷蔵さんと喧嘩でもした?」と聞いてくるはなちゃん。
「んなもんしょっちゅうだろ」

 いや……喧嘩らしい喧嘩ではないよね……どっちかというと惣二が振り回されてるよね……。
 「最近ぜんぜん降りてこないし……」前ははなちゃんをモデルにするぐらいだったもんね、あれ嬉しかったんだろうな……。
 「ちょっと忙しいらしい、そっとしといてやれ」と惣二に言われては、はなちゃんも引くしかありません。

 険しい顔で「バカ野郎が」との言葉は、はなちゃんにまで心配させていることなのか、他人にまで感づかせてしまっているプロ意識の低さに対してなのか……まあ両方なんでしょうし、声音は呆れなんですよね……。

 夜の石段を昇る袈裟姿の人々。
 鈴の音を合図に出てきたのは尼僧、尼寺か……尼寺?渡したお金の袋もやけに重そうだったけど……。

 招かれてやってきた住職、なんか違和感あるな……。
 僧たちの中で一番若い男が「夜更けに、なぜ尼寺になど」ともっともな疑問を口にし、先達が「何、これも修行よ」と平然と返す中、住職が声をかけまし……。

 おい!!!汚い殺生院キアラ(45歳)みたいな人が出てきたが!?!?!
 胸を仕舞え!!!そんなナリで「今宵も存分に回向なさいませ」とか言われてもロクなもんじゃないのはバレバレなんだよ!!!!

 これ……もしかすると雲井るいで読んだようなことになるかもしれねえ……。

 住職の潤んだ目と視線がかち合い思わず目をそらす若いの、女性……じゃない男性だ!陰間だーッ!!!

 女のナリでも男だから女犯(にょぼん)の禁は破らずに済んで、欲の発散も出来ると……悟りが遠い身にはまあ必要な事ではあるし、男主導の社会だからこそ男色が存在していたというのは世界のいろんな場所であった事ですからね……。ここまでは必要悪かなって思えるけど……。
 「これなるは汚れた女性(にょしょう)に非ず」、令和の世だと「は??」ってなるやもですが、「血液」そのものが穢れであり、それを月に一度7日間垂れ流す女はいわんや何をや、という考えは当然のように浸透していた訳でして……。

(女性や世間がどのように「生理」を認知して対処してきたか、ということがオタク的な視点で書かれているぞ!)

 そもそも仏陀を誘惑したマーラが語源のブツが男には備わっている訳で、それに働きかける「女」は存在そのものが悟りから遠ざけるもの、という扱いを受けていたのですね……言いたいことはあくまで作品世界の仏教+江戸時代の倫理観だからね!という事です。

歓喜天の御業にて、お聖人様方を悟りに誘う者たちにございます。存分にご法悦なさいませ」

 賢者モードを悟りと呼ぶのは……うーんマジで「ものは言いよう……」って感じだ……。 ついて行けてない1名こと清空さん、初めてだからお前が最初に選ぶといいよ~と言われ、陰間の中で不安げな目をしたひとりと目が合います。

「この匂い、まさか……阿片?」

 あ~~~~~~~あ!!!!んな事だろうと思ったわ!!!!!(大の字)

 悟り(賢者モード)に至る声が遠くで響く中、清空は座敷の中で祈りの姿勢を取り「拙僧はそんな事望まぬ」と陰間に告げます。
 脱ぎ下ろした襦袢の下にあるのは男性の足、男性なんだよなぁ……という所に妙な感じ入り方をしてしまった、多分画の力だと思います。筋肉の浮きがすごく美しい足だったから……。

