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避難行動要支援者はどう支援するのか

令和4年年3月定例会で最初の一般質問を行いました。
この記事では質問のやり取りをまとめたいと思います。

質問のテーマは以下です。

  • 避難行動要支援者事業の内容

  • 非常時の情報開示のハードルを下げる



浅野千紘です。
令和4年3月定例会に当たり、通告に基づいて質問をいたします。
「避難行動要支援者事業について」

近年、全国で大規模な災害が頻発しています。見附市は、平成16年7月に新潟・福島豪雨、10月には新潟県中越地震、その後も平成23年に豪雨災害がありました。平成16年の災害の後、田んぼダムや防災ファミリーサポート制度など、様々な災害対策を講じてきたことと思います。そして、平成25年に災害対策基本法の改正により避難行動要支援者名簿規定が創設され、令和3年に個別避難計画の作成が市町村の努力義務化となり、見附市は令和4年度で実施される流れになったことと思います。

  また、私自身、令和元年の台風19号豪雨災害のときに福島県伊達市に災害ボランティアへ参りました。85歳の高齢者女性の独り暮らしの方の家の片づけを手伝いましたが、ご本人は近所の方の声がけで避難されたそうです。その後、令和2年に同じく台風19号の被害を受けた福島県本宮市の災害の概況と復興について、若手市議会議員の東北ブロック研修会にて同市の市長から講演をいただきました。その中で、災害が起きてしまった場合の大きな課題の一つとして、避難しない、できないことであり、特に自力で避難が困難な避難行動要支援者についてであるという認識をお話しいただきました。そして、この避難行動要支援者の避難を確実にするためには各市町村で条例が必要になるのではないかとのことでした。つまり、避難行動要支援者は、本人からの名簿の公開に同意がない場合、災害発生時または災害が発生するおそれがある場合のみしか関係機関に公開することができず、平常時には名簿の確認をすることができません。この規定は災害対策基本法第49条の11にありますが、該当市町村の条例に特定の定めがある場合は、条例の規定に沿って平常時にも名簿情報を公開することもできるという解釈になっていると考えます。実際に消防庁が令和2年10月に公開している避難行動要支援者名簿の作成等に係る取組状況の調査結果によると、全国の市町村のうち、平常時の名簿情報の提供に際し条例に特別の定めがある団体は149団体ありました。

  以上のような状況を踏まえ、令和4年度の避難行動要支援者等支援事業について、作成される避難行動要支援者個別支援計画及び避難行動要支援者名簿の公開について質問いたします。




  


【Q1】
令和4年度予算の事業、避難行動要支援者等支援事業について。
令和3年度の予算特別委員会での質問で避難行動要支援者の対象者は996名とのことでしたが、変化はありましたでしょうか。変化がありましたら、何名となるか、お願いいたします。

【A1】池山一郎健康福祉課長
浅野議員の避難行動要支援者等支援事業についての質問にお答えします。

初めに、避難行動要支援者の対象者数についてですが、令和3年度の予算特別委員会時の996名は令和2年4月1日現在の対象者数であり、令和3年4月1日現在の対象者数は、15名増えて1,011名になります。


  
  


【Q2】
 同じく令和3年度の予算特別委員会の際、対象者の中で名簿に載せてもよいとされた方が340名との回答でしたが、これは避難支援者等関係者に公開の同意があるということでしょうか。また、こちらも人数の変化はありますでしょうか。変化がありましたら、何名となるか、お願いいたします。


【A2】
そのうち名簿開示の同意者数は、令和2年4月1日現在では340名で、令和3年4月1日現在344名に増えています。



【Q3】
令和4年度予算の避難行動要支援者個別支援計画の避難支援マップの作成は同意済者とありますが、こちらは先ほどの避難行動要支援者名簿に載せてもよい、避難支援者等関係者に公開の同意があるという方で間違いないでしょうか。


【A3】


【Q4】
避難行動要支援者(災害時に自ら避難することが困難な要支援者)の個別避難計画について。
これから作成する避難行動要支援者個別支援計画とは、災害対策基本法の第49条の14で定めるところの個別避難計画で間違いないでしょうか。


【A4】
 次に、令和4年度予算で作成予定の避難行動要支援者個別支援計画についてですが、議員ご指摘のとおり災害対策基本法第49条の14に規定する個別避難計画を指しています。

