どうしたら指導先を増やせますか? 森下 茂(月刊トレーニング・ジャーナル2023年11月号、連載 トレーニングコーチが直面する課題 第8回)


森下 茂・School of movement認定マスターコーチ

連載目次
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 長く仕事をやっていると、私の現場にトレーナーの方が見学にいらっしゃるのですが、時々こんな質問を受けます。「どうやって指導先を増やしたらよいのでしょうか」と。

 私が20年ほど10以上のチームをサポートしているので、そのような質問を受けるのだと思いますが、私がなんとかここまでやってこれた理由を自分なりに考えてみたいと思います。

仕事がなかった独立直後

 21年前に、大したあてもないのに会社を辞めて個人事業主になりました。そんなわけで毎月のカレンダーは半分以上が空白のままでした。1歳の息子がおりましたが、幸いにも妻がフルタイムの仕事をしていたので、なんとか生活をすることができていた有り様です。そんな状況でしたが、私は新規の営業は、ほぼやらずにおりました。

 唯一、新規の営業をしたのも、大学ラグビー部時代の同期の高校ラグビー部の先生を紹介してもらいプレゼンをさせてもらったことでした。おかげさまでプレゼンは成功し、月に2回の頻度でしたが、そのチームに関わることができたのです。まあ、こちらも全くの新規ではなく、きっかけはあくまで知人の紹介だったのですが。そういう意味では、新規の営業は21年間したことがないかもしれません。つまり、全く縁もゆかりもないチームに私を売り込みにいったことはありませんでした。

最高のリピーター

 個人事業主になりたての頃に、私の師匠がこんな話をしてくれました。「10年、1つのチームに携わることができたら本物だよ」と。もちろん、そのときの私には10年も1つのチームに携わるなんて想像さえできないことでした。が、気づけば私も10年以上関わることになったチームがいくつか持てるようになりました。一昨年までサポートしていた大学ラグビー部では18年もの長きにわたりチームに関わらせていただきました。公立高校の場合には、それこそ顧問の先生が途中で変わってしまうこともあるのですが、新たな先生に引き継いでくれて20年以上続いているチームがあります。さらに嬉しいのは異動先のチームに行っても先生から連絡があったときです。「森下さん、こちらでも監督をやることになったので、またぜひお願いします」と、かれこれ21年もお世話になっている先生もおります。

 それだけでも本当にありがたいことなのですが、長いことやっているともっと嬉しいことがあります。それは、指導先の選手が教員になり、自分が監督になったときに指導の依頼をしてくれることです。指導者冥利に尽きると言いますか、もしかするとこの仕事をやっていて一番嬉しいことかもしれません。まさに世代を超えての最高のリピーターです。

紹介

 リピーター以外で指導先が増えた、そのほとんどが紹介です。主に2つのパターンで、指導先の先生からと知人のトレーナーからの紹介です。私から先生に「どこかチームを紹介してくれませんか」とお願いしてご縁をいただいたチームもいくつかありますが、たいていは先方から連絡をいただきました。

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