「残酷な事を。この市之条、卑しき陰間といえども、恥がございます」
「その所作、物言い。さぞや名のある家の出であろうに。なぜ阿片など」
「!」

 精進すれば鼻も効くというもの、という清空さんですが、仏教の精進料理では「ネギ属の匂いの強い植物を避ける」ことを良しとすることが多いためなんでしょうね。

 とかなんとか言ってるうちに寝技に持ち込まれる清空さん。口を吸われ「誘惑には乗らん」と言った感じで顔を背けるも、耳から入ってきた市之条の言葉は意外なものでした。

「あの女狐どもが耳を立てております。聞かれれば、私と同じ道を辿りますぞ」
「どういう事だ……!」
「声が大きゅうございます」

 わ~~~~~清空さんの市之条を抱きしめそうになってとどまる手の仕草がこう……この……。そして本当に聞き耳を立てていた女狐こと尼である。
 くぐもった声に満足したのかその場を離れて向かったのは阿片の精製を行う伽藍。
 いや……その仏像は……歓喜天……?いや確かに歓喜天は男女が抱き合った仏像が多いらしいんだけどどっちかというとベルセルク3巻で領主の嫁がバフォメット像に絡みついていたページを思い出すんだけど……????
 マジで汚い殺生院キアラじゃねーか……。

 話題は「新入りの清空が無事市之条の手によって法悦を知ったよウフフ♡」なんですけど、

「あのような増上慢ほど、一度堕ちればたやすいもの
「これこれ、堕ちるとは何事か」
「左様ぞ。我らは迷いたる者どもを、真なる法悦へ導いたまで」

「しかしあの若造、袈裟を着せておくのは勿体のうございますなあ」
「これは妙案じゃ。髪を結わせ、綺麗な着物を着せればさぞ」

 もう言いたい放題だよ……。
 でもなんか、これも一つの「リベンジ」だよな……って気もしてくるんですよね。存在が「穢れ」とされている「女」が、「男」を従え、虜にさせて落とすために借りた力が阿片だった、という話で……借りた力が違うだけで、「私怨」(OP歌詞)なのには何一つ変わりがない……。

 それはさておき、こんなすがすがしいまでの絵に描いた(文字通り)朝チュン、ちょっと久しぶりに見たかもしれない。

「長崎行きの大任を託されたそなたが、今や阿片の毒に侵され、男に情をひさぐ身とは……なんとむごい」

 市之条、元は武家だったというもんな……。
 江戸の家族は自分を死んだと思っている、と市之条。清空の家族はもはやおらずか……。
 弟が家督を立派に継ぐであろう事だけが救い、と語る市之条に「そなたはどうなる」と清空。

「せめて、小判に恨みを刻み……」

 ええ~~~~尼寺にまで恨噛み小判知られてるの……?と思ったけど他の坊主が話の種にしそうではあるな……。
「罪に罪を重ねるでない!」と止める清空。仏門に入れば何人であっても御仏は受け入れてくださると。
 しかし今更どうやって……そもそもここを抜け出すにはどうすればよいのか……と悲嘆に暮れる市之条に、「何か手があるはずだ……」と寄り添う清空、これは落ちる。恋に。

 手立てを見つける決意を新たに、寺を去る清空(と他の僧侶たち)。
 その頃陰間たちは阿片に耽っており……。おお、もう……。

 これは史実の話ですが、中国で阿片の中毒症状が問題になったのって「煙にして吸う」ことで舌下や肺からの吸収率が高すぎるために爆発的な勢いで中毒者が増えたことによるものなんですよね……。欧州ではアヘンチンキなどで「飲んで胃腸から吸収する」のが一般だったために、そこまでではなかったらしいんですよ……(背後にロマン派の気配を感じながら)(結局程度問題だから……)。

 陰間たち、みんな炙って吸ってる……もうおしまいだあ……。
 当然そこには市之条もおり、阿片臭の充満する部屋の中、しかし誘惑に必死で抗う……。
 そこに入ってきた住職こと慧玉、「歓喜丸(歓喜天も良い迷惑だよ……)がお気に召さぬか?」と……感づかれている……。このカットで戸が開いているの、慧玉が阿片に酔わないための換気なのだろうとは思いますが、「抜け出るための路に立ち塞がる障害」も暗示している感じがしますね……。