  


【Q5】
避難支援のマップとはどのような内容になりますか。個別避難計画に示されている以下3項目の内容に何か付け加えられるのでしょうか。
ちなみに、避難計画の以下3項目とは、
1、避難支援等実施者(避難支援等関係者のうち当該個別避難計画に係る避難行動要支援者について避難支援等を実施する者)の氏名または名称、住所または居所及び電話番号その他の連絡先
2、避難施設その他の避難場所及び避難路その他の避難経路に関する事項3、前2号に掲げるもののほか、避難支援等の実施に関し市町村長が必要と認める事項
です。


【A5】
避難行動要支援者名簿は、個人情報の提供について同意した要支援者の氏名、性別、年齢、住所、緊急連絡先等を記載した同意名簿と自宅地図であり、嘱託員、自主防災組織、民生児童委員、消防本部、警察署にお渡しし、災害時の支援に役立てるものとしています。

避難支援のマップの内容については、自宅から一時避難場所までの経路を記載した地図になります。必要に応じて避難場所や避難経路に関して特に注意する事項を記載します。また、避難支援等実施者の情報は、氏名、住所、電話番号等の連絡先を記載します。このほか、避難支援等の実施に関し市町村長が必要と認める事項として、対象者の情報について、緊急連絡先や関係する支援者へのほか、医療情報や避難所において配慮が必要な生活情報、例えば食事のアレルギーの有無やトイレでの介助の有無、コミュニケーションの方法等を記載しています。これらの情報を全て含んだものが個別支援計画となります。
 


【Q6】
令和3年の災害時要支援者避難支援のマップ作成は同意済者(要支援者名簿に載せることに同意した方)とのことですが、同意済者以外の方は、今後避難する際は自力で支援者をお願いするような形になるのでしょうか。


【A6】
次に、要支援者名簿に掲載することに未同意の方の災害時の避難支援についてですが、名簿に掲載することに未同意であっても、災害時には支援が必要と考えられることから、名簿と自宅地図を密封した封筒に入れ、通常時においては民生児童委員、警察署で保管し、高齢者等が危険な場所からの避難が必要とされる警戒レベル3になった場合には、自主防災組織に提供し、安全な場所へ避難できるための支援を依頼するという流れになっています。
 


【Q7】
予算書の説明内容では個別支援計画作成は委託となっていますが、委託先はどちらになりますでしょうか。


【A7】
次に、個別支援計画作成の委託先についてですが、対象者は要介護度3以上、療育手帳のAや身体障害者手帳の1、2級等をお持ちの方であり、日頃よりケアマネジャーや相談支援事業所の職員等の福祉専門職員より支援を受けている方が主な対象になります。そのため、その担当者の所属する社会福祉法人等の事業所へ作成を委託することとしています。

  


【Q8】
避難行動要支援者個別支援名簿、計画の公開範囲について。
災害対策基本法のとおり、通常時は避難行動要支援者個別支援名簿、計画ともに避難支援者等関係者(消防機関、都道府県警察、民生委員法に定める民生委員、社会福祉協議会、自主防災組織)には情報を提供することになっておりますでしょうか。


【A8】
次に、名簿や計画の公開範囲ですが、見附市避難行動要支援者名簿同意者分については、消防本部、警察署、民生児童委員、避難支援者、自主防災組織に通常時より情報提供しています。個別支援計画は、医療情報や配慮が必要な生活情報など、さらにデリケートな個人情報が記載されるため、通常時において情報を公開する範囲は、対象者本人と避難支援者、福祉関係者、消防本部、市に限定しています。
  



【Q9】
上記の避難支援者等関係者のほかに、通常時に名簿を公開する組織等はありますでしょうか。


【A9】
なお、これら以外の機関への通常時での情報提供は行っていません。また、災害発生時においては未同意の方を含む対象者全員の名簿が民生委員、自主防災組織へ情報提供されますが、災害対応が終了した際には、情報提供に未同意の方の名簿は全て市が回収することになっています。

 


【Q10】
災害発生時は避難行動要支援者の対象者全員の名簿が情報提供されるということで間違いないでしょうか。避難支援者等関係者に公開の同意がない方を含むという意味です。

