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春遠からじ

桜に彩られたポスターをあちこちで見かけるようになった。

雪国の冬も、いよいよ終わりに近づいているらしい。

雪のある暮らしとはなんぞや

現在の居住地は、いわゆる豪雪地帯に指定されている地域である。

雪と縁遠すぎる人生を送ってきたので、何を準備してよいものか見当もつかず、秋ごろからリサーチしまくっていた。

風花(かざはな)で大はしゃぎするみかんとお茶の国の人間にとって、雪とは『遠足で観に行くもの』だ。

雪見遠足は珍しいらしい

他県の人には意味が分からないと言われたが、実際に幼稚園には「雪見遠足」なる行事があったのである。

そして、私の雪体験と言えば、ほぼそれに尽きる。

寒いのが苦手なのでウィンタースポーツに食指が動かなかったし、その後暮らした東京にもカリフォルニアにもほぼ雪は降らない。

東京は、年に1度くらいほんのり積雪することがあるけど、送迎のママチャリが1~2日使えなくて不便だなぁと思うくらいで済んでしまう。

ビビりの決意

加えて、雪=ケガのイメージが強い。

兄姉がスキーから骨折して帰ってきた記憶。
そして、高校の頃、珍しく雪が降った日の朝、自転車で転倒した学生で保健室に行列ができていた記憶。(←たまたま年に1度の寒稽古の日、つまり正しく大寒の日で、始発で登校していて降雪前だったため難を逃れた)

ビビりな私が「雪には関わらずに生きよう。」と決意するには十分だった。なぜならビビりだから。

からの、雪国暮らし

そんな人間が、強制的に雪国暮らしである。

リサーチに次ぐリサーチ

豪雪と言われても、正直よくわからない。
結局どんな感じなん?とブログやSNSを探してみても、あまりヒットしない。当たり前すぎて発信する気がないのだろうな…

あまりの情報のなさに途方に暮れ、結局、現地在住であるSNSで10年来の友人を質問攻めにさせてもらった。

あとは、通う予定の小学校のPTA便り冬号を数年分熟読し、生徒の服装をチェックした。だいぶ不審者感があるのは否めない。

とはいえ降雪には波があるそうで

「雪は降る、確実に降る。とはいえ年によって全然違う。」
「年末に一度降って積もるけど、年明けには溶ける。」
「本番は2月かな。ひどいと数日休校。」

こちらに来てからも含めて、聞いた人が口を揃えて言っていたセリフである。

結果、この冬はどうだったかと言うと、
「まぁ、普通。」
だったそうだ。

「普通」の雪国

そんな「普通」の冬を振り返ってみる。

年末年始

11月の終わり頃から、スーパーやドラッグストアの路面店の駐車場にはゴツい除雪車が待機し始めた。
道路の融雪装置はピューピュー水を出して試運転を始め、スーパーの入り口付近にはスコップやママさんダンプが並ぶ。