 必死に取りつくろう市之条に肩を寄せる慧玉。

「おしろいを差し紅を差しても、男というのは隠し事のできぬ生き物ぞ」

 男の尊厳を丁寧に砕いといて「男」を持ち出すのコイツさあ……。
 ただでさえ阿片依存で精神がぐらついている所に「隠し事は無駄」「清空がお前に入れ込んでいるのは、流行病で失った弟に似ているからでお前自身に惚れてるわけじゃない」ってほんとコイツ……。
 清空が本当に市之条に弟を見いだしているならそもそも起つかよ!!!!(いや最中のこともわからんわけだけど……)

 うわ~~~~~~!!!!!阿片を煙で吸うのはヤベーんすよと言った直後に静脈注入きちゃったよおおお~~~~~~!!!!!!
 しかも人体には即死級の毒を持つコブラを模してるの、マジで悪趣味。小高和宏かと思った。何もかもわかっててやってる……今回本当に「教養を持った大人向け」という意味の「深夜アニメ」だなぁ……。ニトロプラス黎明期を見ているかのようだ……。

 一方こちらは唐人たちの船、劉が本国に手紙をしたためている模様。
 字幕や補助がないってことは、とりあえず上の事だけ判ってりゃいいっぽいのかな……。 そんな中、部下が現れて尼寺の存在を嗅ぎつけた模様。阿片がらみの噂を追って、って所だろうな……。

 再度寺を訪れた僧達、もうBGMがダメだよお……。
 清空の待つ部屋の引き戸が開けられる、未だ手立てを見つけられずすまないと詫びるも反応はなし。
 振り返った先の市之条は目もうつろ……阿片臭のキツさで気づいた清空、手際よく清空の衣を脱がせて媚びる市之条……。
 あまりのむごい始末に苦悶の涙を流す清空は「小判に恨みを刻む」ことを受け入れ……この先のシーンは本当に言葉も出ない。

 もう「これ」しか残ってない……。他はすべて阿片に壊されてしまったから……。

 夕暮れ、すすり泣きの響くむらをふらふらと歩く清空。僧の姿を認め、「お経をあげてやってくださいませんか」「まだ三つだってのに」と頼まれます。

「いや……私は御仏の道に背いた」

 清空の応えに思わず後じさるおじいちゃん……。

「私はもう……僧ではないのだ……」


アイキャッチ明け~ED

 そうして利便事屋の手元にまで運ばれた恨噛み小判
 徹破先生の言から察するに、「荒れ寺を立て直す」という言い分であの寺を確保していたのでしょう。

 名刹(有名な寺)の僧に名のある武家、大手を振って花街通いを出来ない人たちに陰間のみならず阿片までも融通している、と幽烟。

 武家は噂を立てられるとよくないからってことかな。会員制の高級ソープを考えれば江戸時代に存在していてもおかしくないんですけど、阿片で引きずり込んで陰間を増やすのはただのヤクザなんだよ……。歓喜天信仰自体は否定しませんけど阿片で壊れて教えを理解できない信徒増やしたところで何になるんだよ……。

 そんで阿片漬けになった客は、顔次第じゃ陰間の仲間入り。ネギどころか鍋まで背負わされてんじゃねえかと惣二。

 「威張ってる人たちって、なんでそうすぐに騙されちゃうのかな~」と鳰。やめてさしあげろ……そこで雷蔵にピントを合わせるのはやめろ……。

 奉行所の坂田(3話)、商人の安曇屋(4話)、お次は尼僧たち。どれだけ蔓延しているのだと零す雷蔵に、むしろその二人が阿片の流れを調整していたのかもしれないね、と徹破先生。
 
恨みと損得でバランサーを破壊した結果、多くの苦しみも招いた……ってコト!?

モノが溢れりゃ、値崩れ起こすのは米も阿片も代わりねぇからな」としみじみした声でコメントする惣二。ここら辺は実感としてあるんだろうね……。

「二人が死んで、箍が緩んだ」
「あるいは、堰が崩れるほどの阿片を誰かが見つけてしまったのかもしれません」
「唐人街が、松峰の(阿片を)!?」

 雷蔵!!!ステイ!!!まだ仮定の話しかしてないでしょ!!!!!

