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成長するアゴの話
私のアゴはそこそこ立派である。
遺伝によるものかもしれないが、自分の行動が原因で更にアゴが成長したのではないかと思われる出来事がいくつかある。
そんな私のアゴの、過去から現在までの成長記録を辿って行きたいと思う。
アゴに関する思い出の中で1番古いものは4歳頃に遡る。
この時の私の行動が、アゴの成長をスタートさせるきっかけとなったに違いないと考えている。
当時の私の身長は、家にある机の高さとアゴの高さがちょうど同じくらいだった。
その頃のマイブームは机にアゴを乗せて、前後にゴリゴリ動かすことだった。
骨の近くをマッサージすると気持ち良いように、机にアゴを乗せて動かすのが気持ち良かったのである。
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ある日見かねた家族に「クッキングパパになるよ」と言われ、私はアゴのゴリゴリをやめた。
しかし、既に手遅れであった。
私のアゴはその後だんだんと成長していくのだった。
時は過ぎて大学生になったある日、出かけた先に石の滑り台のようなものがあり、周りに誰もいなかったので下から駆け上がるという遊びをした事があった。
当時私は300円の運動靴を履いていて、その靴底はツルツルでグリップ力のかけらも無いものであった。
そんな靴で滑り台のようなものを駆け上がったために、1人足を滑らせアゴを強打した。
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あまりにも痛い時、自分がどのような状況になっているかはなかなか分からないものである。
きっとアゴから流血して大惨事になっているはずだろうと思い、泣きそうになりながら友人に「私のアゴどうなってる?」と聞いた。
すると、「うん、すごくしっかりしてる。」という答えが返ってきた。
石に強打したにも関わらず私のアゴは無事であったのだ。
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そしてここ1年で、アゴに更なる変化が起きた。
口の下にホクロが左右対称に2つできたのである。
逆さに見ると、まるで顔のようになっているのだ。
私が笑うとアゴは悲しみ、困っているとアゴは不敵な笑みを浮かべる。
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ついに人格が宿り始めたのである。
私は自分の感情と逆の表情になる天邪鬼なアゴを愛でることにした。
しかしこの間、アゴにもう一つホクロができてしまった。
このペースでホクロができていては、マスクを取るようになる頃には、もう何が何だか分からなくなるかもしれない。
それは悲しいので、目の部分以外のホクロはなんとか阻止したいと思っている。
かといってあまりに愛で過ぎて、アゴが本当に開眼したら怖いので、これからはほどほどの距離感でアゴの成長を見守っていこうと思う。
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