なるほどこれが冬支度かと新鮮に思った。

かくして年末、確かに雪は降る。

12月20日頃だったか、数日降ったり止んだりを繰り返したけど、結局積雪は15センチ程度。
クリスマス頃には車道がしっかり露出している状態だった。

歩道に積まれ山となった雪が残り続けても、数日もすれば見慣れた景色となる。慣れって怖い。

年明け、雪を楽しみに身内が遊びに来たけれど、散々脅してスノーブーツまで買わせたのにこの状態だったので、お詫びに残雪のある地域にお連れした。

1月終わり、本領発揮

そんな道端の雪もだいぶ減った1月の終わり、最強寒波がやってきた。

昼頃降り出した雪は、子どもたちを気遣うように下校の頃だけ一時的に弱まり、夕方吹雪になった。

なんか、外が、白い。

あちこちに積もってて白いんじゃなくて、細かい雪が渦を巻いていて空気が白い。

ホワイトアウトってこれか!と思った。

年末もその後も、大粒の雪がハラハラと降り積もり、気づいたらめっちゃ積もってる…!ということが多かったので、これはレアケースらしい。

翌朝は早起きして雪かきをした。

その日がMAXと聞いていたので油断していたら、翌朝起きてびっくり、むしろ前日より積もっていた。

ここから1週間くらいは、ずっと降っていたと思う。
結局40センチくらいまで積もったんじゃなかろうか。

ただでさえ運転が苦手な私が雪道を安全に運転できるとは思えず、習い事も学童も休んでもらった。

おかげで、数日は雪かき以外で家を出ることはなかった。

こんな時でも子どもは毎日学校があって大変&偉いな…と無責任に思った、フルリモートワークのダメ母である。

除雪ノウハウ

車社会なので、雪だろうが何だろうが車通勤の人はギリギリまで頑張るらしい。雪の時期は、除雪と渋滞を避けるために毎朝4時起きだよ、なんて話も聞いた。

一方で、どうにもならないからお店は遅く開いたり早く閉まったり、急に休みになったりしますよ、この時期はみんなそれで納得してくれますんで、といういい感じのゆるい話も聞いた。

とはいえさすが「普通」レベル、今年は大した混乱は見られなかったように思う。

雪の日の朝は

除雪が必要と言っても多くの家の駐車場には屋根があるので、実際は道路に出るまでを除雪すればOKという感じ。
(余談だが、歩道橋にも屋根が付いているのには驚いた。)

管理人のいない社宅&戸数のわりに駐車場が広い我が家がお隣さんと一緒に朝から雪かきをしていても、近所では誰もやってない、なんて日も多かった。

おかげさまで、倉庫に雪かきグッズは山とあったので、子どもも一緒にせっせと使わせていただいた。

敷地が広い個人宅も同様に大変そうではあったが、そういうおうちは自前の電動除雪機をお持ちだった。どっとはらい。

ちなみに、学校からは「通学路の除雪ご協力のお願い」が来た。
要約すると「ボランティアでお願いね」「通勤前でごめんだけど7時前がいいな」ということだった。

敷地内の除雪でいっぱいいっぱいだった我が家には無理だったのだが、やってくださった方には感謝の念に堪えない。

走り回る除雪車

道路は、除雪車が思いのほか脇道までガンガン走ってくれる。
我が家の前は立派な脇道なのだが、おそらくは踏切が近いのと少し道幅に余裕があって雪捨て場になっているせいで、早々に走れる状態にはなっていた。

そうはいっても、目的地までの道や周辺の除雪状況まではわからないので、やっぱり出かけないに越したことはない、と結論付けていたわけだけど。

この除雪車の存在はやはり大きくて、自治体の采配も大きく関係してくるらしい。

同じ県内でも当然雪深さには差があるわけだが、ダンナ曰く、うちよりもさらに山側の自治体の方が「うちの方がむしろ安心ですよ。除雪技術あるんで(ドヤァ)」と言ってたそうだ。

事実、そちらに行ったときは、街はまだ真っ白なのに道路だけはほぼ完璧に除雪されていて、雪国内雪国マウント勝者…!と思った。

実質、雪の日はどのくらいあったのか

で、結局どのくらい雪が降ったかというと、せいぜい2週間程度だったと思う。
積雪していた時期を加えて、約1ヶ月といったところだろうか。

これが、どうやら「普通」。

多いと見るか少ないと見るか。

ちなみに、娘たちの装備はこんな感じだった。

【雪の日の装備】
・防水手袋
・フード付きの防寒ジャケット
・撥水性のある長ズボン
・裏起毛の長ズボン
・スパイク付きスノーブーツ
・マフラー
(・ニット帽)
(・耳当て)
(・足ぼそ=撥水レッグウォーマー的な足カバー)
※()は、娘たちは嫌がって付けなかったけど使ってる子が多かった

スキーウェアでも買うべきかと思っていたけど、とりあえずと間に合わせで買ったワークマンのキッズジャケット&撥水ズボンで乗り切った。

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総じて、「雪国暮らし<初級編>」といったところかな。

天気とはやはり地形だ

そんなこちらだが、東京と比べて気温的にものすごく寒いとは思わない。
数字的に見ても2~3℃低い程度じゃないかな。

だから、やっぱり地理的・地形的な問題なのだなとしみじみ思っている。
日本海側で、山の手前だから降るんだなと。

天気予報や積雪情報を見るたびに、
「山スゲー」「山ありがとう」と小並感あふれる感想を述べていた、雪国初心者たちでありました。

(当然もう降らないだろうというつもりで書いたけど、大丈夫だよね…?)

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