「まだなんとも言えない。僕たちに今できるのは、リベンジをこなすことだけさ」

 徹破先生、レールを切り替えてくれてありがとう……。
 やることは決まったので行きますね、とばかりにからくりのスイッチ(そこなんだ……)を押して去って行く雷蔵に、「ちったあ愛想よくなったと思ったのによ」と零す惣二。

 あっ、もう幽烟にさえ「惣二がブレーキ役」と思われてる……。

「いったん駆けだした奴の前に出てみろ、そのまま真っ二つだ」
「だからこそ、走り出す前に止めて欲しいのですよ」

 そういう所が猪武者だし、変わってないし、そう簡単には変われないという証左なんだなあ……。「無茶言ってくれるぜ」とため息交じりの惣二を横目にあやとりしてる鳰くんちゃんカワイイね!!!!「あれ?」がどうにかなりそうな勢いでかわいいな……。

 お仕事前の仕込みタイムである。惣二の花札、そうなってるんだ……。研いだ鉄板を仕込んであの切れ味を出してると……。
 自分の隣で刀を自分で分解して自分で研ぐ雷蔵に「研ぎ屋に任せりゃいいだろうに」と惣二。

「まともな職人ならば、人を斬った刀はすぐそれと判る」

 数年前、薬師寺で個人蔵の刀を展示していた時に、刀身に蜘蛛の巣のような錆が残っている同田貫正国を見たことがあります。
 持ち主が調べに出したところヘモグロビン(血液中に存在する鉄分)が検出されたそうで、つまり「斬った」という証明としてあえて残したのでは、という添え書きがありました。
 そもそも鉄ってすぐ酸素と反応するから、「人を斬った刀」が当たり前に存在していた時代なら研ぎ職人だって「見ればわかる」よねぇ……。

足が着かねぇ伝手ぐらい、碓氷屋の旦那に頼めばいくらでも」
「己すら信じられぬ俺が、誰かに刀を託すなど」

 ほら~~~~~揺り戻し入っちゃってるじゃ~~~~~ん(大の字)
 引越祝いの塗り椀を売らなかったのもそこら辺の心理ですよね……。惣二も睨め付けるような目をしておる……。それはそう、隣で寝起きして同じ釜の飯食ってる人間にそれ言われちゃあ……。

 そのまま流れるようにリベンジのお時間よ~~~~~~

 鳰ちゃんの吊り上げ、1話ぶりだな……。目だけが怪しく光る演出最高ですう~~!!
 その様に逃げ出した尼の一人が「なんだあのガキは!?物の怪か!?」って言ってるけど君らも大概だかんね……。
 あっワイヤートラップだ!!蜘蛛の巣に捉えられたがごとしの尼、近づいてくる鳰にパニックになって「来るな化け物!!寺で殺生なんて、地獄に落ちたいか!!」と叫ぶも、当然鳰には響きません。平然とあやとりをしながら答えます。

「地獄?」
「そんなのがあるなら、きっとこの世の事だと思うな」

 ここであやとりの手元が「橋」になってるの、演出が上手すぎない……???上手く言えないんですけど、「場所と場所をつなぐもの」を絵で見せた上で、すぐにそれを崩して命を奪うという流れ……あと「蜘蛛の巣めいた罠に捉えられる」という所も芥川龍之介の「蜘蛛の糸」を思い出すし……「お前はこの地獄から出られない」「お前に救いはない」を絵で見せているというか……。4話で飛来する矢を流れ星のように演出して殺害した上で、命を奪うことに加担している鳰の背後で本物の流れ星が見えるのと似たものを感じる。
 アニメだなぁ……(しみじみ)。

 まさか金箔構えた幽烟のユパ様ジャンプ(ナウシカ)が見られると思ってなくて正直初見で椅子から転がり落ちるかと思いました。
 いやその前に暗闇からヌルッと出てくるのも面白すぎるんだわ……何なんだよ今週の幽烟……。

 暗闇の中の歓喜天、目が緑色に塗られている……シェイクスピア(嫉妬の怪物)か?と思ったけど、どちらかというと玉虫色っぽいのかな……。
 キャーッマリア様ーッ!!!お久しぶりですう!!!(拍手)

