見出し画像

DALL-Eは2色丼の夢を見るか? ChatGPT に料理をさせる3つの方法

◆ Podcastと可処分時間

そぼろげ!2色丼ラジオという名前のPodcastをやっている。ライターとものづくり工房の管理人を掛け持つ自分の暮らしを2色丼になぞらえ、毎週2つのトピックについて語る番組だ。

毎週コンスタントに出していくつもりが、20回を越えて少しペースが乱れがちになっている。その原因の一つは、「毎回サムネイル用に2色丼を作って食べる」という謎のマイルールにあるかもしれない。

手書きの文字を添えて毎回のサムネにしている

誰にも頼まれていないのに、毎回の収録前にまいばすけっとでひき肉と卵を買い、フライパンで調理しながらサトウのご飯を温め、時にはランチョンマットを変えて写真を撮る。それなりに調理は安定してきたが、収録と同じくらいの時間をかける意味がわからなくなってきた。

クソスマブラのキャラ選択画面?

人間が変わる方法の一つは、時間配分を変えることだと大前研一も言っている。これからも安定して番組を配信するため、AIに「サムネ用の料理」という仕事を奪わせ、可処分時間を増やそうじゃないか。


◆ 秒速クッキング with ChatGPT 4

猫も杓子もChatGPTな世の中である。誕生から一周年を迎え、画像生成もできるようになったというから、さっそく2色丼の画像を生成してもらおう。「炒り卵と鶏のそぼろが白いご飯に乗った丼飯」と…!

あー、OKOK。2色丼らしい盛り付けを指示しなかったこっちが悪かった。頼んでもいない卵黄や小鉢の群れには目を瞑るけど、もうちょい理想に近づけてほしいんだ。

そぼろの上に乗っている丸い卵白や卵黄は不要ですから、取り除いてもらえますか?また、奥にある味噌汁や小鉢なども不要です。

炒り卵は!!??!?!?


なぜかセーフティエリアが狭い目玉焼きだけが残ってしまった。卵を正しく調理する工程が難しそうだから、いったん鶏そぼろだけで丼を作ってもらおう。

鶏のそぼろを、ご飯の上に半円状に配置できますか?

うーむ、そぼろだけにはなったが、半円状という意味が伝わってないようだ。ChatGPTくんは数学的に物事を理解するはずだから、座標などわかりやすい指標を示してあげるといいのかな。

画像の中心から左側にあるそぼろだけをどかしてください。

爆笑してしまった。

すごいよこれ。人類史上、こんな綺麗にそぼろで四半円を描いた人はいないんじゃないか。アルトマン丼としてOpenAIの社食で売ってほしいくらいの出来栄えだ。

とはいえ本来の目的を遂行するために、「ご飯の左下だけにそぼろがあるように見えるから、それを左上にも敷き詰めてほしい」「この右側に黄色い粒状の卵を添えてほしいんだ。日本語では炒り卵、英語ではscramble egg ともいうやつだね。」など試行錯誤を続けるが…

帳尻が合わねぇ

どうしても盛り付けのバランスが悪かったり、白米がチラ見えしてしまったり。何度不要と伝えても復活する不死鳥のような卵黄などに苛まれ、ついぞ満足いく出来の2色丼ショットは生成できなかった。これなら普通に料理していた方が早かったかもしれない。


◆ Wikipediaからレシピをぶち込む

いやしかし、結論を出すのは早計だ。2色丼という料理がAIには難しかった可能性がある。もう少しポピュラーなメニュー、たとえば筑前煮を作ってもらどうだろう。

日本の伝統的な料理である、筑前煮の画像を作ってください。画像の中には大きなお皿と、それに盛り付けられた筑前煮だけが含まれていればOKです。

僕の知っている筑前煮よりも、だいぶ豪勢なメニューが生まれてしまった。もう少し具体的な指示が必要だと思い、Wikipediaから筑前煮のレシピを引用して貼り付けてみる。

うーむ。僕が思う筑前煮とはだいぶ違っているな。筑前煮の作り方は、だし汁、シイタケの戻し汁、酒、醤油、みりん、砂糖を混ぜて鍋で煮立たせたところに、骨付き鶏肉を一口大に切ったものを入れてひと煮立ちさせる。その後、干し椎茸を戻したもの、コンニャク、アクを抜いたゴボウ、レンコン、ニンジン、ダイコン、茹で竹の子を一口大に切ったものなどを、固い野菜から順に入れ、全体が色づいてからサトイモを加えて野菜が柔らかくなるまで煮て汁気を飛ばして出来上がりとなる。この手順に従って作ったメニューを描いてみてください。

テメッ…言い訳すんな!!!

いや取り乱ちゃってゴメンだけどさ!「言われたとおりの食材を入れました、名称はこの通りです」じゃあないんだよ。よくみると人参の先の方が丸ごと入っているし、全体的に大雑把な仕上がりになってしまった。


◆ ステップバイステップで教えよう

これまでの実験で分かったのは、料理の名称や過程を一度に教えても、すこし的外れなものが生まれてしまうということ。結果だけを求めるのではなく、人間が学ぶのと同じように、一歩ずつ進めるのがいいのかもしれない。アバッキオの同僚もそんなことを言っていた。

そこで、クラシルの「基本の肉じゃが」のレシピをもとに、工程ごとに画像を生成してもらうことにした。以下、画像のキャプションがそれぞれの命令文である。

じゃがいもと人参を乱切りにします。
玉ねぎをくし切りにして、細切れの豚肉を一口大にしてください。
軽く油を熱して、お肉を炒めます。
これまでの工程で切った野菜も加えて炒め合わせ、全体に油がまわったら砂糖とお水を注ぎ入れます。
酒、砂糖、みりん、顆粒和風だしの合わせ調味料を加えて落としぶたをして、弱火で20~30分煮込みます。
じゃがいもとにんじんに箸がスッと通れば完成です。

突如生まれは消えるブロッコリーや玉ねぎ、無為転変で乱切りから復活を遂げた人参などが気になるが、前の画像からある程度は結果が引き継がれているようだ。それじゃあ、最後に「それをお皿に盛り付けよう」で完成としましょうかね。

・・・!?

ChatGPTと肉じゃがを作ったら「和風ポークカントリースチュー」ができました。それじゃあ、またね。

よかったらPodcastも聞いてください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?