避難行動要支援者個別支援計画は、避難支援者等関係者に公開の同意がない方は作成しないという方向性でしょうか。
  以上、質問になります。


【Q10】
 次に、避難行動要支援者個別支援計画については、実際の名称は個別避難計画兼同意書としていることからも、計画を作成するに当たっては、改めて公開範囲などを含めて本人に説明をした上で同意を得ることとしています。そのため、同意が得られない方の個別支援計画は作成しないこととなります。令和3年度は、モデル的に嶺崎、堀溝町などの土砂災害警戒区域において複数の対象者の方の個別支援計画を作成しましたが、全員の方より同意をいただき、個別支援計画を作成することができました。今回のモデルケースを踏まえて、対象者に趣旨を容易にご理解いただけるよう、説明の際に使用するリーフレットは分かりやすいものを活用し、できるだけ多くの方からご同意いただき、個別支援計画がスムーズに作成できるよう努めてまいりたいと考えております。
  以上でございます。



◆浅野千紘 それでは、再質問をさせていただきます。

【再質問Q1】
それでは、再質問させていただきます。
  まず、1つ目ですが、避難行動要支援者名簿の公開に同意がない方、344名以外の方で、大半の方は施設に入っていられる方が多いというふうにお聞きしましたが、現在独り暮らしの方は何名ぐらいになるのでしょうか。


【再質問A1】池山一郎健康福祉課長
浅野議員の再質問にお答えします。
  未同意者の内訳について、独り暮らしの高齢者の数ということでありますけれども、令和3年度1,011名の対象者数のうち、先ほど同意者が344名と申し上げましたが、令和3年度におきまして未同意者は491名の方になります。その内訳を申しますと、長期入院の方が70名、長期入所の方が313名、自力で避難できる方が27名、家族の支援で避難できる方が89名、そして情報提供を拒否される方が、ごく僅かですけれども、5名いらっしゃるということで、この中で独り暮らしの高齢者という区分といいましょうか、カウントがないものですから、何人の方が独り暮らしの高齢者であるかというところはつかんでおらないというのが実情でございます。


【再質問A1へのコメント】浅野千紘


【再質問Q2】
恐らく個別避難計画をつくって、今答弁いただいたように本当の意味で困ってしまう方は少数であるのかなというふうに思いましたが、見附市では避難行動要支援者名簿の避難支援者、先ほど答弁や私の質問内容にもあった避難支援者等への平常時の公開は必要であるとはお考えでしょうか。


【再質問A2】池山一郎健康福祉課長
再質問にお答えします。
  平常時での未同意者の方の情報提供についてということでございますけれども、法律の組立てとしては、条例に特別な定めがある場合はよろしいというふうな形になっておりまして、私どもの場合、条例化しておりませんで、実施要領という形で個別避難計画を作成しております。恐らくその意図するところは平常時から要支援者と、それから支援者との関係の構築というところではないのかなというふうにも考えております。また、個別支援計画につきましては、令和3年度、モデルケースという形で13件の計画を作成いたしましたが、これから本格的に全市域に向けて作成していくわけですが、その中で関係の構築といいましょうか、その辺も踏まえまして今後研究していく必要があるのではないかなというふうに考えております。
  以上でございます。



【再質問Q3】
ただいまの答弁で、私が考えているのは、平常時から関係構築もそうなのですけれども、おっしゃっていただいたとおり条例の下であれば平常時から避難支援者へ情報が開示できるというような考え方であると思うので、そちらを設定していただくと、未同意の避難の支援をする方がいらっしゃらない少数の5名の方はもちろん、その他の個別避難計画を同意者でなくてつくらないという方も自動的につくる範囲に入ってくるような形になると思うので、条例のほうもモデルケースと合わせて考えていったらどうかなと思うのですが、いかがでしょうか。


【再質問A3】池山一郎健康福祉課長 
再質問にお答えします。
  先ほど浅野議員のお話の中で、条例化をしている自治体が全国で146団体でしょうか、あるというふうにお伺いいたしました。私ども、県内の他市町村の状況等、まだよく調査しておらない状況でございます。近隣市町村あるいは県内の状況等を踏まえまして、これから研究していく必要があるのではないかなというふうに考えております。
  以上でございます。