 一人無事に逃げおおせた住職こと慧玉、剃髪してないってことはマジで尼ですらないんじゃねーか……。この期に及んで利便事屋を堕とすこと考えてるし……。
 逃げながら追う相手の注意をそらす事も忘れない、「余程恨みを買ってきたらしい」と徹破先生。
 
「ならば俺が行く」雷蔵くん、そのクッソ頑丈そうなロープ何……???
 徹破先生、「相変わらず無茶を言う」とため息をつきながらも
「忘れてはいけないよ。これはリベンジだ」としっかり釘を刺してくるからデキた人だよ本当に……。

 尼を狙った矢が外れたかと思えばロープウェイで一気に迫ってくるとは……。雷蔵の体重+勢いを支えるってのは徹破先生にしかできない芸当ですなぁ……。

「リベンジ、仕る」

 2話ぶりだーッ!!!
 
 命乞いをしてくる慧玉、阿片の出所を知りたい雷蔵は「洗いざらい話せ」と慧玉に近寄り……からの口吸いで阿片静注未遂はマジで油断もスキもねえよこの女……。
 所で……その……2話の回想を踏まえると間違いなく童貞の雷蔵くんが不憫過ぎるので……惣二……雷蔵くんのこと、花街につれてってやってくれんか……???

 手玉に取られた雷蔵、逃げる慧玉を追うその先には……劉……はい……。

 いや二人で火花散らしとる場合かーッ!!!!
「やはり……(松峰の阿片は)貴様だったか」シンクロしてる場合じゃねえんだわ……これ一周回って後々その場だけの共闘展開すらあるかもしれんとすら思うほど綺麗に勘違いしちゃってもう……。いや劉の場合は(利便事屋とは)の可能性あるか……。

 「我が縮地には遠く及ばぬ」と示現流を侮っている劉にスパイク猿叫で一矢報いつつも、やはり「流れるような攻撃」を得意とする劉には及ばない雷蔵。
 いや……正直刀を白羽取りされた時「折られるか!?」って思った……この回で一番ハラハラした……。主に気功がハチャメチャな事をしているサンダーボルトファンタジーのせいで……。

 付け焼き刃の素手目潰しもあっさり読まれ、「思い切りの良さだけは褒めてやろう」と言われる始末。
 そんなこんなやってるうちに慧玉には逃げられてしまいます。劉も元は手がかりを求めて寺に来たわけで、顔をしかめつつも慧玉を見送らざるを得ませんでした。

「また会いましょうぞ、初な侍殿」
「そうはいかねぇんだよ!」

 飛来した花札に脳天を貫かれ、絶命する慧玉。
 茂みから姿を見せた惣二で2対1となるも動じない劉、しかし飛来した重い矢も入れた3対1で分が悪いと踏んで、即座に平然と壁を走って去って行く劉。
 「ほんとに人間か?」と思わず呟く惣二なのでした……。

 夜が明けて山のスラム。身よりもなく、飢えたものの世話をする背中。阿片で月を映せたはずの水瓶に穴を開けられてしまった市之条の涎を拭いてやるのは、いくらか髪も伸びた顔で慈しみの表情を浮かべる清空でした。
 「衆生を救う」っていうのはこういう事だよな……ってしみじみ思っちゃったな……そもそも清空がどの宗派にいたのかもわかんないけどさ……。

 さて所変わって奉行所。

「御奉行様の命とあらば、この漁澤、命を賭してでも」

 い、漁澤が奉行所の服着てるーッ!!!!髪型もあって似合ってないねえ……。
 え゛ッ宍戸もいるの?やだぁ……。

「御奉行様は、恨噛み小判なるものをご存知でしょうか?」

 ひえッ……。
 御奉行様は「町人どものまじない」だと思っているご様子。
 「下らぬ噂です。金で殺しを引き請けた狼藉者の所業に尾ひれがついたのでは」と漁澤。

 ハアッハアッ……見てるこっちが心臓に悪いよお……。

「ですが、坂田様の仇となれば、捨て置くわけにもいきませんでしょう?」

 !?

