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高級かき氷店での失態
先日職場の近くで、かなり美味しいかき氷を出す高級かき氷店を見つけた。
高級かき氷は大体1杯1000-2000円近い価格設定になっており、なおかつ並んでいたりする事が多いのであまり近づいた事が無かった。
しかし、ちょうど仕事が終わったタイミングで空いている時間とぶつかることが多くなったので、ここぞとばかりに通うようになったのだ。
手の込んだフルーツやソースがかけられてはいるが、主な成分は氷である。
贅沢品であるが故、コッソリと店に入り、少し背徳感を感じながら食べる事自体が、さらに美味しく感じさせている理由の一つなのかもしれない。
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私は高級かき氷の虜になり、何回か仕事の帰りに通うようになっていた。
しかし、高級かき氷を食べるのには様々な難関がある。
まず、どうやったらバランス良く崩さないで食べられるかという事である。
たっぷりと綺麗にフルーツやソースが盛り付けてあるのだが、崩す場所によっては崩壊の事故につながるため、緊張感を持って食べなければならない。
しかし絶対に崩してしまう。
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店内のエレガントな雰囲気の中で、机にこぼした氷やフルーツをどうすれば良いのか考え、一瞬あたりをキョロキョロと見回し誰も観ていなさそうなところで机から拾って食べている自分がいる。
その時点で段々と脇の辺りがじっとりとしてくる。
そして次の難関は氷の量である。
高級かき氷は大体量が多い。
初めはフワフワの氷がフルーツソースといっしょになってすぐに口の中で溶けてなくなるのだが、後半はその氷が段々と自重で固まってきて冷たいジャリジャリの氷と水とに分離したものになってくる。
基本的に量が多いため、味に飽きてきてなおかつ後半にジャリジャリの冷たい氷ゾーンに入ると、さっきまでうまいうまいと言っていた身体が突然氷を受け入れなくなってくるのだ。
これについては何回か通ううちに、食べるスピードを速めれば良いのだという事が分かった。
氷が自重で潰れる前に、溶ける前に、その速度に負けないように素早く食べれば良いのである。
ある日私はそう考えて、傍目からはある程度エレガントに見えるように、内心では氷の速度と闘いながら素早く食べていた。
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そして私は氷との戦いに勝った。
ジャリジャリの部分がほとんど残らない速度で最後まで美味しく食べる事ができたのだ。
そう思って安心してため息をついた途端、「ゴフッ」という特大のゲップを店内に響かせることになった。
隣の2人組のお姉さんたちがちょうど「美味しいね〜」「ね〜」という会話をし終わって静かになった瞬間に相槌を打つかのようなゲップをしてしまった。
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店内は静まり返っていた。
私は消えたいと思った。
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