【再質問Q4】
条例があれば、モデルケースにやられているように、今の同意している344名の方以外の方の同意を一つ一つ取っていくということもまた労力もかかってきてしまうし、時間もかかってきてしまうのかなと思うので、早くできるのではないかなというふうに考えましたが、このモデルケースをつくられたということなのですけれども、これは今年度そのモデルケースに従って344名分の計画を全てつくっていくというようになっているのでしょうか。


【再質問A4】田伏真健康福祉課長
お答えします。
  モデルケースというのは、あくまでも令和3年度、今年度の事業ということで、土砂災害警戒区域に属する14名の方、結果的に1人の方は入所されましたので13人になったのですけれども、13人の方の個別避難計画を作成したということでございます。
  以上でございます。



【再質問Q5】
今年度は13名のモデルケースということで、令和4年度、次年度は、個別避難計画は344名のうち全員をしていくのか、どの程度か区切って、優先順位などがあるのか、その辺をお聞かせください。

【再質問A5】曽我元地域経済課長
お答えします。
  令和4年度、今当初予算に計上させていただいておりますのが200件ということでございます。想定しておりますのが刈谷田川流域の55行政区にお住まいの200名ということで、この55行政区というのは、ハザードマップにもありますけれども、浸水想定3メートル以上あるいは家屋倒壊氾濫想定区域、こちらにお住まいの対象者200名ということでございます。
  以上でございます。



【再質問Q6】
今年度の予定等は分かりました。そうすると、200名ということであると、今の同意者の数は今年度では全て終わらないということで、来年度以降も続けて、全員になるまではやるということですよね。


【再質問A6】
お答えします。
  先ほど全計画の概要についてお話しすればよかったのですが、説明が足りなくて申し訳ございません。今年度対象としている1,011名のうち、令和3年度が14名、令和4年度が200名、そして残りの797名の方につきましては、令和5年度から令和7年度の3か年にかけまして全対象者の個別避難計画を作成するという事業計画になっております。
  以上でございます。



【再質問Q7】
分かりました。その個別支援計画の今年つくったモデルケースについてお伺いしたいのですけれども、そのモデルケースに沿って実際に13名の方たちの避難訓練というか、そういう実際のことは行われたのでしょうか。



【再質問Q7】
再質問にお答えします。
  個別避難計画を作成された13名の方の実際の訓練ということでございますけれども、作成ができましたのがこの年度末といいましょうか、最近でございますので、まだ実際にこれを活用しての避難訓練ということは実施してございません。これをどんな形で実際に生かしていくかということにつきましては検討してまいりたいというふうに考えております。
  以上でございます。



【再質問A8へのコメント】浅野千紘
せっかくこのような計画がつくられていって、非常に個人情報もたくさん入った詳しい計画になっていくと思うので、これを利用して避難訓練などをしていっていただければなと思います。見附市はたくさんの災害を経験してきて、そのようなことに詳しい方もたくさんいるので、この計画づくりも協力をしてくれる方がたくさんいてほしいなと思っています。



【再質問Q8】
最後、要望なのですけれども、1,011名の方で、令和5年から令和7年で全ての方に避難計画も行き渡るような形になっていると思いますが、今後そのつくっていく中で、同意をもしされない方がいて、せっかくの計画に入らない方がいると、誰一人取り残さないというようなことが大切かなと思いますので、条例があれば一層強い縛りにもなってしまうかもしれないのですけれども、命を守れる防波堤にもなるのかなと思いますので、そちらも検討していただければと思います。
  以上で質問を終わります。



※後日、再度課長へ伺ったところ。。。
現状では名簿の公開に同意していない方かつ、一人暮らしの方は10名以下とのことです。その方たちが、避難行動計画を作成のため市から再度説明された際に同意してくれれば条例は今のところなくても”誰一人取り残さず”避難行動計画も運用できるとのとこでした。

私は今はその方法で解決できても、これ以降に避難行動計画を作る際に一人ずつ公開の同意をとっていくことになるとなると、それならば条例をつくればその手間が省けるのではないかと思っています。
災害の際に、一人で避難はできないけど、住所は公開しないでという方はいないと思うので、自動的にそのような制度にしておけば、逆に安心ではないかと思います。

見附市の人口4万人レベルでは、市の職員が把握できるから条例までは必要ないということもあるかもしれません。

引き続き議論が必要かなと思います。

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