「坂田は、先日流行病にて……」
「こちら、縁ある筋に持ち込まれたものでございますが……」

 あ、あーーーーーーーーッ!??!?!??!坂田の足袋だ……足元ブーツだし洒落た足袋履いてるなと思っていたら、伏線だったのか……!!

「元は当会から坂田様への献上品なのでございます」

 確かに長崎会所と懇ろになっていると幽烟との会話で言ってたもんな……。
 バッチリ血痕、そして惣二の花札によって開いた穴が残っている……。

「血まみれではないか!坂田の物に相違ないか!?」
「見覚えがある気もしますが……」

 だよね~~~漁澤はしらばっくれるしかない……。
 坂田様の仕事ぶりは有名でしたが、それ故逆恨みで殺されたという線もあるかと、という宍戸の言で「至急調べよ」と御奉行様に命ぜられる漁澤なのであった。
 ちゅ、中間管理職~~~~~~。

 え、ED流してる暇もない……緊張感に溢れたやりとりを要約すると

 「元方目付様に言われちゃ無碍にもできないが、薩摩藩士殺しの件で大忙しなので恨噛み小判にはいつ手を出せたものか」と漁澤。
 「何事にも縁はある、坂田の件を追ううちにそちらの手がかりをつかめたりもするのでは?」と宍戸。こ、こいつ全部知ってやがる~~~~~~。

 「そいつは面白えことを仰る」
 漁澤の壁……いや石垣だから垣ドンか……?

 坂田が阿片を流していた事について礼もなしか、長崎が薬漬けにされたらそっちも大損でしょ?と詰め寄る漁澤に、軽い調子で「どうでしょうねえ。飢饉が来れば米を売り、病が流行れば薬を売るのが、商人でございます。さて、阿片となればと返す宍戸……君本当にタチ悪いね……。

漁澤様の御栄達も、阿片取り締まりの功と聞いております。阿片が一掃されてしまえば、難儀なさるのでは?

 おま……いつから長崎はブラジルになった……???
 あといちいち自分のテリトリーに引き込んで茶の席をもうけようとするのやめろ、ヨモツヘグイに見えてくるから……。

 余裕綽々の宍戸を羽交い締めにして竹光を当てる漁澤。

「馴染みの女が、阿片に手ェ出してな。綺麗な顔が骸骨みてえだった」

 えっ……遊郭で侍らしていたあの二人が……???そんな……。

「坂田をけしかけるぐれえなら笑って許してやったがよ。これ以上は冗談じゃ済まんぜ
「これはこれはなかなかの業物で」
「おう。先祖伝来の清光は遊郭に取られちまってな」

 漁澤さん、血を見ると倒れるタチなの……?それはガチなのか冗談なのかどっちだよ……。

「お坊ちゃん。首だけありゃ、小判は噛めるんですぜ」

 と宍戸へささやいたのを最後に、いつもの調子に戻る漁澤。

「ええ。肝に銘じておきます」
「となれば、組頭様のために、私もひとつ小判を噛んでみましょうか」
「まさか坂田の仇とでも?」

 ここで唐人街に話が流れるも、「そいつはもう手を打ってあります」と漁澤。

「これは心強い。しかし、験担ぎということもあるでしょう?」
「なら、小判でもスルメでも、好きに噛まれる事ですな」

 そう言い残して去る漁澤の背に深々と礼をする宍戸、頭を上げて一言。

「……それでは、そのように」

 ここの声が擦れた「素」なんだろうなぁ……って感じで……俺の好きな岡本信彦で……でも宍戸が出てくると「ヒッ!」としかならなくて……。

 錫杖を鳴らしながら山道を歩く修験者のカットで〆!!!!

今後の展開

 次回のサブタイは「Two of a Trade Never Agree」、二者間で同意の取れない交渉……これいろんな翻訳に突っ込んだらweblioは「商売敵は気の合わぬもの」だしDeeplは「二兎を追う者は一兎をも得ず」だし何も判らねえ、自分のたどたどしい英語で「交渉決裂」かなって思います!!!ヒィン…………。
 あと5話で終わる……5話で終わるのか……?ほんとに……???
 

 

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